今年5月発売の『入社1年目から差がつく ロジカル・アウトプット練習帳』から「Lesson07 事実に意見を乗せる」の一部を紹介します。
同じ事実を見たとしても、一人ひとり意見は異なるものです。ペットボトルに半分の飲料が入っているのを見て、「もう半分しかない」という意見を言う人もいれば。「まだ半分もある」という意見を述べる人もいる、というのは有名な事例です。
ビジネスパーソンにとって価値の高い意見とは、事実にしっかり基づきながらもビジネスを前に進めるような、他人には思いつきにくい個性的な意見です。
たとえば靴を履く習慣がない国があったとして、靴メーカーの社員が「ここにはビジネスチャンスがない」と言っていては平凡ですし、あまり価値が出せません。このケースであれば、「靴を履く習慣を根付かせることができれば、非常に大きな市場性がある」という意見の方がビジネスを前に推進させられる可能性が高いのです(もちろん、実際にこれに取り組むか否かの判断の際にはさらなる精査が必要です)。
着眼点を変えたりすることで自分ならではの尖った意見を出したいものです。
(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)
STEP UP
人はなぜ異なる意見を持つのかということを考えておきましょう。事実と意見という視点から整理すると、意見は「事実」が起点になることがわかります。 そうなると、考えられるケースは、次の3つになります。
- 「事実」が揃っていない
- 「事実」が揃っていても、着目している場所が違う
- 「事実」に対して、同じ見方ができたとしても、「意見」の土台となる前提が異なる
「事実」が揃っていない
そもそも、保有している事実が違うという可能性があります。一方で、それぞれが持っている情報が違うことは逆に当たり前です。意見交換を始める前に、お互いの持っている情報は同じであるのかをきちんと押さえるようにしましょう。
「事実」が揃っていても、着目している場所が違う
仮に、持っている情報自体が同じだとしても、どこに着目して情報を捉えるかはやはり人によって異なります。自分に有利な情報に敏感になり、逆に不利な情報は避ける傾向があります。情報量が揃っているだけでなく、お互いが等しく情報を見られているかという点にも留意しましょう。
「事実」に対して、同じ見方ができたとしても、「意見」の土台となる前提が異なる
最後に、持っている情報も見ている情報も同じだとしても、同じ意見を持つかはわかりません。なぜなら、意見を導き出す前提が人によって異なるからです。一般的に、組織は機能に特化して作られます。そうすると組織が違えば、優先される判断軸は異なってくることが普通です。また、個人として、何を判断軸として優先するかは当然異なってきます。
したがって、むしろ意見は違うことが自然と考えて、その違いはどこに起因しているのかを理解するようにしましょう。
あなたの立場なら、私も同じ意見を持つかもしれないという状況になって、初めてお互いが理解しあえており、議論の前提が揃ったと言えます。違う風景のまま議論をするのは、不毛なもの。同じ土俵に乗った上で意見交換ができるようにしていきましょう。
『入社1年目から差がつく ロジカル・アウトプット練習帳』
著・編集:グロービス (著)、岡重文(著) 発行日:2023/5/31 価格:1,760円 発行元:東洋経済新報社