先日、日本棋院に辞意を伝え、2020年3月末で日本棋院の理事を退任することにしました。2013年6月から7年ほど理事として囲碁界のために僕なりに尽力してきましたが、今後は後進に譲りたいと思います。
子供5人全員が小学校時代に囲碁を覚え、頭脳や精神を鍛錬し、力強く成長していきました。その囲碁への恩返しのつもりで、和田理事長(当時)から2013年3月に声がかかった時に、理事を拝命することとしました。この7年間僕なりに囲碁界に貢献すべく最大限努力してきたつもりです。
まず手始めに、2014年5月に日本主催の唯一の世界プロ棋戦となったグロービス杯世界囲碁U-20を開催しました。一力遼七段(当時)が初代チャンピオンとなったのが、とても思い出深いです。
2015年3月には、創立90周年企画として100周年ビジョンプロジェクトを発足させました。プロジェクトチームを組成して、東名阪のプロ棋士にヒアリングしながらまとめあげ、最後は理事会で承認されました。今でもこのビジョンがとても重要だと思っています。
そして2018年10月から、日本最強の囲碁AIとなる「GLOBIS-AQZ」の開発を開始しました。仲邑菫初段、芝野虎丸七段(当時)と対戦し、昨年8月の世界大会では5位、12月の世界大会では準優勝しました。一昨日より、そのGLOBIS-AQZをグロービス杯日本代表棋士の特訓のために無償開放しています。今年のグロービス杯では日本勢の活躍を大いに期待したいと思います。
かなりのことを7年間で実行できたと自負しています。唯一の心残りは、100周年ビジョンの「10の行動」があまり進捗していないことです。囲碁界を取り巻く環境は、全く楽観視できないです。日本棋院の棋士の皆さんが危機意識を持ち、内部の諸問題を解決するために立ち上がり、一致団結して皆で描いた100周年ビジョンに向かって進まれますことを心より祈念しています。
理事を退任しても、グロービス杯は10回は続けようと思います(当初「30回はやる」と発言しましたが、「10回はやる」に訂正させていただきます)。
囲碁を通して親しい友達がたくさんできました。最近は多忙で、あまり囲碁を打てていないですが、落ち着いたらまた一囲碁ファンとして、囲碁を楽しみたいと思っています。
2020年2月12日
番町の自宅にて
堀義人