プレゼンテーションを上達させるおすすめ本5選 

グロービス経営大学院 教員が選ぶ
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プレゼンテーション(以下、プレゼン)が上手くなるための最善の方法は、何度も何度も繰り返しプレゼンをすることに尽きる。

一方で、プレゼンが上達するまでに読むべきたくさんの優れた本がある。筆者は、グロービス経営大学院の英語MBAコースで「ビジネスプレゼンテーション」のクラスを受講する学生に、今回ご紹介する5冊をすすめることにしている。これらの本のおかげで私のプレゼンやスピーチは上達した。読者の皆さんも、ストーリーの構成、わかりやすく説得力のあるスライドの作成、リハーサルの必要性、自信をつける方法等々、プレゼンの実践に役立つ新しい洞察や見方をきっと得られるだろう。

プレゼンやスピーチのスキルは、いろいろなスタイルやテクニックを見て繰り返し学ぶことで身に付けていくものだ。もうプレゼンは十分に上手いから学ぶことなんかないと言う人がいたら、その背中を優しくたたき、これらの本をすすめよう。私たちはいつだって上達することができるのだから。 

Presentation Zen by Garr Reynolds

「素晴らしいスライドプレゼンテーションは、日本のお弁当のように、適切なコンテンツをもっとも効果的で洗練された形で配置しており、余分な装飾は一切ない」 

5冊の中から1冊だけを読むなら、これがよい。プレゼン上達に必要なすべてがこの中にある。この革新的な著作は、プレゼンに対する人々の意識を大きく変えた。タイトルからもわかるように、プレゼンに禅の精神、つまりミニマリズム、シンプルさを取り入れることを説き、これがスライド(少ないほど豊かである)作成だけでなく、メッセージの内容やその伝え方においての成功のカギであると述べている。

「初心者の目」を持ち続け、何よりもまず聴衆のことを考え、自分の創造性について考えることがこの本の重要なテーマである。どこでプレゼンを作るか(ヒント:オフィスではやらないこと)は、最終的な作成物に大きな影響を与える。

ガー・レイノルズは10年以上奈良に住み、日本の自然、文化、プロダクトデザインなどからインスピレーションを受けてきた。私がこの本から学んだ重要なことの1つは、環境に意識的になり、そこからインスピレーションを受け、それを自身のプレゼンに取り入れることの重要性である。

【日本語版はこちら】

Resonate: Present Visual Stories that Transform Audiences by Nancy Duarte

「私たちはみな、世界をより良い場所にするという夢をもって生まれてきた。その夢を伝えられるようになること、それが世界をより良い場所にする」 

私たちはなぜストーリーを聞くのが好きなのだろうか。ストーリーをビジネスプレゼンテーションに取り入れて聴衆の心をつかむにはどうしたらよいのだろうか。

本書は、偉大なスピーチや物語に共通するものを示し、この構造をプレゼンに取り入れ、聴衆の心に響き聴衆を巻き込む視覚的メッセージを作るにはどうしたらいいかを伝えている。具体的には、聴衆とつながることがスピーチやプレゼンの成功のカギであるとして、ストーリーテリングをプレゼンに取り入れ、他者に情報を与え、説得し、触発する方法を提示している。これはビジネスに関わる人すべてがしなければならないことである。

ところで、デュアルテはアメリカでデザイン会社を経営しており、彼女の作品は非常に大きな影響力をもっている。気候変動についてのアル・ゴアの素晴らしいドキュメンタリー「不都合な真実」で用いられたスライドを作成したのは彼女である。

The Storyteller’s Secret by Carmine Gallo

「自分でインスピレーションを受けていないのに人にインスピレーションを与えることはできない。ストーリーテリングの技術をマスターするコツは、まず深く掘り下げること、そしてあなたが本当に好きなこと、望むことは何かをはっきりさせることだ」 

感情と情熱をこめてストーリーを語ることは、人間のコミュニケーションや説得の言葉の中心にあるものだ。しかし、私たちの多くは感情やストーリーはビジネスプレゼンテーションには合わないと思っており、プレゼンに入れ込んだりしない。

本書は、なぜストーリーテリングが効果的なのかを説明し、ストーリーテリングの背後にある科学やそれがどのようにして人類の進化の一部となったのかを説明している。さらに、ウィンストン・チャーチル、オプラ・ウィンフリー、イーロン・マスク、スティーブ・ジョブズなど、様々なストーリーテラーの事例を紹介している。彼はまた、リチャード・ブランソンなどのCEO、ベン・ホロウィッツなどのベンチャー投資家にインタビューしているが、彼らは皆そろって、宣伝の言葉や提案を聞くときにはストーリーが重要だと考えている。

ところで、日本人はよく「私たちはストーリーを語ったりプレゼンに強い感情を込めるのが苦手だ」と言う。このことについてカーマインにどうすればよいか聞いてみたことがある。彼のアドバイスは、「2020年の東京オリンピック誘致のプレゼンテーションを思い出してみて」と言うとよい、というものだった。彼はほぼ一章を割いて、ブエノスアイレスでのプレゼンで日本がどのようにストーリーテリングの技術を使い、情熱と感情のこもったストーリーに基づいた言葉でオリンピック誘致委員会を感動させ、オリンピック開催を勝ち取ったのかを示している。

そう、日本人は信じられないほど素晴らしいストーリーテリングをすることができるのだ。

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TED Talks: The Official TED Guide to Public Speaking by Chris Anderson

「プレゼンテーションの能力は少数の人々のための特別な選択肢ではない。それは21世紀の核となるスキルだ」 

クリス・アンダーソンは2001年からTEDを運営し、2006年にはTEDトークをオンライン上に公開したキーパーソンである。この本でアンダーソンは、TEDトークという現象について語るだけでなく、何が良いトーク、良いプレゼンを生むのかというテーマを深く掘り下げている。つまりTEDを成功に導いた信頼性、アイデア、構造、ストーリー、そして伝えようとする情熱について語っているのだ。

彼はTEDやTEDxでのトークは誰でも手の届くものであると固く信じており、伝える価値のあるアイデアを持っている人は誰でもTEDやTEDxで力強く、インスピレーションに満ちたトークができる、と繰り返し強調している。

この本の論調は信じられないほどポジティブで、失敗したTED トークのことを語る時もそこから何らかの教訓を引き出している。TEDのスピーチコーチやサー・ケン・ロビンソン、ダン・ピンク、サルマン・カーンなどの有名なTEDスピーカーが多くのストーリーを語り、アドバイスを示してくれている。それらはTEDスピーカーの心の中で起こっていること、舞台裏で起こっていることについての洞察を与えてくれる。

本書は自分のアイデアで他の人にインスピレーションを与えたいと望む人にとって、素晴らしい本だ。

【日本語版はこちら】

Confessions of a Public Speaker by Scott Berkun

「一言も発さないうちに犯している間違いこそが重大な間違いである。興味深い意見を持っていないこと、主張したいことについて明確な考えをもっていないこと、そして聴衆に合った伝え方を考えていないことがそれにあたる」

5冊の中ではこれがいちばん面白い。バークンは良いスピーチや悪いスピーチから学べること、そして聴衆に対するポジティブな態度について語っている。そして、聴衆を重んじ、よく準備して彼らに向きあえば、聴衆の方も注目で報いてくれると言う。

バークンは、パブリックスピーカー自身がスピーカーに対する最悪の批評家になることがある、という優れた指摘もしている。スピーカーはしばしば間違えることを心配しすぎ、小さな間違いを大げさに考え、良くないことについて心配する。間違いは起こるものだし、いくらか緊張してしまうのは仕方ない。大事なのは念入りに準備して、プレゼン前のリラックス法を身に付け、どんな間違いも学習の機会だとみなすことである。そして、前に進むのだ。

この本を読めば確実に、誰でも自信をもってパブリックスピーチができるようになるだろう。

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