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世界一周出張2007 - その1:海外出張の目的

投稿日:2007/01/25更新日:2019/08/21

「最近海外に行く機会が多いよね」、とよく言われる。

どうして多いのかとふと 考えてみたが、すぐに答えが出た。考えてみれば当然のことである。 400億円近いファンドを抱えるベンチャー・キャピタル(GCP)を経営しているが、その8割以上の投資家、つまり顧客が海外にいるのだ。海外に行かなければお客様に会えないので、海外に行く機会が増えるのは当然のことである。

ちなみに、日本の独立系のベンチャー・キャピタルで、グロービスほど大きな額のファンドを運用する会社は他には見当たらない。ジャフコやソフトバンクのように大きな企業のバックアップがあったり、上場している会社であった りすれば 、比較的大きなファンドを運用することはあるが、グロービスのように、少数のパートナーとアソシエイトで運営されているファンドで、これだけの規模を運用できるのは珍しいことである。

その理由は簡単で、海外の投資家から出資を受けているので、大きくなれるのである。日本の投資家のみを対象にしていれば、おそらく10〜20億円規模のファンドに留まっていたであろう。これも、Apax社とのジョイント・ベンチャーを通じて、海外投資家にアクセスでき、ノウハウを蓄積できたことが、僕らの大きな資産となっている。

要は、ベンチャー・キャピタルでグロービスが強みを発揮できているのは、グローバルな視野を持ち、ネットワークをつくっているからである。

同様のことが、ビジネススクールでも言える。グロービス経営大学院の規模と質は、既に日本のトップ3に入るまでになっている。これも、ハーバード経営大学院と提携し、教材やカリキュラムを仕入れていることが、大きなプラスになっている。何とグロービスは今やハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の最大顧客にまでなってしまっているのである。また、英国国立レスター大学とのMBAジョイントプログラムの提携もしかりである。

このように、グローバルな視野を持ち、 海外とのアライアンスを進めることによって、僕らのような小さな会社であっても、強みを構築することができるのである。だからこそ、今年の新年の辞では、「英語力を強化して、グローバルな視野を持とう」と強調したのでだ。スタッフの英語力強化のためにも、グロービスが開講している、英語でMBA科目の授業を行う、「グロービス・インターナショナル・スクール(GIS)」の受講も強く勧めている。

いずれにせよ、僕らにとって海外出張とは、存続のために必要なことであって、今後ともやり続けなければならないことなのである。この機会に、海外出張して達成しようとしていることをまとめてみることにした。

1.投資家向けプレゼンおよびIR活動の実施:
前述のとおり、現状ファンドの80%以上が海外の投資家からの出資である。 当然、投資家訪問はとても重要である。今回もこれが目的の一つだ。

2.コンファレンスなどでのスピーチを通してのプレゼンス向上とネットワークの組成:
ダボス会議のコンファレンス、テクノロジーやベンチャーキャピタル関係のコンファレンス、他さまざまな企画でのスピーチに招待されてきた(フォーブス、ビジネスウィークなど)。今後とも、引き続きプレゼンスを高めていきたいと思っている。

3.海外パートナーやアライアンスパートナーとの関係の構築:
VCのパートナーであるApax社、カリキュラム提携先のハーバード・ビジネス・スクール(HBS)、MBA提携先のレスター大学などのアライアンスパートナーへの定期的訪問。また、投資先企業の関連企業や施設の訪問、他VCとの意見交換の実施。 更に、ファンドの契約関係、経理、海外会社の運営などの打ち合わせもする。

4.幹事や理事を務める主要ネットワークへの積極的参加による海外ネットワークの構築:
以前はYEOアジアの初代代表やWEF(世界経済フォーラム)のNAL(New Asian Leaders)のボードメンバーの一員でもあった。今は、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の卒業生理事会のメンバーである。

5.欧米ビジネススクールでのスピーチ、およびリクルーティングを目的にした会食の実施:
将来のビジネスリーダーに日本のこと、グロービスのことを良く理解してもらうために海外のビジネススクールでスピーチをしている。当然、MBAホルダー のリクルーティング活動も積極的に行う。今回はこの目的で、シカゴ、ボストン、NY、ロンドンを訪問している。

6.欧米メディアとのインタビューの実施:
ダボス会議で、BBCやBloomburgのテレビ出演や、NYでFortune誌の取材を受けるなどして、プレスとの関係構築に勤めている。

7.海外研修などへの参加:
海外でしか学べないものもあるので、そういう場合には積極的に出向いて学ぶことにしている。今は、YPO(青年社長機構)やYEOを通してのセミナーなどに参加している。

こう列挙してみると、海外出張が増える理由も良くわかる。ただ海外に行くとなると、時間と費用がかかる。そこで出張のたびに、いくつかの目的を兼ねて行くことにしている。

ちなみに今回の出張の目的は、ボストンで母校のハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の卒業生理事会に参加する日程に合わせて(上記4)、投資家向け説明会をニューヨークとロンドンで開催することにし(上記1)、更に、ビジネス・スクールへのリクルーティングを合わせることにした(上記5)。

その結果、今回はシカゴ、ニューヨーク、ボストン、ロンドンと訪問して、東京に戻るという「世界一周出張」となった。僕にとっては、この世界一周出張は、既に10回近くやっているので、慣れたものである。ただ、1月の厳寒の時期である。健康管理には気を使いながら、出張をこなすことにした。

1月17日、成田発のシカゴ便で、米国に向かった。眠れなくて機内を暇そうに歩き回っていたら、キャビンアテンダントの方が、「オーロラが綺麗に見えますよ」と教えてくれた。アンカレッジ近くだったと思うが、左側のドアの窓からはっきりとオーロラを見ることができた。これだけ海外に行っているが、なぜだかオーロラを見るのは初めてであった。オーロラは、冬の夜にしか見えないという。

薄緑っぽいぼんりとした光のカーテンが、横に細長く連なっていた。そのカーテンから発せられる光以外は、全て真っ暗闇であった。僕は、暫くひざまづき子供のように窓にへばりついて、オーロラを鑑賞した。幻想的な気分に浸っていた。

同日の朝、シカゴに着いた。「グローバル・ウォーミング(地球温暖化)の影響で米国の冬は暖かい」、と聞いていたが、やはり期待を裏切らずに、冬のシカゴは寒かった。氷点下12度である。ベンチャーキャピタルの同僚と、明日の投資家向け資料作成の最中調整を行った後、急遽、防寒用の帽子やマフラーを買うことにした。

16時前にノースウェスタン大学の経営大学院であるケロッグに向かい、そこでスピーチをした。その後すぐ、ダウンタウンに戻り、19時からシカゴ大学の学生も招いての食事会を開いた。結構いい感じで盛り上がった。

翌朝7時のフライトで、ニューヨークに向かった。到着後、14:00から投資家総会を開いた。投資家の方は、ロサンゼルスやミシガンからわざわざ来てくれていた。ありがたい話である。グロービスは、東京から僕を含めて3名参加した。1号ファンドから3号ファンドまでの流れを、いい点も悪い点も包み隠さずしっかりと説明して、滞りなく総会は閉幕した。

17:45からは、ウォートンの学生との懇談会である。1時間ほど話をした後、アラン・パトリコフ氏が表彰されるイベントに参加するために、チェルシーに向かうことにした。

2007年1月23日
ロンドンのホテルにて
堀義人

 

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