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パース滞在記 - その6:カトリック系学校の「愛情と支援(Love &Support)」

投稿日:2007/08/29更新日:2019/09/20

子供達が通っている小学校では、毎週金曜日の朝に生徒集会が開かれる。その集会には親も参加できるというので、覗いてみることにした。

小学校の生徒全員参加の朝礼は、中庭のような場所で子供たちが地面に座って行われる。正面には、「家族は大事である(Family is important)」と書かれた紙が張ってあり、豪州の国旗と、パースの州旗が垂れ下がっていた。

集会の冒頭では、全員起立して、国旗に向かい国家斉唱である。僕が高校留学のときに歌っていた懐かしい国家が流れてきたので、僕もついつい口ずさみ始めた。着席後の朝礼の進行は、生徒によって行われた。しかも、今週は小学校二年生が担当である。小さい生徒達が、順番にマイクに近づいて、言葉が書かれた紙を読み上げていった。高い声で語られるその言葉の美しいことといったら、感激で涙が出そうになるほどである。

家族の大切さを語る言葉、愛情と支援の重要さを伝える言葉、感謝の念を示す言葉などを、30人の生徒が順番に読み上げていくのだ。言葉による祝福のシャワーを受けている感じである。そして賛美歌のような歌を斉唱するのだ。

その歌を最後に、生徒中心の進行から学校中心の進行へとバトンタッチされて、校長先生が登場し、アワードを授与することになった。1クラス2名ずつ名前とアワードのタイトルを読み上げられる。名前を呼ばれた生徒は、前に出てきて、校長先生と握手をして表彰状を受けとるのである。

最上級生から始まり、3年生のクラスの順番となった。そのとき、ビックリすることが起こった。なんと次男の名前が読み上げられたのである。アワードのタイトルは、「スーパースター生徒としてがんばっているから」、である。たった一週間しかいないのに、この学校は、次男にアワードを授けてくれたのである。思わず手を叩いて次男を見ると、呼ばれたことに気がついていないのか、じっとして動かなかった。前に座っていた友達に促され、照れくさそうに次男は前に出て行った。校長先生と握手をして、表彰状を手にした。

その後、次男の勉強意欲が高まったのは、言うまでも無いことである。アワードなどを通して良い点を褒めていく手法は、この学校の良いとろこだと思う。

この事例以外にも、様々な機会に、僕らはとても暖かくこの学校に迎えてもらえていると実感していた。最初の日にもらった隔週発行のスクールレターには、「当校は、8月から5週間、日本から来た3名の生徒の文化浸漬(Cultural Immersion)プログラムのホスト校になった」と校長先生の言葉で僕らのことが紹介されていた。生徒の両親もこのレターを読んでいるので、送り迎えの際に自己紹介すると、「日本から来た子供達ね」、と暖かく迎えてくれるのだ。

「文化浸漬(Cultural Immersion)プログラム」とは、面白い表現だなと思った。確かに子供達は今、小学校で、まさに英語漬け・文化漬けの状態となっている。学びの環境としては、 これほど良いものなかろう。 一方、学校の立場からすると、英語を喋れない生徒を、短期間受け入れるはめになったのである。担任の先生の立場からすると迷惑な話である。

僕もその点が気になり、送り迎えの際には、積極的に担任の先生と一言二言、立ち話をすることにしていた。その先生達との会話を通して感じることだが、先生は皆一様に教育熱心で、常に子供のことを暖かく気にかけてくれているのが良くわかった。カトリック系ということもあるのか、豪州の学校の特質なのか、この学校の先生はとても愛情豊かである。校長先生とも面談することが多いが、校長先生からも強い愛情を感じ取ることができた。学校全体に「愛」が 満ち溢れている感じがしていた。そしてそれを体感できたのが、この生徒集会であった。

生徒集会でも耳にしたが、この学校で良く聞く言葉が、「愛情と支援(Love &Support)」である。

まさに僕らは、この学校から「愛情と支援(Love &Support)」を受けていると実感していた。特に三男に対する、「愛情と支援」は、半端ではなかった。「行きたくない」と泣き続ける三男をシスターの先生が付きっきりで面倒を見てくれていたのだ。とても良い学校に通わせてもらっていると、それこそ「神の導き」に深く感謝をしたい気持ちになる。

だがその三男は、残念ながらこの集会には参加していなかった。結局、三男は通学開始4日目より40度近くの高熱が出てしまい、木曜日・金曜日と二日間寝込んでしまったのである。三男のクラスでは、風邪がはやっていたようで、4,5人の生徒が学校を休んでいたことを、後で担任の先生から教えてもらった。

週末は、のんびりと過ごして、妻と三男の回復を待った。土曜日には、二人が寝ている間に、残りの4人の子供を連れて、プールに行き泳ぐことにした。日曜日には、妻も三男もだいぶ良くなってきたので、外出できるようになった。昼間は友達と一緒にスワン川沿いの公園でBBQを楽しみ、夜には海岸の近くの友達の家に夕食のお呼ばれされた。

そして、翌朝からパース滞在の第二週目が始まるのである。妻、三男の体調も回復してきた。

しかも嬉しいことに、校長先生よりお許しを得て、第二週目より、四男も幼稚園に通うことができるようになったのだ。これで、長男から四男まで、4人一緒に同じ学校(四男は幼稚園)に通学できることになった。その四男 (4歳)にとっても、初めての豪州の幼稚園通いは、大きな試練となるであろう。ただ、この四男の「参戦」が、三男のやる気を引き上げてくれるのではないかと、思えていた。

今まで三男は、兄弟で一番小さかったから甘えられたけど、四男が一緒だと泣くわけには行かない。「お兄さんとして頑張らなければ」、と思ってくれたら
幸いである。

そんなこんなで、冬の豪州で過ごす「夏休み」の一週間が終わり、二週目が始まろうとしていた。

先生方に負けない、「愛情と支援(Love &Support)」で、これからも子供達を支えてあげられたらと思う。

2007年8月24日
パースの自宅にて
堀義人

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