フレームワーク(枠組み)を用いて情報を整理し、意味合いを考えるという「フレームワーク思考」が注目を浴びています。何らかの枠組みを設けて情報を整理すると、全体の俯瞰が容易になり、意思決定やコミュニケーションの効果が格段に上がるのです。特に知っておきたいのが、定番のビジネスフレームワークです。
たとえば、事業戦略についてヒントを得たいのであれば、「3C分析」というフレームワークが非常に有効です。これは、事業に関わる事象を、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)という枠組みで把握し、ヒントを得るものです。
あるいは、新しいベンチャーのビジネスモデルを理解するのであれば、クリステンセン教授らが提唱したフレームワーク、「提供価値」「利益方程式」「主要業務プロセス」「主要経営資源」の枠組みで捉えると、ビジネスモデルの特徴が非常によくわかります。私自身、新しいベンチャーのビジネスを理解する時には、自然とこの枠組みで考える癖がついています。
こうした定番のフレームワークは、どれも「先人の知」が詰まったものです。それらを数多く知っておくことは、ビジネスパーソンが業務効率を上げる上で非常に有効です。
さらに言えば、こうした定番フレームワークは世界のビジネスリーダーの常識となっています。彼らの多くが、これらを経営大学院などで体系的に学習しているためです。彼らと競争をする際に、「自分はそうしたフレームワークは知りません」ということでは、勝てる可能性は低くなるでしょう。世界のライバルが知っている定石(定跡)を自分も知っておくことはいまや必要条件なのです。
フレームワークを使う際に注意すべき点は?
このように、ビジネスフレームワークは有効なツールですが、往々にして多くのビジネスパーソンは、その表層的な「型」だけを見て理解したつもりになりがちです。
フレームワークを学習したり活用したりする際には、まず「使うべきシーン」や背景にある論理、他のフレームワークとの関係、弱点や限界などを押しっかり体系的に押さえることが必須です。
たとえば「5つの力」という業界分析のフレームワークは、業界の魅力度を理解するために用いると非常に有効ですが、しばしば混乱して、個社の状況整理に用いる方が少なくありません。これでは効果半減です。あるいは、「PPM」というフレームワークも、一定の示唆は得られる半面、分散事業には当てはまりにくいとか、シナジーを考慮していないなど、さまざまな弱点が指摘されています。これらを理解しないまま、四角四面に用いると、かえって誤った結論を導き出しかねないのです。
また、単にフレームワークを情報の整理に用いる人がいますが、これもまずいパターンです。「So What?」を自問して適切に意味合いを引き出したり、打ち手の可能性を幅広く大きな漏れなく考えることにこそ、フレームワークを使うことの意義があります。フレームワークで俯瞰的に物事を捉えた上で、徹底的に考え抜くことが必要なのです。フレームワークは魔法のツールではなく、水先案内人にすぎないことを再確認しましょう。
これらの課題を乗り越えることは決して容易なことではありませんが、だからこそライバルに差をつけるチャンスとも言えます。そうした努力は必ず大きなリターンをもたらしてくれるはずです。
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