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KIBOW陸前高田~「奇跡の一本松」と再会

投稿日:2013/09/27更新日:2024/12/10

9月21日に陸前高田でKIBOWが開催されるので、仙台経由で陸路、陸前高田に向かった。僕にとっては、3回目の訪問だ。ヘリコプターで震災後直後に訪れたのが最初だ。岩手県でのKIBOWは、2011年6月のKIBOW盛岡、2012年3月11日のKIIBOW吉里吉里@大槌町、2012年のKIBOW遠野に続く4回目の開催だ。大震災の記憶が風化する中、何度もしつこく訪問することが重要だと思っている。

途中時間があったので、グロービス仙台校に向かった。仙台駅前のビルの27階。景色が最高にいいのだ。

陸前高田にて昼食。神奈川県逗子市の青年会議所が中心となって立ち上げ、陸前高田の復興を支援してきた市民団体「みんなで頑張ろう逗子プロジェクト」が、遠野まごころネットの協力を得て津波の被害にあった竹駒地区に建設・開業した「竹駒食堂」にて。地元のおばちゃん達の手作り料理だ。本日の気まぐれランチは、チキンリゾットだった。

陸前高田の未来商店街に到着。日本一気持ち良さそうな整骨院を発見。僕も、お願いしたい。

KIBOW陸前高田がスタートした。僕の開会の挨拶の後に、久保田副市長のご挨拶中。司会のお二人は、地元の災害FM局のアナウンサー。司会の方の「近くに住んでいたが、家を流されてしまった」という小さな声での挨拶にリアリティを感じている。

KIBOW陸前高田でのKIBOW方式でのプレゼンが始まった。「KIBOW方式」とは、KIBOW水戸で2012年に始まった方式だ。100万円の寄付金の使い道を、寄付を希望する人・組織が思い思いに5分間でプレゼンし、参加者全員で投票して決めてもらう方式だ。少数の人間が寄付先を決めるよりも、地元の参加者が全員で決める方がフェアである。更に、寄付を希望する人・組織も、自由に参加できる方が公平だ。そのプレゼンを聞いた地元の参加者も協力してくれるのでその活動が前に進む、ということも期待できる。水戸で始まったのちに、南三陸、福島、いわき、女川、酒田で開催し、今回が7回目だ。

プレゼンが始まった。トップバッターが、Hair&Face Voiceの澤田純子さん。「女性を応援する、支え合うオアシスをつくる!」。 

2番手は、「陸前高田被災地語り部」くぎこ屋の釘子明さん。「被災地語り部及び講演事業により、防災に強いまちづくりを実現する」「一番ありがたかったのが、自衛隊だった」。いけない、すでに1番手の発表で涙ぐんできていたが、この語り部の言葉に感動して溢れそうになってきた。

プレゼンテーター3番手は、田山鐡瓶工房の田山さん。「大震災があって、いてもたってもいられなくなって、東京の仕事をやめて、実家の鐡瓶の見習いをしている。これからは、岩手が誇る南部鐡瓶を後世、そして世界に伝えたい。作るだけではダメだ。伝えないと意味がない」。

4番手のプレゼンテーターは、大槌町青年団体連絡協議会の小林宣久さん。ご当地ヒーロー「防災戦隊ホウライオー」とともに。人口が30%減ってしまった街を元気にしたい。賞金があれば、現在のレッド・ブルー・イエローに加え、ピンクとグリーンのホウライオーを作りたい!

5番手は、NPO法人テラ・ルネッサンスの吉野和也さんだ。東京のWEB制作会社を退職し、2011年5月より大槌町に住んでいるという。テラ・ルネッサンスが運営する「大槌復興刺し子プロジェクト」では、刺し子さん127人の作品を販売し、大槌ブランドで売りたいという。「刺し子のおかげで、元気になった」との作り手のおばあちゃんの声多数。

6番手は、再生の里ヤルキタウンの熊谷耕太郎さんだ。ヤルキタウン内に「道案内の看板を作りたい」と思ったから今回のプレゼンに参加したという。震災直後に、「負けてたまるか」と思い、“憩える!集える!元気を発信する!みんなのコミュニティ広場の創設をはじめた。再生の里ヤルキタウンでは、すでに6店舗が入っている。商売でなく、コミュニティ広場を! という素晴らしい活動だ。

7番手は、平嶋孔輝さん。現在、福岡の大学の4回生。柔道をしていた時の交流事業がきっかけで、岩手に住み着いた。岩手のみなさんに感謝をする意味で農業の六次産業化の支援と情報発信のプロジェクトを提案したいとのこと。

8番手は、おらが大槌夢広場の東梅和貴さん。19歳。町内にある既存の空き家を、町民と外部の若者が共にアイディアと労力を出し合い、改装・改築し、“人を結ぶ”宿泊拠点として再生を図っていく「古民家再生プロジェクト」。1)命の大切さ、2)人間のあるべき姿。多くの人が助け合って生きている姿から、「学び、感じて生まれたプロジェクト」。家周辺の畑は使い放題。築80年の古民家だ。

9番手。地域支縁団体ARCHの佐藤柊平さん。一関出身で、現在明治大学の学生。隣町の人間として、地域支援団体を始めた。「地域の外に出たのだけれど、ふるさとのために役に立ちたい」という学生の団体。様々な人、団体、地域の"アーチ=架け橋"となり地域のファンを増やすために、今、各市町村の活動をPRしている。多くの人・学生を被災地に呼び込み地域再生の力となりたいと思いを語った。

最後は、特定非営利活動法人SETの三井俊介さんの「広田町再生プロジェクト」。震災後に広田町に重点的に支援し、大学卒業後に陸前高田の広田町に移住したという。現在の問題点として、1)しがらみが強い、2)外部者を拒む気質、3)資源を生かすことができない点をあげた。だからこそ、外部の若者と地元との協働が重要であるという。広田町への学生インターンシップなどを企画している。

プレゼン終了後、2回にわたる談笑タイムが設けられて、興味があるプレゼンテーターに詳細を聞くことができる。参加者は、テーブルを移動して、積極的に質問していた。

談笑タイムの後に、投票が行われた。そして、結果発表だ。三位が陸前高田の広田町再生プロジェクトだった。準優勝が、ご当地ヒーローのホウライオー。そして、優勝は、古民家再生プロジェクトだ。みんな、頑張ろう!

KIBOW陸前高田が終わった。大いに盛り上がった。帰路に「奇跡の一本松」が誇らしげに立っているのが見えた。僕が、以前上空そして陸から見た時は本物だったが、今は樹脂でできているという。形はどうであれ、陸前高田の希望の木であることに、変わりはない。

頑張ろう、陸前高田!
KIBOWの活動は、今後とも年に4~6回は被災地東北でやり続けます。


2013年9月25日
沖縄に向かう機内にて執筆
堀義人

  • 堀 義人

    グロービス経営大学院 学長/グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

    京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事を経て、1992年株式会社グロービス、1996年グロービス・キャピタル設立。2006年グロービス経営大学院を開学。2008年に「G1サミット」を創設。2011年には復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げる。2016年に茨城ロボッツ、2019年に茨城放送オーナー就任。2022年にLuckyFesを立ち上げ、現在総合プロデューサーを務める。2024年よりBARKSオーナー、世界最大のPR会社の米国エデルマン社 社外取締役。

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