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『FACTFULNESS』――自分の直感を疑い、世界の正しい姿を見よう

投稿日:2019/03/05更新日:2020/08/19

皆さんは、次の問題に自信を持って答えられるでしょうか。

問:国連の予測によると、2100年にはいまより人口が40億人増えるとされています。人口が増える最も大きな理由は何でしょう?
A:子ども(15歳未満)が増えるから
B:大人(15歳から74歳)が増えるから
C:後期高齢者(75歳以上)が増えるから

14か国・1万2000人に行ったオンライン調査で、上記のような世界の様々な現象を3択クイズにして出したところ、正答率が33%を割り込む、つまりチンパンジーがランダムに選ぶ結果を下回ったと言います。ちなみに私の正答率は23%で、チンパンジーに完敗です。

なぜ、一般市民から高学歴の専門家までがチンパンジーに負けるのか――その理由として、著者はドラマチックな本能とドラマチックすぎる世界の見方をする脳の機能を提示します。そして、この本能を「分断」「ネガティブ」「直線」「恐怖」「過大視」「パターン化」「宿命」「単純化」「犯人捜し」「焦り」に分類し、世界を正しく見るためにそれらをどう乗り越えるべきか(=ファクトフルネス)を示します。

各章では、「なぜ、チュニジア人はお金が余るとレンガを買って家の壁を積み上げるのか?」「ある特定の避妊を禁止する宗教と出生率に関係はあるのか?」「なぜ、シリア難民は1000ユーロで航空券を買わずに、ゴムボートに乗って地中海を渡ったのか?」といった、思考の盲点に入るテーマを次々と示しながら、いかに読者の直感と現実の世界に開きがあるかを、嫌味なく伝えてくれます。

こうしたファクトフルネスの考え方は、グロービスの「ビジネス・アナリティクス」のクラスで伝えている内容と多くの共通点があります。加えて、社会を良くしていくために何が必要なのかを測定して、行動していくという「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」のクラスで教えていることとも通底しています。

ところで、本書の第一著者であるハンス・ロスリング氏は、医師で公衆衛生の専門家でした(2017年に死去)。アフリカで感染症の研究に20年もの間注力し、その後、国際機関のアドバイザーを務めたり、ギャップマインダー財団を共同設立したりしました。彼のTEDトークは延べ3500万回以上再生されています。そんな彼の最期の仕事である本書は、この一文で締めくくられました。

「事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。これからも世界を良くし続けるためにわたしたちに何ができるかも、そこから見えてくるはずだ」――。

ぜひ、1人でも多くの方に本書を手に取っていただき、変化し続ける世界の正しい姿に向き合い、私たちの営みが世界を良くしている実感を持ちながら、さらなる進歩は可能であると感じていただければと願います。

※ちなみに、冒頭のクイズは日本人の正答率が最も低かったものです。答えは本書をぜひ手に取ってご覧ください

FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング, アンナ・ロスリング・ロンランド (著)
日経BP社、1944円

  • 髙原 康次

    テクノベート経営研究所(TechMaRI) 副所長/グロービス経営大学院 教員

    東京大学法学部卒業/グロービス・オリジナルMBA修了。丸紅で事業開発業務に携わった後、グロービスに入社。経営人材紹介、人事、法人営業、代表室ベンチャー・サポートチームリーダーを経て、現職。グロービス経営大学院の創造の生態系構築をリードする。米国CTI認定コーアクティブ・コーチ(CPCC)

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