日はまた昇る(パート1) 

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「21世紀の初頭には、日米の再逆転がある」、と僕は強く信じている。ベンチャー キャピタリストとして、日米欧のテクノロジー案件を見ていると、この辺が明らかです。日本は、2005年ごろのコアのテクノロジー分野で強みを発揮していると思う。 その根拠をざっくばらんに書いてみる。

インターネットは、急激な勢いで有線から無線へ移行している。しかも当然デジタルへ(米国はなんとまだ過半数がアナログである)。日本は、15百万人のモバイルインターネットの加入者を誇り、圧倒的にNo.1のポジションにある。しかも、第3世代 のIMT-2000も来年5月に他国に2,3年先駆けて走り出す。

これらモバイル機器に、ジャバ、GPS(地位情報システム)、MP3(音楽)、デジカメが搭載されるが、これら主要機器(チップ)は殆ど日本製である。当然携帯のカラーディスプレー、バッテリー、ブラウザや組み込み型の機器も日本が圧倒的に進 んでいる。当然、日本の微細化技術と組み込み型の機器のデザイン能力が高いからでもある。
モバイルインターネットも、WAPかI-Modeかと騒がれたが、ふたをあけて見れば、日本製のiモードが優位にたっている。次世代の通信プロトコルも、日欧のW-CDMAが、クアルコム提唱のCDMA-2000よりも早くスタートする。

一方、今後のインターネットの主戦場は、PCから携帯をゲートウェイとした情報家電に完全に進んでいくが、これらのメーカーも殆どが日本企業である。当然、携帯と情報家電を結ぶブルートウースも日本から立ち上がると考えられる。もうひとつのゲー トウェイが、ゲームと言われており、これもソニー、セガや任天堂など日本企業が支配している。さらにMultiMedia Kiosk Machineといわれているコンビニでの設置も 日本が優位。

さらに、今後のブロードバンドは、短期的にはADSLやケーブルとか騒がれているが やはり本命は、光ファイバーである。米国は、バックボーンのコミュニケーションこそ先行したが、メトロやアクセス系のいわゆるFTTH(Fiber To The Homes)では、 日本の方が先行しそうである。しかもこれらの機器、レンズ、レーザー光源、光ファイバーなども日本製が優位にたっている。

また、このBroadBandにのっかるコンテンツは、ゲームやデジタルアニメーションが無国籍に広がる可能性があり、これらも日本が強い。PDAといわれている携帯型の電子手帳ももともとは、シャープのザウルスが先鞭をつけた分野である。OSこそ、Palmが先 行しそうであるが、ハードは日本企業が巻き返すのではと思う。

車の世界に目を向けると、カーナビの浸透度合いが世界でもダントツであり、これらのカーナビがインターネットと融合し、ITSといわれる高度交通システムが導入されると、日本がかなり面白いポジションにたつであろう。また、エコ指向のハイブリッド カーも日本が先行している。

世界を見渡してみてもこれだけテクノロジーが優位な国は、日本以外には、唯一米国しか見えてこない。この米国の現状を考えれば、日米の再逆転がかなり明確に見えてくる。

ナスダックの指数がピーク時よりも30%以上下落している。あれだけ騒がれたインターネット関連のドットコム企業は、殆どがピーク時の9割減で、回復する兆しが見えない。これら企業に惜しみもなくお金を投入した米国のベンチャーキャピタルは、 公開出来ずにいる数多くのドットコム企業の株式をいまだ所有しており、紙屑化するのを指をくわえてみているしかない。マネーゲームに奔走した結果、完全に思考停止 しているかのようにも見える。当然、2、3年後には、数多くのVCが清算を余儀なくされる可能性がある。僕からみれば、その帰着は当然のことである。

米国の数多くのベンチャー企業は、いまだに過去の夢を追いかけて、お金儲けのみに目がくらんでいる。テクノロジーをキチンと創ろうという姿勢が見えてこない。つまり、いとも簡単にお金もうけしたことが忘れられずに、同じ夢をまだ追いかけている かんもある。まさに、80年代後半に日本が踊ったバブルに米国が違う形で90年代後半に踊っていたかのようである。

日本のことを良くわかっている投資家はこういう。「日本のことを見るときは、マクロよりもミクロを見た方が良い」。
つまり、国債の残高、そごう、建設会社、千代田生命、銀行問題のみに焦点を当てると、日本の良さを見失う。各産業単位のミクロの企業の比較優位を見ると非常に強い 会社が見えてくる。ローム、キーエンス、村田製作所、京セラ、東京エレクトロン、 HOYA、古河などメチャクチャ面白い会社があって、各分野でドミナントなポジションを創りつつある。これらに、当然ソニーやドコモのような会社が加わる。

僕は、21世紀の初頭は、また日本の時代が来ると信じており、またそのために、日々 良い人材を育成し、強い会社をつくる手助けをして、日本のテクノロジーを強化 するために、投資を続けている。

日はまた必ず昇る。また、昇らせるために、日々努力するしかない。そう決心している。

このコラムは、グロービス社内向けのメイリングリスト「Waigaya」に10月11日付けでアッ プしたメイルの転載です

 

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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