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高橋靖 水戸市長に聞く 「地方創生、担う人材は地元で育てる!」

投稿日:2016/12/01更新日:2019/04/09

高橋靖 水戸市長 (千波湖と水戸市中心市街方面を背景に)

水戸を訪れた方々に「まちに元気がないよね」とよく言われるのだが、市全体で見ると人口、住宅数は増えており、市内総生産も上がっている。郊外のショッピングモールも多くの方が訪れ盛況である。

「まちの顔」となる中心市街地、そして、そこにある商店街の賑わいや活気の低下が、市外から訪れた方にとっては、それが水戸全体のイメージになってしまっている。

では、現在の中心市街地を昔のように再生させられるかと言うと、なかなか難しい。消費者のニーズや行動形態は多様化していることに加え、交通アクセスの向上により、東京へも行きやすくなっている。車社会になることによって、中心市街地や商店街の位置づけが大きく変化している。だからこそ、昔と同じような姿に「再生」するのではなく、新しく創り変える「創生」を目指す。

かつて中心市街地再生と言えば、駅前のデパートが撤退しないよう、つなぎとめたり、新たに誘致することが行政施策の中心であり、商業のいわゆる「商」に特化していた。

しかし、もはや「商」だけに目を向けていては、創生していくことはできない。新しい人たちを引きつけ、呼び込むため、行政機能をはじめ、「商」「住」「学」「遊」「医」「福祉」「観光」など様々な機能を集積させていく。日本遺産の弘道館や水戸城址を有する三の丸エリアでの歴史まちづくり、世界に誇れる水戸芸術館と新たな市民会館による芸術文化づくり、スポーツ文化の拠点となる東町運動公園新体育館の整備、そして歴史的自然景観が拡がる日本三名園の偕楽園。これらの点を線で結び面にしていく。歴史・文化の潜在力が水戸市の強みとなる。

さらには、まちの発展をリードする産業の担い手を育てていかなければならない。水戸市は、90%以上が第三次産業の従事者であり、ものづくり文化と人材が希薄だ。また、新しい事業を起こすための知識と経験を持った人材が非常に少ない。

私は、従業員12~13人の小企業の経営者でもあるが、勘と経験、義理と人情、浪花節で商売を行っていた。水戸には私のような経営者や企業が多く、事業が大きく育ちにくい。経営者も分かってはいるのだが、日々の経営に追われて立ち止まって考えてみる余裕がない。市長の立場になって改めて思うのは、地方創生の入り口はそうした旧態依然とした商慣行から脱却することにあるということだ。活力を失いつつある中心市街地を本気で創生するためには、新事業を立ち上げる論理的,戦略的な経営ノウハウを持った若手人材が必要である。

そうした人材を市外から連れてくるという考え方もあるが、多くの地方自治体がそこに苦慮していて、人材誘致は必ずしもうまく進んでいない。そこで、水戸市は水戸の人材を水戸で育てることにも力を入れることにした。

今年春、水戸出身の堀義人・グロービス経営大学院学長が故郷の中心市街地の現状を見て「水戸どまんなか再生プロジェクト」を立ち上げた。そのやり取りから、志ある水戸の人材を集め、彼らをここ水戸で変革者として育てればよいのではないかという発想にたどり着いたのだ。

水戸市からも要望を出して実現に漕ぎ着けたのが、「グロービス経営大学院 茨城水戸・特設キャンパス」である。来春の開校が待ち遠しい。骨のある多くの“水戸っぽ”が、ここ水戸で経営を学び、水戸で会社を起こし、水戸に多様な雇用を創出してもらいたい。また、二代目・三代目の事業継承者が多いのも水戸の特徴であり、第二創業という視点も重要になってくるであろう。水戸市としても、引き続き創業支援に力を入れていく。

地方創生を担う人材を、創生現場のど真ん中で育成し、経営や起業を学びながら、コミュニティや行政と一丸となって新しいまちづくりに取り組んでいく――。そんな新しい地方創生モデルに期待してほしい。(聞き手・構成=水野博泰 GLOBIS知見録「読む」編集長)

<グロービス・ニュース> グロービス経営大学院、「茨城水戸・特設キャンパス」を2017年4月に開設、地方創生を担うリーダー育成を目指して全国に展開へ

グロービス経営大学院(東京都千代田区、学長:堀義人)は2017年4月、茨城県水戸市に「茨城水戸・特設キャンパス」を開設します。ビジネスパーソンに必須のスキルが学べる科目を厳選して開講し、特設キャンパスでの受講後はオンライン授業によって学びの継続が可能です。グロービス経営大学院の常設キャンパスを置く東京・大阪・名古屋・仙台・福岡以外の地域に在住する方々に「地方における学びの場」を提供し、地方創生を担うリーダーの育成を推進します。

グロービス経営大学院が特設キャンパスを開設するのは今回が初めてで、今後日本各地に展開していく予定です。学長・堀義人の出身地が茨城県であることに加え、水戸市、水戸商工会議所、水戸構想会議、茨城県経営者協会青年経営研究会、茨城県中小企業青年中央会から開設の要請を受けたことから、第1号として茨城県水戸市を選ぶこととしました。

■グロービス経営大学院「茨城水戸・特設キャンパス」 概要
開設時期:  2017年4月
所在地:   茨城県水戸市宮町1丁目3番38号 中村ビル1階
       Remember ホール(株式会社Remember内) 水戸駅北口徒歩1分
       ※特設キャンパスは授業の開講日のみの営業となります。
開講科目:  クリティカル・シンキング (2017年4月期)
       マーケティング・経営戦略基礎 (2017年7月期)
受講期間:  1科目につき3カ月(1回180分×全6回、隔週開催) 
受講形態:  特設キャンパスへの通学
受講料:   入学金23,000円、受講料126,000円/1科目
ニュースリリースはこちら

★「茨城水戸・特設キャンパス」の詳細はこちら


 

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