問題解決の第一歩。問題は複雑に絡み合っていることを忘れずに

今年7月発売の『入社一年目から差がつく 問題解決練習帳』から「Lesson9 安心して、次に進む」の一部を紹介します。

問題が生じたとき、どこに問題が生じており、その原因は何かを探ることは基本中の基本です。たとえば自分が担任しているクラスの生徒の成績が落ちているのであれば、どの生徒の成績が落ちているのか、どの科目で成績が落ちているかを調べることでしょう。一見当たり前のようですが、こうした基本は意外と忘れられがちです。

特に、最初の分析(切り分け)である程度の説明がつきそうと判断すると、そこで拙速に手を止めて、次のステップに進んでしまうことが少なくありません。しかしそれは危険です。多くの問題は、たいていは複数の原因が絡み合いながら、いろいろな部分に多面的に影響を与えているものです。問題解決を確実に進めるためにも、まずは初動を確実に行い、問題の大枠を捉えることが大切なのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

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 何が起こっているかを明確にして、その原因を考える。これも問題解決で、よく言われることです。では、原因はどのタイミングで考えればいいのでしょうか。逆に、「何が起こっているのかを明確にする」ことは、いつその手を止めていいのでしょうか。安心して次に進むためにはどうすればよいのでしょうか。

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今月の売上が前月に比べ、100万円下がってしまいました。原因を究明すべく店舗別に比較をしたところ、以下のようになりました。A店の落ち込みが最も大きく、前月との差は50万円です。A店に問題があるとして、その原因を考えていってもよいでしょうか。

確かに、3店舗の中ではA店の落ち込み額が一番大きい状態です。どこかの店舗にフォーカスして調べていくのであれば、A店を中心に考えるのもひとつのやり方です。

しかし、全体での売上の落ち込み額は100万円、A店の落ち込み額は50万円です。A店の影響はそれなりにありそうですが、A店の落ち込み額だけでは、全体の落ち込み額のすべてが説明できている訳でもなさそうです。

そこで、さらに商品別で分解をしたところ、以下のようになりました。商品別で見ると、商品Xの売上が全店舗で減少していることが明らかになりました。商品Xの売上は、前月が450万円、今月が375万円ですので、商品Xの売上は75万円、落ち込んでいることになります。全体の落ち込み100万円に対して、すべてではないものの、ある程度が説明できそうです。

さらに詳しく調べてみると、A店は店長が交代したばかりでメンバーとの関係性がまだ上手く構築できず、店舗として体制が作れていなかったことがわかりました。また、商品Xについては、競合が類似商品を市場に投入し、その影響で売れ行きが鈍っていたということも判明しました。同時に2つの問題が発生していたことになります。

このように発生している問題はひとつとは限りません。複数の問題が同時に発生している可能性もあります。その場合は、分解をした結果、ひとつの特徴的な事象がわかったとしても、その特徴だけでは、起こっていることのすべての説明かつかないことになります。もし、説明かつかないのであれば、他に特徴的な事象がないか、さらに分解を続けていく必要があるということです。

分解をいつ止めてよいかは、分解をした結果、見えてきた事象で起こっていることのすべてが説明できるかどうかで判断をすればよいということになります。

入社1年目から差がつく 問題解決練習帳
著者:グロービス 執筆:岡重文 発行日:2021/7/30 価格:1760円 発行元:東洋経済新報社

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