今年5月発売の『入社1年目から差がつく ロジカル・アウトプット練習帳』から「Lesson14 スライドに仕事をさせる」の一部を紹介します。
いまや多くの人がパワーポイントでスライドを作り、発表をする場面が増えています。全体のストーリーももちろん重要ですが、枚数が少ない場合ほど、1枚1枚のスライドを丁寧に作ることが求められます。
パワーポイントのスライドは、情報を盛り込みすぎるとかえってうるさくなってしまいますし、ポイントが見えづらくなってしまいますが、一方で情報が少なすぎると、その分を口頭で補わなくてはなりません。最近ではスライドの資料を共有して後で再度見てもらうこともありますが、その際、口頭で補った部分は消えてしまうことになります。
そこで、どうしても伝えたいことは端折るのではなく、スライドにうまく残す工夫ができないかを考えてみましょう。ポイントを盛り込みつつ、ごちゃごちゃしていないスライドをしっかり作ることが、読み手の理解を助けるのです。
(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)
演習問題
以下のスライドと説明の内容を確認して、スライドにさらにどのような工夫ができるかを考えてみてください。
(説明)
皆さん、3日間、お疲れさまでした。座学で学び、プログラムを制作し、そして、発表しあった、3日間でした。いかがでしたでしょうか。大変だったとは思いますが、この3日間で得たものは、これからきっと役に立つことと思います。引き続き、継続して取り組んでみてください。 最後に、1つお伝えしたいことがあります。プログラムができますかと聞かれたら、できますというのはまだちょっと言い過ぎかもしれません。ただ、プログラムをやったことがありますかと聞かれたら、「はい」と自信を持って答えてもらって構いません。この「O」と「1」の違いはとっても大きいと思います。また、ご一緒できることを楽しみにしています。
解説
スライドを使いながら、説明をするという意味では、特に問題がないメッセージです。一方で、メッセージに対して、スライドの情報は十分かという視点で考えてみましょう。そう考えると、メッセージの後半にあたる「プログラムができますかと聞かれたら、できますというのはまだちょっと言い過ぎかもしれません。ただ、プログラムをやったことがありますかと聞かれたら、『はい』と自信を持って答えてもらって構いません。この『O』と『1』の違いはとっても大きいと思います」については、スライドにその記述がありません。
そう考えると、このメッセージは、聞き手がメモをとらない限り、残らないということになります。聞き手のメモに委ねるという形ではなく、伝えたいことが確実に伝わるように「文字に起こす」ということを意識するようにしましょう。
オンラインは、音声と画面(スライド)が、相手に伝えられる情報の中心となります。音声(口頭)で内容をしっかり伝えるというのはもちろんですが、スライドに工夫を施さない手はありません。幸い、プロジェクタの投影環境と比べると、より細かい文字まで伝達が可能です。積極的に文字にするということも意識していきましょう。
『入社1年目から差がつく ロジカル・アウトプット練習帳』
著・編集:グロービス (著)、岡重文(著) 発行日:2023/5/31 価格:1,760円 発行元:東洋経済新報社