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競合に自社の顧客につけ入る隙を与えていませんか?

投稿日:2018/04/28更新日:2019/04/09

法人営業『法人営業 利益の法則』から「競合に対する感度」を紹介します。

取引先の顧客が自社の製品・サービスに満足しているからといって、彼らがずっと自社を使い続けてくれると思い込むのは危険です。特に自社にとって大事な顧客企業は、競合にとっても獲得したい顧客であり、あの手この手を使って口座を開きに来るのが普通です。

顧客企業も1社に調達を頼るのは危険と考え、調達先を分散させたいと考える特性があります。そうした事情から、気がついたら自社の顧客内シェアが下がってしまった、あるいは最悪の場合、完全に取引を奪われてしまったということは少なくありません。毎年、順調に取引がある企業ほど警戒感が薄れがちですが、常に競合は虎視眈々と入り込む機会をうかがっているというセンスは持っておきたいものです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

競合に対する感度

営業マンの傾向として、新規営業時にはどこが競合なのかを強く意識するのですが、いったん取引関係が安定してしまうと、競合の存在確認が手薄になりがちです。

もちろん、理想を言えば、日頃から競合に対する警戒を怠ってはならないのですが、特に以下のような局面では、競合に攻め込まれるリスクが高まるので、意識をより強く持つ必要があります。

法人営業

・顧客企業側の窓口担当者が交代した時
担当者間の信頼関係がリセットされてしまいますし、新任担当者も「何か新しいことを実施して、自分の存在価値を社内にアピールしたい」と考えがちなので、取引先の見直しに着手する危険性は高くなります。

・発注が一時的に途絶えた時
取引契約自体は継続しているのですが、顧客側の何らかの事情(今年度は予算がつかなかった、戦略見直しを迫られた等)により、従来定期的に行っていた購買を一時停止することがあります。顧客側も当初は「復活時にはまた御社と取引したい」と継続意思を示すのですが、自社との関係が疎遠になる間に、他の業者との頻繁なコンタクトを許してしまうと、購買再開時に顧客が戻ってこない可能性が高まってしまいます。

・競合が業界内で話題となるような新製品を発売した時
とりわけ、自社が提供する製品の廉価版が市場に出回ってきた時が要注意です。顧客側が、自社が提供している製品に非常に満足し、これまでは他社からの営業アプローチにも一切関心を示さなかったような場合でも、その製品と同水準の機能や品質を持つ競合品が低価格で提供され始めると、途端に調達先変更を検討し始めることが多いものです。

また競合に関しては、自社製品とダイレクトな競合関係にある企業や製品を意識するだけでは不十分です。例えば、ちょうど筆者がオフィスで執筆をしている場所には、ボタン一つで誰でもすぐに温かいお茶が飲める給茶機が置いてあります。こうした給茶機は、オフィスや工場といった法人、あるいは学校や病院といった公共施設で需要があり、この市場には専門業者から厨房機器メーカー、大手エレクトロニクスメーカーまで多数の企業が参入し、競争をしています。

あるメーカーで給茶機の販売を担当している営業マンと話したことがあるのですが、その方が「自分の競合」として挙げてくれたのは、同じような給茶機を提供しているメーカーの名前ばかりでした。ところが実際に顧客となった法人の総務担当者に尋ねてみると、比較対象とされる製品は大きく異なっているのが通常です。

「オフィスの一角に給茶機の設置を決めた際には、『社員のリラックスを促し、かつコストや手間がかからないもの』という条件で、観葉植物やマッサージチェアなどの選択肢の中から、まずは無料の飲料を置くことを選んだ。続いて、飲料を提供する設備として給茶機の他、コーヒーサーバー、冷蔵庫にペットボトルの飲料を並べる方法などを比較検討し、結論として給茶機に決めた。ちなみに、給茶機のメーカーをどれにするかは一番最後に検討し、出入りしている関連業者に尋ねて、即決した」などです。

つまり、営業マンが意識しているような給茶機メーカー間の競争よりも、顧客側は「無料で手間なく飲料を提供できるもの」、あるいはより広く「リラックスを促せるもの」という視点で業者を選択しており、給茶機同士の競争の前に、まずは観葉植物やコーヒーサーバーとの競争に勝ち続けなければならないのです。

このように営業マンは、自社と直接の競合関係にある製品や企業に加えて、代替的な機能を持つプレイヤーまでを広く競合と捉える必要があります。こうした広い競合認識を持つには、顧客側が意思決定の際に何を比較対象としたかを知るのが一番早い方法です。先述したように、取引開始時には、真っ先に「どういう経緯で(特に、何と比較した上で)、なぜ自社を選んでくれたのか?」を尋ね、営業マンとして意識すべき競合相手を正しく知っておきたいものです。

(本項担当執筆者:山口英彦 グロービス経営大学院教員)

『法人営業 利益の法則』
山口英彦(著)
1382円

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