ダボス会議二日目が始まった。僕は、朝7時からの朝食会で登壇した。ダボス会議の魅力の一つは、プライベートセッションだ。プライベートな完全招待制だから厳選された聴衆となる。その場に登壇できるのは、大いに光栄なことだ。このセッションは、世界最大のPR会社であるエデルマン社主催のものだ。
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<写真1>ダボス会議のプライベートセッションの朝食会の模様です。同じテーブルには、豪州国前首相のケビン・ラッド氏、中国に1千万人のフォロワーがいる中国国営放送の看板キャスターのルイ・チェンガン氏。主催者のエデルマン氏など。後姿は、モルガン・スタンレーのCFOだ。
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会場には、ジョセフ・ナイ氏、BCGのトップ、そして、ニック・ガーウィング氏の姿もあった。
<写真2>僕が目をつぶっていますが、雰囲気がわかるかと思い、紹介します。CCTVの看板キャスター、モルガン・スタンレーのCFO、HPの副会長、PWCの会長が登壇。モデレータは、フィナンシャルタイムズのジャーナリスト。
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このエデルマンのプライベートセッションでのパネルは、とても面白い。「信頼性」を国ごと、業界ごと、発信者ごとに比較するのだ。その結果は、「CEOや政治家は、社員や一国民に比べて、信頼されていない」と言う事だ。とてもショッキングな内容だ。僕は、「なぜそうなったのか?」、「リーダーは、どうあるべきか?」等の理由やそれに対応するための方法論を説明した。
<写真3>今、朝食会での登壇セッションを終えた。パネリスト最多の4回も発言できた。慣れが重要ですね。場数を踏んで、分かりやすく、的確に伝えられるように努力をしたい。今、主会場であるコングレス・センターに歩いて移動した。今日のダボスは、快晴です。
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今年のダボス会議の共同議長を、東芝の西田会長が務めている。これで日本人の共同議長は、3年連続だ。一昨年は、三菱商事の小島会長。昨年が、武田薬品工業の長谷川社長だ。世界で存在感を発揮できる財界リーダーがいることを、僕は誇りに思う。だが、全般的に日本人の登壇者は、決して多くない。頑張らなければならないと思う。
メイン会場であるコングレス・センターに今回初めて足を踏み入れた。先ずは、アイディアラブと言うセッションに参加した。4つのアイディアをプレゼンし、それに関して皆で議論する。1)遺伝子工学、2)インターネット・セキュリティ、3)リサイクル・環境、4)燃料電池だ。世界の関心がわかる。
メイン会場のラウンジで、シンガポール前外相ジョージ・ヨー夫妻と意見交換した。朝11時から僕が共同議長を務める「世界の成長企業(GGC)」の準備会合を行った。金曜日の朝に開催されるボードミーティングでは、僕が司会進行するから、入念な打ち合わせが必要となるのだ。
昼食をメイン会場でとり、午後1時過ぎから、ユーラシア・グループ代表のイアン・ブレマー氏と会談した。午後2時過ぎから「リーダーシップの新たなモデル」のブレストに参加。
今回のダボス会議では、リーダーシップに関する議論が、かなり盛んだ。様々な変化にリーダーが対応できていないからだ。旧来型のリーダーが、新たな環境変化に不適合を起こし、リーダーシップの危機を世界的に招いている。今、その変化に適応できる新たなリーダーシップのあり方を模索している様だ。
今まで10時間以上議論してきて、「新たなリーダーシップのあり方」について、僕なりの考察ができてきた。一度、本にまとめてみようかと思う。
今回のダボスでは、セッションに参加するよりも、会合参加、ネットワーキング、発信に力を入れている。ダボスで、僕は二つの役割を担っている。一つが、「新しいリーダーのあり方」に関する研究協議会。そして、もう一つが、「世界の成長企業」の共同議長だ。この二つの役割、登壇等に当面専念中だ。
朝からダボス会議でエンジン全開だったから、ホテルに戻り、つかの間の休憩をとることにした。一休み後は、ダボスの夜だ。ハーバード・ナイト、ワイン・フォーラム、CCTVナイト、フォーブス・レセプションを梯子して、時間があれば、PWCナイトに参加予定だ。全部で5つのレセプションを梯子することになる。
僕が、一番楽しみなのは、ワイン・フォーラムだ。高級ホテルのピアノ・バーで、最高級のワインが飲み放題だ。今年のテーマは、イタリアンワイン。バローロやバルバレスコを中心に、最高のものが用意されている。イタリアのワイン協会の会長らしき人が選んでいるのだから、間違いが無い。
一方のグロービス・ナイトでは、津波の被害にあった塩釜の「浦霞」を振る舞うことになる。最高級のワインに対抗するには、最高級の日本酒だ。グロービス・ナイトには、既に400名以上の申し込みがある。全体の10%以上が来る計算だ。
ダボスの夜は、ネットワーキングには最高の機会だ。ウィプロのアジム・プレムジ氏やマッキンゼーのドミニク・バートン氏に挨拶をした。誘われて、フォーブスのレセプションに行くとスティーブ・フォーブズ氏が入口で丁重に迎え入れてくれた。帰り際に、JPモルガンのジェミー・ダイモン氏とすれ違う。
帰り際にフィナンシャルタイムズの中国人記者とシャトルバスが一緒になった。彼がコメントしていたが、「今回のダボス会議では、中国そのものへの関心よりも、日中関係への関心が高い」と。確かに中国と言うと、「尖閣問題」か、「南方週末」等の言論統制問題が想起される。経済も低迷し、新政権の方向性が不明瞭な現時点では、あまり明るい話題にはならない様だ。
そして、ホテルの部屋に戻った。翌日のグロービス・ナイトに向けて早目に就寝することにした。
2013年1月30日
一番町の自宅にて執筆
堀義人