経験学習(ExperientialLearning)
現代のリーダーシップ開発論では、リーダーは元々リーダーとして生まれるのではなく、経験を通して学び、リーダーになっていくと考える。これを経験学習といい、ウォーレン・ベニスやデービット・コルブ等の研究が有名である。
ベニスは、成功したリーダーの共通点として、2つのことを発見した。1つは、それまでの行動や考え方を一変させるような出来事や厳しい試練(クルーシブル)を経験していること、もう1つは、経験から謙虚に学び、より高い次元に自身を成長させようとする強い学習意欲があったことである。一方で、IQや学歴はそれほど決定的な要因ではなかった。こうした知見から、ベニスは、困難な経験から学び、自己成長に繋げていく適応力こそがリーダーには必須と考えた。
コルブは、学習を「経験を変換することで知識を創りだすプロセス」と考え、以下の経験学習モデルを構築した。
(1)具体的な経験(ConcreteExperience)
(2)その内容の振り返り(ReflectiveObservation)
(3)そこから得られた教訓の抽象的な仮説や概念への落とし込み(AbstractConceptualization)
(4)それらの新たな状況への適用による学習(ActiveExperimentation)
このモデルで重要なのは、経験そのもの以上に、経験をどう解釈し、どのような法則や教訓を得るかということ、そしてこの4つのサイクルを繰り返す実践力を身につけることである。