BtoBとは?BtoCやCtoCとの違いやマーケティングのポイントなど 

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BtoBとはBusiness to businessの略で、法人顧客向けのビジネスを指します(to businessとは言いつつも、一般には民間企業向けだけではなく、官庁向けのビジネスも含みます)。BtoBの典型的なビジネスとしては機械部品や設備投資関連のビジネス、システム開発ビジネス、あるいはコンサルティングや事業融資といった法人向けのサービス業などが含まれます。

BtoBはBtoCやCtoCと対比されることもあります。BtoCとはBusiness to Consumerの略で、一般消費者向けのビジネスを指します。日用雑貨や食品の製造販売や、クリーニング、学習塾といったサービス業がその典型です。なお、日用雑貨や食品のメーカーなどは、販売に当たって流通チャネルを用いることが多いので、厳密に言えば消費者と直接取引を行っているわけではありません。しかし、これらの企業は一般にはBtoC企業として扱います。

CtoCとはConsumer to consumerの略で、消費者同士が売買を行うビジネスを指します。インターネットを介したオークションやフリーマーケットなどがその典型です。規模は小さいですが、インターネットの発展に伴い、徐々に存在感を増すようになっています。

BtoB、BtoC、CtoCは、狭義にはEC(電子商取引)を指して使うこともあります。その場合の市場規模は、2017年度で、それぞれおよそ290兆円、15兆円、0.4兆円となっています(CtoCはネットオークションのみの数字)。BtoBのEC化率が30%弱と高いのに対し、BtoCではおよそ5%と小さくなっています。CtoCはそれに比べると圧倒的にEC化率は高いものと推定されています。

以降は、主にBtoCと対比しながらBtoBの特徴についてみていきます。

BtoBの特徴

BtoBにもさまざまな事業がありますが、一般的な特徴としては以下が挙げられます。まずは製品・サービスの観点から見てみましょう。

【製品・サービスの特徴】
・製品・サービスが高額なことが多い
・製品・サービスの専門性が高い
・一般消費者向けの製品・サービス(消費財)に比べると情緒的価値の比率が低い
・顧客企業の戦略転換/事業の成功・不成功により取引量が変動する

また、顧客やその購買プロセスにも以下のような違いがあります。

【顧客の特徴】
・顧客数が限定され、特定しやすい
・エンドユーザーと購買意思決定者が異なる
・購買意思決定に複数の人物が関与する。しかもそれぞれのニーズが異なる
・購買意思決定の時間が長くプロセスも複雑
・予算計画(時期・金額)に基づいて購買される
・取引関係が長期に渡って続くことが多い
・顧客企業の競争力に貢献するか否かが購買決定要因(KBF)となることが多い
・カスタマイズ要求が強い
・購買担当者は社内に対する説明責任を求められる
・トラブルがあった際には購買担当者が結果責任を問われることがある(それゆえに保守化しやすい)

BtoBマーケティングの特徴(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)

BtoBマーケティングでは、上記の特徴により、通常のマーケティングの教科書が前提としている消費財マーケティング(BtoCマーケティング)とは異なった発想やアプローチが必要とされます。「セグメンテーション」-「ターゲティング」-「ポジショニング」-「マーケティング・ミックス(4P)」というSTP-4Pの流れの大枠は援用できるのですが、個別の部分で工夫が必要だったり、勘どころが異なるのです。

まずセグメンテーションについては軸そのものが異なってきます。たとえばBtoCマーケティングでは、性別や年齢などが重要な軸になりますが、BtoBマーケティングではそれが企業規模や業界などと変わってきます。また、自社との付き合いの長さや、新規か既存か、あるいは、購買の意思決定者(DMU:Decision Making Unit)が誰か(例:現場か購買部か、あるいは部長クラスか課長クラスかなど)といった、独自の軸が登場します。顧客が極めて限定されていて固有名詞で語れる場合には(例:原子力発電所向けビジネス)では、そもそもセグメンテーションを行わないこともあります。

ターゲティングについても、BtoCマーケティングでは顧客一人ひとりの顔は分からないので、狙うセグメントと狙わないセグメントを明確に切り分ける傾向がありますが、BtoBマーケティングでは、顧客数も少なく顔が見えやすいので、明確に選ぶというよりは個々の会社について優先順位をつけるという色合いが強くなります。その際、営業担当者がアプローチした感触から、顧客となる確度を推し量り、それが小さいところは優先順位を下げるのが一般的です。

ポジショニングも、BtoCマーケティングでは広告に盛り込めるメッセージ量が物理的に限られているため2軸のポジショニングマップでライバルとの差別化ポイントを訴求することが多いですが、BtoBマーケティングでは営業担当者が個々の顧客と丁寧なコミュニケーションを行うことができるため、単純な2次元のマップはあまり用いません。また、用いるとしても複数のものを準備し、顧客に合わせて使い分けることが多くなります。

BtoBマーケティングの特徴(マーケティング・ミックス:製品と価格)

次いでマーケティング・ミックスについても見てみましょう。まずProduct(製品)ではカスタマイズ要求が増すとともに、ソリューションへの対応も重視されます。たとえば顧客のニーズがIT部門の負荷を下げたいということであれば、単に壊れにくい製品を提供するだけではなく、故障時の対応力なども高めたソリューションをトータルとして提供しなくてはならないということです。つまり、顧客企業のニーズによりトータルパッケージとして的確に応えることが求められるのです。

Price(価格)については、個々の企業に合わせ柔軟な対応をする必要性が増します。場合によっては「この企業では損をしてもいいから他の企業で儲けよう」あるいは「このプロジェクトは赤字受注でもいいので、そこで信頼関係を作り、続くプロジェクトで儲けよう」といった「儲けのメリハリ」を意識することが大事になってきます。

なお、安易な値引きは企業の収益性を損ねますので、このようなシナリオが描けない場合には、値引き要求を断る勇気も必要です。

BtoBマーケティングの特徴(マーケティング・ミックス:チャネルとコミュニケーション)――法人営業のポイント

Place(チャネル)とPromotion(コミュニケーション)では、直販が用いられることが多く、営業担当者のスキルやモチベーションが非常に重要になってきます。個々の顧客企業に自社の製品・サービスの特徴を的確に伝えるのはもちろんのこと、それ以前に、彼らの最も切実なニーズを正しく捉えることが必要になってきます。

たとえば戦略コンサルティングであれば、顧客のニーズは本当に有効な戦略立案を求めているのかもしれませんし、答えの当たりは実は当たりはついているけど、社内で物事を進める上で外部のプロのお墨付きが欲しいというだけかもしれません。場合によっては、社内の別派閥の動きを牽制する、あるいは次年度の調査予算を確保したいので、予算消化的にちょっと気の利いた意見が欲しいということかもしれません。このように、一見同じ製品・サービスを求めているようで、実は異なったニーズを抱えていることもあるのです。

顧客企業の重要なDMUを早期に見極め、そのニーズを早く知ることも大事です。たとえばある工場では購買部が強く、品質等に影響がない範囲でとにかくコストを下げることを重視しているとします。こうした状況下で工場の現場の人間に「うちの製品は高いけど品質は抜群です」などと説得してもあまり効果はありません。その顧客内で誰の意向が最も重視されるのかを早い段階で見つけないと無駄に時間を浪費してしまいかねません。

顧客自身が真のニーズに気がついていないケースもあります。そうした場合には、コンサルティング営業を行うことでニーズを顕在化させることも必要になってきます。たとえば人事部の「優秀な大学生に来てほしい」というニーズが、よくよく話を聞いてみると「社員の能力の底上げをしたい」というニーズだったということはよくある話です。であれば、入学時の大学名にこだわるのではなく、社内の育成制度を変えたり、新卒一辺倒の採用を止め、効果的に中途採用を行う仕組みを作ることがソリューションとなることもあるでしょう。適切に質問を投げかけるとともに傾聴し、相手の本音をうまく引き出すことが必要です。

営業担当者がBtoC企業からBtoB企業に転職する際の留意点

BtoCでは通常は流通チャネルを使いますから、営業担当者の大きな仕事はチャネルへの営業になります。店内のマーチャンダイジングを支援したり、自社製品が棚落ちしないよう、店の責任者としっかりコミュニケーションするといったことが中心的な仕事になります。基本はチャネルのニーズをくみ取り、自社製品を売ってもらう努力をするように仕向けることが大切です。その意味で、チャネルのニーズのふれ幅はそれほど大きくはありません。

ところが法人営業となると、ニーズは千差万別となります。先述したように、ターゲット企業の選定に始まり、個々の企業のニーズをしっかりくみ取りながら、自社が入り込めるかどうかを的確に確認する必要がありますし、買ってもらうまでに乗り越えなければならない苦労が多々あります。商材にもよりますが、BtoCに比べても営業の難易度は上がります。しかし、工夫次第で非常に大きな取引をものにしたり、顧客の大事なパートナになれるという醍醐味もあります。

営業はBtoBにおいてはなくてはならない機能です。大きな仕事をしつつ知的な興奮を楽しみたい方、顧客の悩みによりダイレクトに寄り添いたい方は、ぜひ法人営業にもチャレンジされるとよいでしょう。

東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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