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「ユニークさ」で大学院をつくる

投稿日:2016/06/11更新日:2019/04/09

この記事は日経産業新聞で2016年5月27日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

「ハーバードを超えるビジネススクールをつくる」。僕がこう思い立ったのは、米ハーバード大学経営大学院に留学していた29歳の時だ。帰国後、勤めていた商社をやめ、グロービスを立ち上げた。たった1人の起業だった。

それから24年間、アジアナンバー1の大学院をつくるための方法論を考え、走り続けてきた。東京から始まり大阪・名古屋へ広げた。大学院の認可を取得して学校法人にし、東日本大震災後に仙台校、翌年に福岡校を立ち上げ5校体制となった。英語やオンラインの経営学修士号(MBA)コースも加わった。気がつけば、グロービス経営大学院の入学者数が750人を超えて、日本ナンバー1の規模にまで成長した。

最初のころはハーバードをベンチマークして、そのやり方を模倣していた。だがそれではハーバードを抜けるわけがない。そこで「他のどのビジネススクールもやっていないこと」を実施することにした。ハーバードのマイケル・ポーター教授が「経営戦略論で最も重要なことはユニークな存在であることだ」と言っていた。考え続けてきた結果、「5つのユニークさ」の追求という差別化戦略に行きついた。

まず実践的教育だ。大学院ではアカデミックな教授が教えるのが通例だが、グロービスではビジネスの第一線で活躍しているリーダーが教壇に立つ。学んだことをすぐに実践できる。

次に徹底した顧客満足度の追求だ。グロービスが世界の経営大学院で唯一導入している「サービス保証」は、学生が受講内容に不満を持てば、全学費を返すというものだ。学生が100%満足いくカリキュラム、教材、講師を提供しようとするシステムだ。

3つ目が「創造と変革」だ。僕がグロービスをゼロから創り上げたように、ビジネスをゼロから創造したり、企業を変革したりできる人材の育成を目指している。

4つ目が「志」だ。他の経営大学院はもっぱら知識・理論を教えているが、グロービスはマインド面を重視している。リーダーたる者は人を魅了し、強い情熱で物事を進め、試練を乗り越える力が必要だ。その力の根源は志だ。自らの志を見定められるカリキュラムにしている。

もう1つのユニークさが「テクノベート」だ。テクノロジーがもたらすイノベーションを意味する僕の造語だ。人工知能(AI)を活用した経営や、ビッグデータ解析によるマーケティングなどを学べる講座を7月から順次開講、MBAの単位に認定する。

今、まさにこの5つのユニークさで、世界に勝負を仕掛けている。グロービスは英語で授業する大学院を2009年にパートタイム(平日夜間・土日)で始め、12年にはフルタイム(全日制)にも広げた。今では世界40カ国以上から学生が集まる。彼らは「創造と変革」や「志」などへの共感が決め手になったという。差別化戦略は功を奏してきた。グロービスのユニークさが世界でも知られるようになってきた。

中国の著名経営大学院の学長が僕に会いたいと声をかけてくれた。英語を含む多言語での教育、複数キャンパスでの教育、そしてオンライン教育に加え、ベンチャーキャピタルも抱え、成長を続ける大学院として世界で評価され始めているのだ。

今年の1月からオンラインの英語MBA科目を始めた。ハーバード大学がボストンにある物理的なキャンパスに人を集めるのとは全く違う形態の大学院として、サイバースペースを使って世界で人を集めている。

他の大学院が金色に輝くなら、グロービスは赤く輝きたい。他と同じことをやっても評価されにくい。全く違う色で輝いて、世界で勝負し続けたい。そして、皆が学びたくなるオンリーワンでかつナンバーワンの経営大学院になりたい。夢は今も膨らみ続けている。

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