まとまった時間がとれる夏休み。ビジネスパーソンとして一皮剥けるような本を読みませんか?グロービス経営大学院の教員が、この夏じっくり読んで欲しいおすすめ本を5冊ご紹介します! 2016年版はこちら>>
むち打ち症になるくらい速い世の中をどう生き延びるか
9プリンシプルズ
推薦: 荒木博行
推薦コメント: MITメディアラボ所長・伊藤穰一さんの書籍という理由だけで手に取った本書。内容もさることながら、原著のタイトルも負けずと刺激的。"Whiplash" は「むち打ち症」という意味らしいです(笑)。この奇抜な原題が意味するところは、むち打ち症になるくらい変化の速い世の中でどう生き延びるのか、ということ。そして、そのための原則が9つにまとめられています。僕は内容そのものよりも、書籍の中にある「言葉との出会い」を楽しみました。「スイッチの入った周辺視力」「地図よりコンパス」「抽象的な思考は架け橋になる」等々。これらの言葉に頭を揺さぶられました。ひょっとしてこの揺さぶりこそが「むち打ち症」というタイトルの真の意味なのか・・・という妄想はさておき、ぜひ皆さんも本書を通じて「言葉との出会い」を楽しんでください。
仕事のやり方に「隠れた前提」はないか自問したい
やりたいことがある人は未来食堂に来てください
推薦: 西口敦
推薦コメント: 外食業界の「隠れた前提」を疑う、クリティカル・シンキング本と言ってよいでしょう。東工大の数学科卒、IBM、クックパッドのエンジニアというリケ女ど真ん中の著者。その著者が、外食業界のさまざまな「当たり前」にチャレンジしていく。たとえば、「なぜ飲食店にはメニューがあるんだろう?」という疑問から、「日替わり1種類」に絞り込み、高い利益率と厨房オペレーションの余裕を獲得する。通常の定食屋は、一つのタイマーで「揚げ時間5分、冷凍魚7分・・」というように毎回いちいちセットしていることに疑問を持ち、「だったら設定時間の違うタイマーを10個用意しておけばいい」などなど。外食のような改廃業が激しく、考えうる工夫はすべて行われてそうな業界でさえも、こんなに「隠れた前提」があるのです。あらためて、自業界や自分の仕事のやり方を見なおすヒントが満載です。
AIがもたらす未来をポジティブに見据える
〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション
推薦:佐藤剛
推薦コメント: 将来、AIに取って代わられる職業というテーマが話題にのぼることがあります。これまで人間が主体的にしてきたことの一部がAIによって決定される、つまり人間の行動の幅が狭まることに関心が寄せられていると言えます。本書は正反対に「弱いロボット」が人間の行動の可能性を拡げると主張します。強いロボットであるAIを弱いロボット視点から見直すことによって、AIのこれからのあり方にヒントを得ることができるのではないでしょうか。
欧米のベストセラー本からファイナンスの裏側を知る
金融に未来はあるか
推薦: 嶋田毅
推薦コメント: 本書は、世界的エコノミスト兼エッセイストである著者が、改めてリーマンショックに触れながら、金融業の存在意義について一石を投じ、欧米の著名な賞を総なめにした1冊です。近年特に複雑化している金融の本質やリスクを平易な言葉で解説する洞察力と筆力は余人には代えがたいと言えます。一般のビジネスパーソンにとって、金融は本来は社会的インフラとして健全であるべきですが、それがまたもや「羹に懲りず」逆の方向に向かっているというのは、憂慮すべき問題と言えます。特定業界の分析書としてだけではなく、MBAの基本科目でもあるファイナンスの裏側を知る書としてもおすすめです。
デザイン思考の初めの一歩を踏み出す
ユーザーインタビューを始めよう リサーチのための「聞くこと」入門
推薦:難波美帆
推薦コメント: 世界的企業や経営者は、今「デザイン」を理解し、