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人工知能を使ったビジネス・軍事技術

投稿日:2016/03/14更新日:2019/03/29

茂木健一郎氏×東京大学准教授・松尾豊氏×メタップス社長・佐藤航陽氏
G1ベンチャー2015
第2部 全体会「人工知能とイノベーション~AIが生み出す未来~」Part2

ディープランニングによって自己学習できるようになった人工知能は、技術的なブレークスル―を超え、急速な進展を遂げている。今春にはIBMの人工知能ワトソンくんの銀行「内定」が大きく報じられた。ホーキング博士やイーロン・マスクは人類への脅威になり得ると警鐘を鳴らす。人工知能は“破壊的”イノベーションとなるのか。その進化と普及は、我々を取り巻く生活やビジネスをどのように変えるのか。人工知能がもたらす未来を語る(視聴時間45分41秒)。

佐藤 航陽氏
株式会社メタップス 代表取締役社長
松尾 豊氏
東京大学 准教授
茂木 健一郎氏
脳科学者
堀 義人(モデレーター)
グロービス経営大学院 学長
グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

【ポイント】
・今までの人工知能は、人間の手で設定し直し、探索していた。「直す」ところに全ての知性が宿っていたが、ディープラニングでは、この作業をコンピューターが行うようになる。それいかんでその後の全てが変わってしまう、その最初の部分を示しているという意味で重要(松尾氏)

・今の技術レベルでは、コンピューターに3つのタイプ(Oracle<オラクル>、Genie<ジーニー>、Soverign<ソブリン>)がある。この中では、ジーニータイプ(こちらが依頼したタスクや課題を実行し、その場での役割を終える)の発展しかありえない。少なくともここ20年ほどは、その他のタイプは空想ではないか(松尾氏)

・「原爆よりも人工知能が人類の脅威になる」と言われることに関しては、技術的にはおこりそうにない。そうやって社会の不安をあおることで技術の進展を促す意図があるのでは(松尾氏)

・ドローン後の軍事技術が問題。今のところドローンの発射制御は人間だが、この判断をよりいっそう早くしようと人工知能にトランスファーすれば、暴走の危険あり。いちばん恐ろしいシナリオは、核発射の兆候が出た際に、人工知能で自動的に反撃しようとすること(茂木氏)

・DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)の人間は、「戦争はトップの不合理な意識で決まるので、トップの心をどう操作するかの戦いに最後はなる」と言っていたが(松尾氏)

・人工知能は、ビジネスの最前線では使った者勝ち、使わなければ損になる。経営にはルールがなく、誰と相談してもいい。それなら、もっとも優れた人工知能と相談しながら進めるという時代が到来するのではないか(堀)

・今のAIコミュニティでは、人材と資金の巨大な投資がなされている。日本の大学の予算レベルでは、いちばん優れた人工知能のエンジンはつくれない。対抗するため、頭脳と資金、さまざまなリソースの集結に相当するカウンターパートを日本でつくるべき(茂木氏)

・人材にチャンスがある。1980年代の第5世代コンピュータープロジェクトで、人工知能に投資してきた。そこで育った人材がさらに人材を育てるという循環が発生している。これを活かすべき(松尾氏)

・人工知能を使ったビジネスの実務の感覚と、アカデミックの感覚はずいぶんかけ離れている。現実的なビジネスにおいては、効果や売り上げ利益の最大化が目標。どのテクノロジーがいいか、その選択肢の一つとして機械学習があがっているだけ。純粋に、知能や知性については考えていない(佐藤氏)

・実際に私が人工知能を活用するのは、広告と意思決定の領域。マーケティングを人間とシステムでやっていくと、最初のうちは人間が結果を出すが、しばらくするとシステムがまさる。面白いのは、その最終的なシステムを人間が見ても、その相関関係がわからないこと。なぜ効果があるのか、人間にはわからない(佐藤氏)

・松尾氏の著書に「人間は解釈をしようとするが、コンピューターはしない。人間にはわからなくても、実際にそれが正しい」とあったが、実際にそうなるのだろう(堀)

・説明する機械学習のモデルもあるが、精度が落ちる。精度のよさを選ぶと、人間にはわからない。ある程度コンピューターも間違えるが、早さと数で勝り、結果的に人間よりパフォーマンスがよくなるのが王道の勝ちパターン(松尾氏)

・経済では、いちばん効果のある広告、金融から使われていくだろう。人材ビジネスなど、データが関係するビジネスに先に活用され、人の手を必要とするビジネスではあとまわしになる(佐藤氏)

・人間はほとんどの情報を画像、視覚から得る。大量のカメラの情報を活用する技術で、特徴量を抽出できれば、そこからいろいろな産業が起こるだろう(松尾氏)

・今まで人間が試行錯誤していたプロセスの特徴量を抽出できるようになると、仮説を出すこと自体をコンピューターが行うようになる。試行錯誤のプロセス全体の自動化で、探索できる領域がいきなり広がる(松尾氏)

・人間のモチベーションは、正解率7割になると上がる。今は、一方通行の教育だから落ちこぼれができるし、できる人間がつまらなさを覚える。全部を機械学習にすることで、それぞれに対応した問題を提供し、間違いと教え方を解析し、モチベーションが高まるようにする。そうしたシステムを提供している会社がある。おそらく全ての分野において、人工知能を使わなければ勝てない時代になるだろう(堀)

・頭脳をスパーリングしよう、もっと。ジムに行くように、人工知能との問答を半年、一年続けることで、みなさんの頭脳は飛躍的に活かされるようになるはずだ(茂木氏)

(肩書きは2015年4月29日登壇当時のもの)

  • 茂木 健一郎

    ソニーコンピュータサイエンス研究所 脳科学者

    脳科学者、作家、ブロードキャスター。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院特任教授。屋久島おおぞら高校校長。1962年10月20日東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究する。2005年、『脳と仮想』で、第四回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。IKIGAIをテーマにした英語の著書が、31カ国、29言語で出版される。
  • 松尾 豊

    東京大学大学院工学系研究科 教授

    2002年東京大学大学院工学系研究科電子情報工学博士課程修了。博士(工学)。産業技術総合研究所研究員、スタンフォード大学客員研究員を経て、2007年より東京大学大学院工学系研究科准教授。2019年より同教授。専門分野は、人工知能、深層学習、ウェブマイニング。2020-2022年、人工知能学会理事。2017年より日本ディープラーニング協会理事長。2019年よりソフトバンクグループ社外取締役。2021年より新しい資本主義実現会議 有識者構成員。2023年よりAI戦略会議座長。
  • 佐藤 航陽

    株式会社メタップス 代表取締役CEO

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