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上場廃止の実質的判断は何か?

投稿日:2015/07/29更新日:2019/11/14

東芝の不適切会計問題、かなり話が大きくなって上場廃止の可能性も俎上に挙がっているようです。今日は上場廃止について確認していきたいと思います。

■上場廃止とは、そもそも民間企業である証券取引所が作った上場規程の話
上場制度とは、証券取引所の審査で認められた企業が、その取引所のある市場(東京証券取引所であれば、市場一部、市場二部、マザーズなど)で不特定多数の人が証券会社を通じて、株式を売買することを言います。上場廃止になるか否かは、あくまで取引所が自ら制定した上場廃止基準に該当するか否かだけの判断となります。特に行政または法律からの直接関与、介入を受けるものではありません。

■形式基準と実態判断

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出典:日本取引所グループ ウェブサイト

これは東証一部、二部の上場廃止基準ですが、ほとんど株主数、時価総額、債務超過など形式基準が中心となり、この要件に該当すると上場廃止となるのですが、その中で虚偽記載又は不適正意見等という項目があり、

a.有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき

又は

b.監査報告書又は四半期レビュー報告書に「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき

とあり、特に「直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかである」か否かを、今回の東芝の件について、東証が自ら判断することになります。

■実態判断の軸は、実は分からない
過去事例を見ると、西武鉄道は流通株式数が上場基準を満たさず、カネボウは結果的に債務超過だったので、形式基準に則り、上場廃止に至りました。

一方で、ライブドア、日興コーディアルグループ、オリンパスなどは利益の水増し、損失の先送りなどが論点になりましたが、従来、第三者委員会調査報告により組織ぐるみか否か、または金融証券取引法の有価証券報告書等に虚偽記載罪が適用になるか否かが実態判断の焦点と考えられていました。

ただし、結果的に日興は第三者委員会の調査報告で組織ぐるみと報告されていても、上場維持しましたし、オリンパスも逮捕者が出ているにも関わらずやはり上場維持となっています。

よって、実際のところ、実態判断はその時々の情勢に合わせた総合判断と言わざるを得ない状況です。さて、東芝はどうなるでしょうか?

  • 田中 博文

    ジェイ・キャピタル・パートナーズ株式会社 代表取締役

    あさひ銀行(現りそな銀行)で、法人営業、戦略財務コンサルティングに携わり、その後サービス系ベンチャー企業にて執行役員経営企画室長として経営企画全般、IPO準備に従事。2004年より、みずほ証券にて主幹事担当者として、多数のMBO案件含めIPO実績を残す。その後、日系証券投資銀行部門にてM&Aアドバイザリーチームヘッド。上場会社含めアドバイザリー業務に従事。2010年、ジェイ・キャピタル・パートナーズ設立、代表取締役に就任。2020年、株式会社プラスメディ執行役員CFOを兼務。
    明治大学法学部卒業。グロービス経営大学院MBA 1級ファイナンシャル・プランニング技能士  

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