『GE 巨人の復活』――大企業はどうすれば変われるのか? 

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大企業はどうすれば変われるのか――本書は、ジャック・ウェルチが作り上げた「コングロマリット(巨大複合企業)」の変革を、スピーディーかつ大胆に進めているGeneral Electric(GE)のここ数年の内情を、詳細にわかりやすく描いた本だ。

「脱・製造業からデジタル製造業へ」「M&Aとリストラによる成長から自力での成長へ」「大企業からスタートアップへ」「激しい社内競争からチームワークへ」等々。こうした挑戦に対し、経営トップ陣へのインタビューも含め、具体的事例をふんだんに交えて切り込んでいく。

とりわけ人材の採用・育成・評価に関わる部分が非常に興味深い。例えば、シリコンバレーの中心地まで通勤することに疲れたエンジニアを引き抜くため、敢えてイーストベイにオフィスを移転。また、経営幹部を筆頭にリーンスタートアップについて学び、GE版リーンスタートアップである「ファストワークス」を定めて100個のパイロットプロジェクトを即実践した。

さらに、「失敗を奨励する文化」へシフトするため、Good:20%、Average:70%、Poor:10%の比率で社員をラべリングする人事制度を撤廃。一方で、シリコンバレーに倣ってフィードバックの頻度を高めるためにスマホアプリを導入、デジタルシフトに合わせて全面改訂した「GE ビリーフス(信念)」の各項目に照らし合わせて、社員の行動がビリーフに従っている場合は「コンティニュー(継続)」が、従っていない場合は「コンシダー(再考)」の通知がコメントと共に2週間に1度届くようにした。

私自身、2012年までの数年間日本GEに所属していたこともあり、本書の内容や前述のスマホアプリを目の当たりにし、その急速な変化については驚きを隠せない。反面、「トップが一度決断したことは全世界で迷わず一気に動かす」「全社員が変化を前向きに捉える」といった、いわばGEのDNAともいえる部分は、デジタルシフト前後で何ら変わっていないという印象も持っている。つまり、大企業が大胆な変革を進めるには、それを受け入れる「社内風土」「カルチャー」という土台をきちんと作り上げておくことが大前提であるということも、強く感じたのだ。

なお、ここ最近のGEの株価の推移は芳しくなく、投資家は本書に描かれているGEの変革をまだ評価するには至っていない。ジェフ・イメルトの後を受けて今年8月からCEOに就任したジョン・フラナリ―が、デジタル製造業への挑戦をどのように発展させていくのか。彼の舵取りにも全世界の注目が集まっている。

 

『GE 巨人の復活』
中田敦(著)
日経BP社
1600円(税込1728円)

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