■フレームワークとは
フレームワークとは、ビジネスの現場で「重要な漏れやダブりがないか」を確認するための切り口で、代表的なものに「3C」「4P」「ビジネスシステム」などがある。例えば「3C」を用いると、ある事業アイデアの将来性について検討を行う際、「Customer(市場)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」について検討することで、「顧客のニーズや成長性、自社の強み・弱みついては十分考えたが、競合について検討するのを忘れた」といった落とし穴に陥ることを避けられる。つまりフレームワークは、「考える際のチェックリスト」の機能を果たすのである。
特に、有名なフレームワークは、いわば先人の知恵の結晶である。これを適切に活用することは、効率よい分析やアクションプランの立案に不可欠だ。また、有名なフレームワークを用いると、第三者にコミュニケーションする際に説得力が増すというメリットもある。
■フレームワークを使うシーン
フレームワークは、主に以下の2つのシーンで用いられる。
1つは分析のシーンだ。例えば、既存事業を取り巻く環境について「3C」で分析を行うことで、「顧客のニーズと自社の強みが乖離し始めている」といった問題を発見したり、逆に「自社の強みが活かせ、なおかつ競合には真似しにくい顧客ニーズが生まれるかもしれない」といった事業機会を発見したりすることができる。
もう1つは具体的な施策立案のシーンだ。例えば「4P」はマーケティングにおいて具体的な顧客へのアプローチを「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(コミュニケーション)」の4つのカテゴリーで考えていこうとするものである。このフレームワークを活用することで、大きな見落としを避けながら、バランスの良い整合性の取れたアクションを立案することができる。
■フレームワークを用いる際の注意点
フレームワークを用いる際に注意すべき点として第一に、目的に合ったものを選ぶという点が挙げられる。特に初学者にありがちなのは、目的や個々のフレームワークの特性を踏まえないまま、ひたすら知っているフレームワークで物事を切ってみようとすることだ。例えば「5つの力」は、業界を構造的に捉え、その業界の魅力を知るうえでは非常に有効なフレームワークであるが、マーケティングの具体的な施策を立案する上ではあまり役には立たない。各フレームワークの特性をしっかり理解し、適切な場面で用いることが必要だ。
第二に、フレームワークを物事の整理だけに用いてしまうことは避ける必要がある。単にフレームワークで切り分け整理するだけではなく、その結果から示唆を引き出して初めてフレームワークは生きてくる。例えば「3C」であれば、何が問題なのか、自社は何をすべきなのかなどの示唆を導き出すことが不可欠である。フレームワークは現実の意思決定やアクションに結びついて初めて意味を持つという点を再認識しておきたい。
第三に、なまじフレームワークを知っていたがために、そこで思考が停止してしまい、掘り下げが浅くなってしまうことを避ける必要がある。状況によっては、既存のフレームワークがあまり効果的ではなく、自分なりにオリジナルの切り口を考案したほうが良い場合もある。実際、問題解決のステップが進むと、「独自の切り口をいかに見つけられるか、作れるか」によって、同僚や顧客を「なるほど!」と思わせる提案ができるか否かが決まってくることも多い。有名なフレームワークを知っておくことは、生産性を上げるうえで必要不可欠であるが、それが万能であると錯覚しないほうがいい。