『ワーク・ルールズ!』――Googleに学ぶ理想的な人材マネジメントとは? 

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VUCA(Volatility, Uncertainly, Complexity, Ambiguityの頭文字を取った言葉)の時代とも言われ、不確実性の高い現代において、人と組織をうまくマネジメントし、成果を生み出して行くために、人材マネジメント(人事制度や人事施策全般)は今後どうあるべきか、関心を持つビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

私自身、クライアントから、人材マネジメントの課題について話を伺う機会があります。今のままでは、外部環境や経営戦略と整合していないとわかっているが、あるべき姿を描けない、コンセンサスを得られない、という話が大半です。

また、世界的な人材マネジメントのトレンドとして、以下のようなことが言われています。
・年次業績評価は時代の要請に合わず、短いサイクルで上司が部下へフィードバックを繰り返すスタイルに変える企業が増えている
・ビジネスにおける意思決定は主観や経験則からデータドリブンへの変革が求められており、人材マネジメントにおける各種制度や施策なども、データによる根拠を求められる場面が増えている

このような問題意識やトレンドに対し、具体的な打ち手に関するヒントを得られないかと思い手に取ったのが『ワーク・ルールズ!』です。

本書はグーグルの人事トップが、組織文化から始まり、採用、評価、報酬、育成、福利厚生等、各分野においてのグーグルの取り組みを惜しげもなく明かした本です。ポイントは、なぜその制度・施策なのか、グーグルが目指している企業像や、過去からの経緯、どのような議論がなされてきたのか、という背景も詳述されている点です。これによって読者は、グーグルとは異なる環境であっても、自身、自社への適用を検討しやすくなります。

同社のアプローチは戦略的です。過去様々な企業で取り入れられてきた各種制度や施策など幅広い選択肢を洗い出すとともに、科学的な研究がなされている分野については、その成果を存分に活用します。そして、自社に最適と思われるやり方をまず仮説として考え、やってみて、その効果を検証し、絶えず改善しています。

例えば採用面接について、一般的に面接者は評価を初めの5分で行い、それ以後の時間は最初の評価を確認するために費やされるという、「確証バイアス」の問題があります。その解決策として、グーグルでは面接者に必要な評価項目と、効果的な質問例を明示した上で面接をさせます。その後、面接で実際にした質問とその答え、それに対する評価を明記させ、複数の目でチェックできるようにしています。さらに、その回答から面接者の評価の信頼性をデータで測定し、信頼性に劣る面接者は教育する、採用担当から外すなどの対処を行っているといいます。

また、多くの企業が課題を抱える業績評価については、評価のスケールを41段階から5段階に変更し、いくつかの興味深い改善点が得られているとのこと。例えば従来あまり使われなかった最高評価と最低評価をマネジャーはより頻繁に使うようになり、それによって対象者をより適正に評価するようになったといいます。さらに、こうしたシンプルなスケールを採用することで、より一貫性のあるフィードバックができるようになったのです。

こういった取り組みに対して、すべての企業に当てはまるのか、あるいはここまでやる必要があるのか、という疑問が当然湧いてきます。しかし、安心してください。先に述べたように本書では、現時点でベターと考えられる制度・施策と、そこに至るまでの経緯、判断の結果と根拠などが豊富に示されており、それを踏まえて、自社に取り入れられるのかどうかを判断することができるのです。

新時代の理想的な人材マネジメントやデータドリブンの人事管理に関心のある方、ぜひ一読をお勧めいたします。

 

『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』
ラズロ・ボック (著), 鬼澤 忍 (翻訳), 矢羽野 薫 (翻訳) 東洋経済新報社
1,980円(税込2,138円)

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