100万人突破キャンペーン 最大¥3,980 OFF

キャンペーン終了まで

割引情報をチェック!

効率の罠を抜け出せ!現実を見抜く新たな視点のすすめーー『裸眼思考』

投稿日:2025/02/13

あなたの仕事がつまらないと感じるなら

例えば、こんなことはないだろうか?

定例会議で決められたフォーマットに沿って一見進捗は進んでいるように見えるが、本質的な課題の掘り下げやチーム内の意見交換はなく、真の課題を無視したまま進んだ気になっている。

プレゼンを自分の中の「お決まりの構成」で提案し、一定の成果はあるものの、あと一歩相手の興味関心に沿っておらず響かない提案になってしまっている。

もしかするとそれは、目的や知識に捉われた「レンズ思考」が強いからかもしれない。

多くのビジネス書が効率的な仕事術を説いている。確かに、限られた時間の中で目標を達成することが求められる現代の仕事環境において、効率性は不可欠な要素である。しかし、効率性を求めるあまり過度に目標や過去の経験にとらわれることは、仕事を苦しさやつまらなさに変えてしまう原因になる。

本書『裸眼思考』は、そんな効率や結果を重視するあまり見失いがちな、「今、目の前にある現実をしっかりと見つめる」重要性が説かれている。

著者・荒木博行氏はこれまで『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』や『ストーリーで学ぶ戦略思考入門―――仕事にすぐ活かせる10のフレームワーク』などのビジネス書を執筆し、目標達成に向けた合理的な思考法を提示してきた。しかし本書では、「裸眼」というそれとは正反対の、ある種原点に立ち戻るような視点を提案している。私はこの視点が、現代のビジネスにおいて再評価されるべきものであると感じるのだ。

「レンズ思考」と「裸眼思考」——2つの視点をどう使い分けるか

改めて「レンズ思考」とは、目標達成や知識に基づいて効率よく行動する思考法である。一方「裸眼思考」とは、現在目の前にある状況を五感を使ってありのままに受け止める思考法を意味する。荒木氏はこの2つを対立するものではなく、往復しながら活用することが重要だと述べている。

具体的には以下のように定義される。

 

レンズ思考

裸眼思考

意識

未来・過去

現在

アクティブな部位

脳・五感

意図

素早い行動と結果

正しい理解

しかし、実際の現場では「裸眼思考」を実践するのは簡単ではない。特にタイトなスケジュールや目標達成を求められる場面で、「目的を手放し、状況を五感で捉える」という裸眼思考のアプローチをするには時間的・心理的な余裕が必要である。

「裸眼思考」をどう実践するか——新しい問いへの挑戦

本書では、裸眼思考を実生活や仕事に取り入れるための具体的な方法として以下の4点が挙げられている。

  1. 自分の身体反応に着目する
  2. 問いを保留しながら行動する
  3. 入念に準備して忘れる
  4. 目的を手放して目の前の状況を知覚する

これらのヒントを読んだとき、私は「3.入念に準備して忘れる」「4.目的を手放して目の前の状況を知覚する」という視点に気づきを得た。私は普段、コンサルタントという立場で顧客企業の課題解決に向けた施策提案業務に携わっているが、この気づきは私自身の仕事にも深く通じるものだった。

例えば、顧客企業の経営者と商談をする際、事前に経営課題や人材課題の仮説を立て、議論の論点を準備するものの、当日はシナリオに固執せず、先方の困りごとや関心を最優先で理解するように努めている。

案件獲得を目指すのであれば、準備したシナリオ通りに議論を進める方が効率的だと思えることもあるが、それは私たち側の論理であり、顧客の利益や視点を考慮できない可能性がある。今、目の前の顧客に真摯に向き合う姿勢が信頼につながることを、私は実体験を通じて学んできた

例えば、最初は心を開かなかった方が、次第に信頼を寄せ、悩みや課題を率直に相談してくれるようになったケースがある。このような成功体験だけでなく、目の前の人を助けられているという実感が、私のやりがいとなり、その方との議論が純粋に楽しく感じられるようになった。

この経験は、「入念に準備しつつも目的を手放し、目の前の状況を柔軟に受け入れる」という姿勢が、「仕事を進める上で効果的であるだけでなく、仕事自体をより興味深くする」ことを示している。この視点によって、仕事に新たな楽しみや深みを発見できるのだ。

裸眼思考によって現在の感覚を取り戻す

本書の核心は、こうした「現在を感じる力」を再発見することである。幼い子どもは目の前の風景や状況に対して驚きや感動をそのまま受け止める。しかし、成長するにつれて私たちは目的や過去の知識に囚われ、その感覚を失いがちである。

この点で、本書のメッセージは元ラグビーワールドカップ日本代表監督の平尾誠二氏の名言を思い起こさせる。

今の時間を大事にできない人は、未来の時間もきっと大事にはできない。

ここで自分らしく生きることができない人には、次なる道は開けない。

あなたの「裸眼」はどこを見つめているか?

 『裸眼思考』は、レンズ思考を使いこなしているビジネスパーソンにこそ読んでほしい一冊である。目標達成や効率化を重視するあまり、いつの間にか自分自身や周囲の状況に目を向ける余裕を失っている方もいるのではないか。

一度、仕事のタスクを一旦脇に置き、目の前の風景や空間を感じてみる。その瞬間、あなたの「裸眼」が捉える世界は、きっとこれまでと違った広がりを見せる。

あなたは、今この瞬間を見つめる視線を持てていますか?


裸眼思考
著:荒木博行 発行日:2024/9/19 価格:1,650円 発行元:かんき出版

新着記事

新着動画コース

10分以内の動画コース

再生回数の多い動画コース

コメントの多い動画コース