今年5月発売の『入社1年目から差がつく ロジカル・アウトプット練習帳』から「Lesson18 変化をつける」の一部を紹介します。
どれだけ正しいことを言ったとしても、伝える内容がありきたり、あるいは単調だと、相手に対する印象も弱くなりますし、記憶にも残してもらいにくくなります。
それを避ける1つのテクニックが、伝える内容に変化や意外性をつけることです。たとえば、「この流れだと、この後相手はこのようなことを言うのだろうな」と聞き手が予想しているときに、あえてその逆のことや予想外の事例などを伝え、相手を驚かせるとインパクトが大きくなります。
もちろん、トータルとしては伝えたいことを網羅することが必要です。ただ、淡々と語るのではなく、意外性を盛り込むことで、仮に同じことを伝えたとしても相手の記憶に残りやすくなるのです。 (このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)
変化をつける
印象深い言葉は、後になっても記憶に残りやすいものです。また、話が上手い人の発言の中には思わずメモをとりたくなるようなフレーズが入っています。同じことを伝えるのであれば、できる限り印象に残る形で持ち帰ってもらいたいものです。どのような言葉を使えば、聞き手により印象に残るように伝えることができるのでしょうか。
演習
次の2つの文章を読んでみてください。
(ケースA)
文章を読んで「どこかおかしいな」と感じても、それが「どうおかしいのか」がわからないと、修正することができません。また、他者に対して、アドバイスをすることもできません。「どこがおかしいのか」ではなく、「どうおかしいのか」がしっかりと理解できるようになりましょう。
(ケースB)
文章を読んで「どこかおかしいな」と感じても、それが「どうおかしいのか」がわからないと、修正することができません。また、他者に対して、アドバイスをすることもできません。ただ、「どこかおかしいな」と感じることが実は重要です。おかしさに気づかなければ、何も始まらないからです。そして、「どこかおかしい」と感じる、その感覚は、大抵、合っています。たとえ、「どうおかしいのか」がわからなくても、「どこかおかしい」というその感覚を大切にしてください。その上で、「どこがおかしいのか」だけではなく、「どうおかしいのか」もしっかりと理解できるようになりましょう。
解説
(ケースA)と(ケースB)を意外性という視点で比較をしてみます。
冒頭の内容は、(ケースA)、(ケースB)とも同じです。以下のように書かれています。
文章を読んで「どこかおかしいな」と感じても、それが「どうおかしいのか」がわからないと、修正することができません。また、他者に対して、アドバイスをすることもできません。
さて、ここまでを読んだときに、後にどのような内容が続くと想定するでしょうか。
書いてあることは、「どこかおかしいな」と感じるだけでは不十分で、「どうおかしいのか」がわからないと次のアクションにつなげることができないということです。「どこかおかしいな」と「どうおかしいのか」の2つの事象を比較すると、後者の「どうおかしいのか」の方が重要であるということが述べられています。したがって、「どうおかしいのか」ということがわかることが重要だといったメッセージが続くのだろうと予測できます。
続きを確認してみましょう。
(ケースA)は、予想に沿う形で、「『どこがおかしいのか』ではなく、『どうおかしいのか』がしっかりと理解できるようになりましょう」と「どうおかしいのか」が重要であるというメッセージになっています。
(ケースB)は、予想に反する形で「ただ、『どこかおかしい』と感じることが実は重要です」と「どこかおかしい」と感じることが重要であるというメッセージが出てきます。 予想されるメッセージが続かないという意味で、(ケースB)の方が意外性のあるメッセージということになります。
- 言いたいことを表現してみる
- 順接的なメッセージではなく変化をつける
『入社1年目から差がつく ロジカル・アウトプット練習帳』
著・編集:グロービス (著)、岡重文(著) 発行日:2023/5/31 価格:1,760円 発行元:東洋経済新報社