カンパニー組織(departmentalizationbycompany)
事業部の独立性をさらに高め、カンパニーを事業の括りの単位とした組織。カンパニー組織では、本社は戦略立案とコントロールに専門特化し、各カンパニーが戦略の執行に専心する。
我が国では、ソニーが90年代前半、いち早くカンパニー組織を導入した。その後、1997年に独禁法が改正され、持株会社(純粋に他の会社の株式を保有しコントロールすることを目的とする会社)がみとめられるようになった結果、カンパニー組織が広まった。独禁法改正前は持株会社が認められていなかったため、本社も事業部門を保有しながら、子会社を保有するというスタイルをとっていた。現在でもこのような組織構造を持つカンパニー制組織は少なくない。
なお、カンパニー制組織とはいえ、通常はある程度カンパニー間にシナジー(相乗効果)が働く範囲で事業展開するのが普通であるが、本社が投資会社的(あるいは投資ファンド的)立場をとり、個々のカンパニー間にそれほどシナジーが効かないケースも散見される。
カンパニー制の普及によって、企業はより柔軟に戦略を実行することができるようになった。
たとえば、事業部制組織に比べ、新規事業へ参入するための買収や、逆に不採算部門の売却などが機動性を持って実行できるようになっている。
また、配置などの人事施策によって、カンパニーで業務執行の経験を積ませ、将来的には本社のマネジメントを担当する人材を育てるといった取組みもなされるようになっている。
カンパニー組織においては、本社とカンパニーとの間に強い緊張関係がある。事業部別組織とは異なり、本社の期待に応えることができなければ、いつでも売却の対象となるからである。
次回は「顧客内シェア」を取り上げます。
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