キャンペーン終了まで

割引情報をチェック!

ミドルマネジャーになってから経営学を学ぶのでは遅い

投稿日:2021/12/04更新日:2021/12/17

今年11月発売の『グロービスMBAミドルマネジメント』から第1章4節「ミドルマネジャー特有の課題」の一部を紹介します。

ミドルマネジャー、特に初の管理職となるマネジャー(おおむね課長に相当)には、彼ら彼女らに固有の課題があります。たとえば「プレーヤー意識が抜けない」「エンパワメントがうまく行えない」「上司と現場の部下の板挟みになる」「ビジネス経験の浅い部下が多い」などです。これらは構造的な問題でもありますが、効果的にクリアしないとマネジャーの仕事は成り立ちません。

そしてこれら以上に大きな課題となるのは、マネジャーになったにもかかわらず、経営学の知見が弱く、経営者の視座が持てないというものです。経営学の知見があれば難なくクリアできる課題であっても、それがないがゆえに効果的な解決策を立案できない、あるいは何とかアイデアをひねり出したとしても視野狭窄になってしまい、全体最適を達成できない。そのようなケースは非常に多いものです。

今の時代、ミドルマネジャーになってから経営学を学ぶのでは遅すぎます。マネジャーとして早くバリューを出すためにも、若いうちに、可能であれば20代からある程度は経営学の素養と経営者の視座は持ち合わせたいものです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

_経営の視点が持てない(視座が低くなりがち)

コンサルティング業界などでは、「良い組織は課長が部長や経営者の視座(視点)で考えている。普通の組織は、課長は課長の視座で考える。ダメな組織は、課長がプレーヤーの視座でしか考えられない」という言い習わしがある。これは我々の実感値とも非常によく合う。

マネジャーが経営陣の意図を理解したうえで動いている組織は、マネジャーの上司からの指示がなくても「どうすれば経営目標をより効率的に達成できるだろうか」「生産性を上げるには何をなすべきか」といったことをよく考えているものだ。また、そうしたマネジャーは積極的に他部署とも連携を取り、組織横断的な問題の解決(例:業務プロセスの改善や、機能間のベクトル合わせなど)に取り組むものである。これは当然会社や事業全体の生産性を上げる。

逆に、マネジャーの視座が低い組織は、マネジャーは近視眼的になって目の前に与えられた業務にしか目がいかず、また他部門との連携なども取れなくなってしまう。これではなかなか結果がついてこない。

こうしたことが起こる原因の第一は想像力の不足である。「経営者の発言の裏にはこういう意図があるのだろう。であれば、これをしよう」「自分が経営者の立場なら、自分の部署にこういう行動をとってほしい」などと考えられるマネジャーは、おのずとそうした行動をとるものだ。ただし、このような発想を持てる人は必ずしも多くない。特に新任マネジャーはそうである。経営者やシニアマネジャーが戦略や個々の施策の背景などもすべて丁寧に説明できれば、こうした問題も解消されるのだろうが、現実的には時間的制約などからそれは不可能である。それゆえマネジャーの想像力に頼らざるを得ない部分が出てくるのだが、そこには必ずばらつきが生じるのだ。

第二の理由は、経営というものに関する理解の不足である。これが上記の想像力不足にも関わってくる。言い方を変えれば、経営大学院で教えられているような基礎的素養の不足である。たとえばワーキングキャピタル(運転資本=在庫十売掛金−買掛金)が組織のキャッシュフローを圧迫し、場合によっては資金調達を要するというのは、企業財務の基本中の基本である。しかしそうした知識がない小売店の店舗マネジャーであれば「店舗の在庫を削れというけれど、在庫を削るということは品揃えが悪くなるということだ。それでは顧客に来てもらえない。上は何を考えているんだ」といった経営学的にはバランスを欠いた不満を持ってしまうかもしれない。小売店の店長は通常、売上責任を与えられるものだが、それが過剰に強調されると、この不満はさらに増すだろう。

こうした知識を学ぶのがMBAだが、あらゆるマネジャーがMBA的な素養を持っている組織は、投資ファンドなど一部のプロフェッショナルファームに限られる。また、個別の知識はあっでもそれを体系的に紐づけながら理解している人間は多くはない。

経営者の視座、少なくとも上司の視座を持つべきというのは、言うのは簡単だが、それなりの経験や勉強が必要なため、一朝一夕には解決しないのである。逆に言えば、だからこそマネジャーがMBA的な知識を理解し実践している部署は高いアウトプットを出しやすくなるのである。

グロービスMBAミドルマネジメント
著者:グロービス経営大学院 監修:嶋田毅 発行日:2021/11/30 価格:3,080円 発行元:ダイヤモンド社

さらに実践的な学びを体験したい方はグロービス経営大学院の体験クラスもご覧ください。

グロービス出版

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

サブスクリプション

学ぶ習慣が、
あなたを強くする

スキマ時間を使った動画学習で、効率的に仕事スキルをアップデート。

17,800本以上の
ビジネス動画が見放題

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

利用者の97%以上から
好評価をいただきました

スマホを眺める5分
学びの時間に。

まずは7日間無料
体験してみよう!!

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

新着記事

新着動画コース

10分以内の動画コース

再生回数の多い動画コース

コメントの多い動画コース