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予測損益計算書(P/L)とは: 予測が当たらない=悪いことではない

投稿日:2017/01/07更新日:2021/12/29

『グロービスMBAビジネスプラン』から「予測損益計算書」を紹介します。

新規事業を行う際には、通常、ある程度の予測財務計画を作ります。それによって必要となる経営資源などの目途を立てることもできますし、予測より売上げや利益が少ない等の問題があった際にしかるべきアクションをとるなど、PDCAを回す上でのツールともなるからです。

ただ、新規事業が斬新なものになればなるほど、通常、そうした財務計画は当たりにくくなります。特に売上げ予測を正確に立てることは難しくなります。筆者も何度かそうした計画を作ったことはありますが、残念ながら、大きく外れる場合も少なくありませんでした。ただし、だからと言って何の財務計画もなく先に走るのは好ましいことではありません。そうした予測財務計画の限界は理解しながらも、なるべくそれをしっかり立てようとする用意や準備、思考投入こそが新規事業を成功に導く可能性を高めるからです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

予測損益計算書

ビジネスプラン作成にあたっては、5年から10年程度の予測財務諸表とそれに伴うキャッシュフロー予測が欠かせない。ビジネスの良し悪しを判断するためには、良くも悪くも財務数字の裏付けが欠かせないからだ。

とはいえ、一般に、ビジネスプランの段階で、予測貸借対照表(B/S)をつくることはあまりない。通常は、予測損益計算書(P/L)をつくり、そこから予測キャッシュフローを計算する。まずは予測損益計算書のつくり方を見てみよう。

売上げ予測の方法

ケースで紹介したイーズ・オフが最も苦労したのが、売上げ予測である。売上げ予測について、アメリカのあるアントレプレナーシップの専門家は次のように述べている。

「優れたビジネスプランは、たいてい上手なコスト予測をしている。研究開発費やマーケティング費用、一般管理費などを比較的正確に予測してくるのだ。だがその優れたプランでさえ間違ってしまうことがあるとすれば、それは売上げの予測である」

それほどまでに、売上げ予測は難しい。1つの解決策は、予測が多少は外れても問題にならないように対策を立てておくことだ。その方法については第2節で説明するとして、ここでは基本的な売上げ予測の方法について述べておこう。

基本的には製品やサービスの売上個数と価格を予測し、それを掛け合わせる作業を繰り返す。イーズ・オフのような事業の場合であれば、店ごとにその月に何人来店するか(来店客数)を予測し、顧客1人が平均いくら支払うか(客単価)を予測して、両者を掛け合わせる。来店客数や客単価は、これまでの実績や同業他社の動向などを参考にして予測する。

イーズ・オフのように同業他社が存在しないのなら、類似の事業についての情報が多少は参考になるかもしれない。

図表にイーズ・オフの売上高を計算するための「予測売上高計算書」を示した。各店舗の売上げと一番下の総売上げの欄には計算式がインプットされていて、それ以外の項目を入力すると売上高が自動的に計算されるようになっている。

費用の予測方法

費用の予測は売上げの予測に比べたら比較的簡単である。人件費は雇う人数によっておおよそ決まってくるし、家賃もほとんど変動することはない。広告費はどちらかと言えば予算を先に決めて、その範囲内で効率的な活用を考えるものである。原材料などの仕入れ費用は売上げによって変わってくるので、売上げの何%かかる、という形で考えておく。

費用の予測で難しいのは、原材料の仕入れ価格などが大きく変動する場合である。ことに農作物や貴金属、工業用レアメタルなど、相場や為替によって大きく価格が変わるものが費用の大きな部分を占めている場合、費用の予測は困難になる。その場合は、過去の相場をよく研究するか、製品市場に詳しい人にアドバイスを求めるなどの対策が必要になる。

(本項担当執筆者: グロービス出版局長 嶋田毅)

次回は、『グロービスMBAビジネスプラン』から「感度分析」を紹介します。

https://globis.jp/article/5079

『[新版]グロービスMBAビジネスプラン 』 
グロービス経営大学院 編著
ダイヤモンド社
2,800円(税込3,024円)

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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