キャンペーン終了まで

割引情報をチェック!

「量・速・質」の読書で知の空間をふくらませよう

投稿日:2020/12/30

多読だけが能ではない

読書ほど効率的なインプット作業はありません。書物は時空を超える知見のエキスです。古今東西の書き手が一生かかって知りえた情報が、手元の一冊に収められています。年末年始は読書という“知の充電”に時間を振り向けたいものです。

さて、読書にはいろいろな形があります。そこで、「量の読書・速さの読書・質の読書」という3つの観点でとらえたのが下の図です。

「多読」は手当たり次第にいろいろな本を読むこと。それに対し「広読」は、何か本を読んでいたときに、ある1つのテーマや作家に関心をもち、それについていろいろと本を読み広げていくイメージです。

また、1冊の本を速く読むということでは、目的に応じて「速読」「粗読」「通読」の使い分けがあるでしょう。

本の内容を深くとらえていくためには当然、「熟読・精読」が不可欠です。さらには時間をおいて「再読・重読」することを強くお勧めします。特に偉大な本であればあるほど、自分の成長に合わせて与えてくれるものが深まってくるからです。以前読んだときに気づかなかったことを得る。それが「再読・重読」の醍醐味です。

「心読」は心のひだで感じ入るように読むこと。100冊の多読より、1冊の心読が人生を変えるときがあるかもしれません。また、「身読」とは宗教の世界の言葉で、経典を身をもって読むこと、すなわち、教えを観念で終わらせず実践して理解するということです。

読書によっていわば自分の“読書知の空間”がふくらんでいくわけですが、そのためにさまざまな形の読書を組み合わせることが重要です。「量の読書」だけではヨコ方向にしか伸びません。「質の読書」だけではタテ方向だけになってしまいます。また「速さの読書」だけでは密度が濃くなりません。

読み手のぶつかり具合に応じて本は鳴る

ところで、何年も書棚に置きっぱなしの本にふと気が留まり、久しぶりにページを開いて読んでみたら、「あれっ、この本ってこんなに深いこと書いてあったっけ」「あ、この一文、あらためて読むと沁みてくる」……といったような経験はないでしょうか。

ほんとうに大きな本というのは、読み手の成長に合わせて響いてくるものを懐深く持っているものです。そうした時を超えて人びとに読み継がれるような古典的書物は、言ってみれば、大きな「梵鐘」です。こちらが未熟に小さく当たれば、小さな音しか鳴りません。深く悩んで大きく当たれば、大きく鳴らしてくれます。

ですから、年末年始の読書は何も新しい本を手に取るばかりでなく、書棚にある本に今一度目を向けてながめてみるのもいいと思います。昔は割り箸でたたいていたがゆえにあまり鳴らなかった本が、いま丸太でたたけるような自分になったがゆえに、ゴォ~ンと響いてくる本があるかもしれません。それはあなた自身が成長した証でもあります。

  • 村山 昇

    キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

    人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)をはじめ、管理職研修、キャリア開発研修、思考技術研修などの分野で企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。 GCC(グロービス・キャリア・クラブ)主催セミナーにて登壇も多数。 1986年慶應義塾大学・経済学部卒業。プラス、日経BP社、ベネッセコーポレーション、NTTデータを経て、03年独立。94-95年イリノイ工科大学大学院「Institute of Design」(米・シカゴ)研究員、07年一橋大学大学院・商学研究科にて経営学修士(MBA)取得。 著書に、『キレの思考・コクの思考』(東洋経済新報社)、『個と組織を強くする部課長の対話力』『いい仕事ができる人の考え方』『働き方の哲学』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

関連動画

学びを深くする

記事に関連する、一緒に学ぶべき動画学習コースをまとめました。

関連記事

合わせて読みたい

一緒に読みたい、関連するトピックをまとめました。

サブスクリプション

学ぶ習慣が、
あなたを強くする

スキマ時間を使った動画学習で、効率的に仕事スキルをアップデート。

17,800本以上の
ビジネス動画が見放題

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

利用者の97%以上から
好評価をいただきました

スマホを眺める5分
学びの時間に。

まずは7日間無料
体験してみよう!!

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

新着記事

新着動画コース

10分以内の動画コース

再生回数の多い動画コース

コメントの多い動画コース