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フォーブスのCEOコンファレンス〜その2:アジアにおけるプレゼンス

投稿日:2006/09/12更新日:2019/08/21

僕が、参加したパネルディスカッションには、持ち時間は1時間弱にもかかわらず、パネラーが4人もいる。あまり喋る機会は回ってこないので、機会がきたら 最大限に活用しなければならない。

冒頭で簡単に自己紹介をした後、再度僕の番がまわってきた。良い機会なので、思いっきり意見を述べてみることにした。聴衆の関心が中国やインドに集まっていることが良く分かっていたので、そのことを逆手にとって、最初に結論めいたことを言ってみた。

「過去の教訓から言えることは、『マスコミが注目しているところには、必ずバブルが発生する』、ということだ。現在、中国とインドに注目が集まってい るから、そこにはバブルが発生しつつある。明らかに双方の国は成長しているから、皆の関心が高いのは理解できる。だが、いくら成長していても多くのお金が流れこむと、結局需給バランスが崩れるので、バブルとなり、投資対象がどうしても高くなってしまう」。

「その点、日本には注目が集まっていないから、割安だと思う。再生ファンドはそれでも比較的脚光を浴びているが、ベンチャーは全くである。だからこそ日本のベンチャーキャピタルが今狙い目なのである」。

「日本の成長は、2つのエンジンによってもたらされている。一つが、「オールドジャパン」で、もう一つが「ニュージャパン」である。トヨタ、キャノン、新日鉄などのオールドジャパンが最高益を更新しているのと同時に、新しい世代のベンチャーが育っていることによって、日本の経済が回復しているのである」。

そして、その要因や事例を説明し、なぜ日本のベンチャーがこれからホットなのかを説明していった。こういう場で一番重要なのは、ハッキリと堂々と主張することである。そう言い聞かせながら、熱く語り続けた。

これで、新しい世代の「ニュージャパン」が台頭してきて、これからも日本は有望であることは、十分に印象付けられたと思う。思ったよりも早くパネルが終わり、晴れ晴れとした気持ちで、降壇できた。

島田先生が、ニコニコしながら、右手の親指を上げて、「良かったよ」と言ってくれた。その後、すぐに記者会見の会場に連れて行かれた。細長いテーブルに白いクロスがかけられていて、その上にチャンネルの番号がついたマイクが何本か並んでいた。よくテレビの記者会見で見る光景である。そこに、僕とソシエテ・ジェネラルの社長が腰掛けて、記者会見が始まった。僕にとっては、初めての体験だった。

シンガポールの新聞とローカルのテレビ局が来ていたようだ。メディア・トレーニングで指摘を受けた、「笑顔を忘れない」というポイントを思い出しながら、質問を受けている間に歯を見せるように努力をした。僕なりに、落ち着いてうまくできたと思う。ただ、この映像が放映されるかどうかはわからない。

昼食会場に遅れて入り、名札が置いてある席に腰掛けた。主催者が気を利かせたのか、島田先生の横の席が用意されていた。島田先生が、指で示しながら 「あのスクリーンに堀さんのアップが何回か出ていたよ」と言われたので、その方角にあるスクリーンを見上げてみた。

その大きなスクリーンの上には、僕の顔写真が掲載されているフォーブスの表紙が映し出されていた。どうやら、2、3分に5秒ぐらいの間隔で、その表紙が映し出されるようにプログラムされているようだった。繰り返し繰り返し、僕の顔が大スクリーンにアップに出るのはちょっと恥ずかしかったけど、 Globis とYoshito Horiの知名度向上に役立つことが分かっていたので、嬉しくもあった。

世界を代表する500人のCEOに認識してもらえるのは、大変ありがたいことである。グロービスは、日本では多少の知名度はあるが、海外ではさっぱりである。何しろ海外で知られているベンチャー企業は、ソフトバンクかライブドアぐらいで、楽天でもまだまだ知名度が低いのである。

昼食時には、インドネシア大統領のスピーチが行われた。スピーチも質疑応答も英語で行われていた。とても立派であった。

僕が、カンファレンスに参加する目的の一つは、ネットワーキングである。これだけの方々と会う機会は滅多にない。積極的に名刺交換をして挨拶をした。夕食時のシンガポール首相のスピーチの後にも、比較的若いメンバーと一緒に最上階のバーに飲みに行った。10年ぐらい前に、YEOで会った方々が成長して何人か来られていた。また、ダボス会議のニュー・アジアン・リーダーのメンバーも来ていた。久しぶりの仲間も結構いた。

バーには、ロシア人、インド人、オーストラリア人、マレーシア人、アメリカ人、香港人、シンガポール人、ドイツ人などが集まっていた。皆一様に、「スピーチ良かったよ」の一言で交流が始まった。お世辞だろうことは良く理解できたが、その言葉で会話のきっかけができるので、交流がしやすい。

二晩連続の深酒は、体に良くないことはわかってはいたが、気分良くなると止まらないのが、僕の性分である。「酔った方が親しくなりやすいから、多少のお酒はいいのさ」。なぁんて、正当化し始めてる自分を見つけたら、黄色信号である。案の定、夜中の1時過ぎまでインド人、ロシア人と飲み、語り続けてしまった。

翌朝7時半より、シンガポール在の投資家と朝食ミーティングを行った。二日酔いもなく、しっかりとこなすことができた。

そして、3日目のプログラムがスタートした。この日のハイライトは、ビリオネアのオンパレードである。米国ドール社のデイビッド・マードック氏、フィ リピンのセブ航空などを傘下におく ゴゴンウェイ氏、香港の事業家ゴードン・ウー氏。そして、長江実業の李嘉誠氏である。

この一連の70代、80代の創業者のスピーチは、迫力があった。アジア経済を創った一代目、ということであろう。主に、不動産、流通、製造業で富を蓄積した起業家が、政治力を使ってテレコム・運輸・インフラ事業などに参入して、中国で拡張しているのだ。そして一様に、既に二代目にバトンタッチしていた。

「アジアの第二世代の起業家は、どんな方々になるんだろうか?」、とふと考えてみた。
恐らく全く毛並みの違う起業家が壇上を占めることになるのであろうことは、想像ができた。

そしてコンファレンスの鳳(おおとり)が、シンガポール国の創業者である、リー・クアンユー氏である。シンガポール国の経営も二代目にバトンタッチがされていたが、修羅場をくぐってきた迫力で、ゆっくりと威厳を保ちながら質問に答えていた。息子の方が背が高いのに、父親の方に重みを感じた。

そのセッションを最後に、フォーブスのCEOコンファレンスが終わった。セントサ島でエンターテイメント・ディナーが用意されていたが、僕はその夜帰国予定なので、ディナーには参加せずに、帰路に着いた。

過去10年間ほど、さまざまなコンファレンスに参加してきたが、今回のコンファレンスほど手ごたえを感じたことは無かった。名刺交換した相手の数も抜群に多かった。

『アジアNo.1のビジネススクール』をつくることを目標にしているが、そのためにはアジアにおけるグロービスの知名度を上げて、ネットワークを築くこと が重要であることは良く認識できていた。このような活動を地道に一歩一歩行い、前進するしかない。

10月からは、いよいよ英語のMBAプログラム、『グロービス・インターナショナル・スクール』も始まる。
また目標に向かって更に一本前に踏み出したいと思う。

2006年9月6日
成田に向かう飛行機の中で
堀義人

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