2017年はどのような年になるのか、どのような年にしたいのか――。グロービス/グロービス経営大学院のリーダー陣10人が、それぞれの視点から展望と提言を語る。(企画・構成: 水野博泰=GLOBIS知見録「読む」編集長)
2016年5月、「シンギュラリティ」という概念を世の中に広めたレイモンド・カーツワイル氏が設立した、シリコンバレーにあるシンギュラリティ・ユニバーシティの1週間のエグゼクティブコースに参加した。そこで印象に残った言葉は2つ。1つはExponential(指数関数的)、1つはAQ(Adaptability Quotient / Adversicty Quotient、逆境指数)だ。
AI(Artificial Intelligence、人工知能)技術の進歩などにより、今、様々なことが大きくが変わろうとしている。身近なところで言えば、アマゾンで買い物をしても、Siriに何かを問いかけても、グーグルで翻訳をしても・・・。もはやAI技術なくしては私たちの生活は成立しない時代になっている。
このような変化のスピードが指数関数的(2軸のグラフで、X軸が右に行くにつれ劇的にY軸の値が大きくなるグラフを見たことがあるだろう)である。変化のスピード自体が指数関数的に速まっていくというのが、シンギュラリティ・ユニバーシティの大きなメッセージの1つだ。あらゆることが劇的な変化を強いられる。
もう1つがAQという概念。IQ(Intelligence Quotient、知能指数)、EQ(Emotional Intelligence Quotient、心の知能指数)の次は、AQだという。AはAdaptabilityの頭文字だ。激変する社会にどれだけ適応できるか、順応できるかが、会社のそして個人の行く末を決める。変化できる者だけが、この時代を生き残ることができる。ダーウィンが語ったとされる(本当は違うらしい)あの概念だ。しかし、その当時と今では少なくとも技術の変化のスピードはけた違いだ。つまり、変化のスピードもケタ違いでなければならない。
私は、「ある個人が変化する=できなかったことができるようになること」と考えている。変化し続けるということは、「学び続ける」ということだ。2017年以降は「学び続ける」ということの重要性が、それこそ指数関数的に高まるはずだ。
自分がありたい姿、成し得たいこと、つまり志はぶらさず、一方で必要な能力は時代に合わせて開発し続ける。そんなことを強くイメージした1年にしたいと思う。