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KIBOWトライアスロン@七ヶ浜~初めてスイム1500Mに祈りを込めて挑戦

投稿日:2012/07/03更新日:2024/12/10

今年青森で開催されたG1サミットでは、各分科会に分かれ、日本を良くするための「行動」が議論された。このワークショップでは、政治、教育、農業、スポーツ、NPO、IT等の小グループで、「今年一年間で何を行動するのか?」を議論し、皆の前で発表した。これを「G1発のイニシアティブ」と称して、その「行動」をG1参加者が皆でサポートする仕組みとなっていた。

今迄に始まったG1発のイニシアティブには、為末大選手が始めた「アスリートソサエティ」や、オイシックスの高島さんやカフェカンパニーの楠本さんが創った「東の食の会」、更には「KIBOW」等がある。

G1スポーツ分科会から出たアイディアは、「スポーツで被災地を盛り上げる」であった。具体的には、大震災の影響で昨年中止となった、みやぎ国際トライアスロン仙台ベイ七ヶ浜大会にリレーで参加し、被災地を盛り上げよう、というイニシアティブだった。

その場で意気投合し、僕も参加を決意した。こうして、西濃運輸の田口義隆氏のリーダーシップで、このイニシアティブがスタートした。僕にとっては、1500Mのスイムは、初めての体験だ。しかも、海で泳いだことも無い。ウェットスーツが必須だと言う。全く想像しない未知の世界だ。ロングの練習をして、ウェットスーツを買い、当日に向けて準備を始めた。

大会前日の朝、大阪から始まった一日は、子供の囲碁教室のお迎えと昼食、英語のMBAプログラムの講師、そしてYPOの卒業式と懇親会と、とても慌ただしかった。そして、最終の新幹線はやぶさで仙台に向かい、タクシーで多賀城のホテルに着いて一段落した。結局その日寝たのは、深夜2時をまわっていた。

翌日曜日、早朝6時にロビーに集合して、タクシーで会場に向かった。我らがKIBOWは、10チーム組成して、リレートライアスロンに挑む。参加者の一部の写真が、ジャスト・ギビング・ジャパンのウェブに掲載されている。このメンバーが、地元の多賀城高校の陸上部の7名とタッグを組み、被災地を盛り上げる。KIBOWチームは、地元の多賀城高校とのコラボだ。僕らは、ジャスト・ギビングを使って、地元の高校生向けにシューズや図書券の寄付を募った。寄付をしてくれて、応援してくれた皆さんに、この場を借りて感謝したい。ありがとうございます。

トライアスロン会場に到着。ちょっと小雨模様だ。僕の舞台となる海を視察した。昨日乗ったタクシーの運転手によると、この海に津波の後、遺体が数百と流されていた、と言う。天気がどんよりしているからか、海はどこかしら、淀んでいる感じがした。僕は、その亡くなった方々の冥福を祈りながら、泳ぐことに決めていた。一掻き、一掻きに祈りを込めよう、と。

ウェットスーツに着替え、海に入り、試泳した。水温は21度前後だと言うが、ウェットスーツを着ているので、殆ど気にならなかった。

トライアスロン@七ヶ浜の開会式は、黙祷で始まった。七ヶ浜町長、トライアスロン協会の理事長の挨拶と続いた。この大会の事務局長は、津波で亡くなったと説明があった。トライアスロンのロンドンオリンピック日本代表が3人も来ている。皆の思いがこの大会にこもっていることが理解できた。

朝8時にトライアスロンのスイムがスタートする。キャップを被り、ゴーグルをして海に膝まで入り、スタートの合図を待つ。隣にいた、田口さん、青山フラワーマーケットの井上さんとグーでこぶしを合わせ、健闘を誓い合った。緊張感が高まってきた。

そして、合図が鳴り、海へと飛び込んだ。混雑を避けるために、猛スピードで200Mほど泳いだら、心拍数がバクバク上がっているのに気付き、ペースを落としマイペースで泳ぐことにした。水の透明度は極度に悪く、殆ど前が見えない。外洋に出ると波があるから、息継ぎのタイミングが合ってしまうと海水を飲みこんでしまう。コースロープが無いから、どこに向かって泳げばいいかもわからない。ヘッドアップして、目標を見る動作も慣れていないので、間違った方向に行き、人にぶつかることが何度かあった。最初の折り返しコーナーに気付かずに、20Mほど行きすぎてしまうアクシデントもあった。もう何が何だかわからない状況だ。

僕は、それでもひたすら泳ぎ続けた。時折、近くを泳いでいる人の足が見えたり、息継ぎの時に黄色い帽子を確認したりできだが、基本的に淀んだ水の中をひたすら一人であがきながら泳いでいる感じだ。

ロングなので、とても長く感じる。しかも境界にあるロープに再三、手が引っ掛かり、ジグザグで泳いでいる自分に情けなくもなる。途中で息がしんどくなった。僕は亡くなった方々に祈りを込めながら泳ぐ決意をしていたから、そのことを思い出し、亡くなった方々の冥福を祈り、生きていることに感謝しながら、ひたすら一掻き、一掻き泳ぎ続けた。すると不思議とエネルギーが湧いてきて、元気をもらえた気がしてきた。

このコースは、浜から沖合に三角形を描き、浜に上がり、時計回りに二週行うコースだった。やっとのことで一週目が終わり、陸に上がり折り返し点に向けて走りだした。応援の声が耳に入った。「今リレーでトップだぞ」、「堀さん、早いよ」の声に軽くうなずきながら、赤い円錐の「折り返し点」と書かれた目印を周り、また海に飛び込んだ。

同じコースの繰り返しだ。後半にペースを上げようと思っていたが、やはりどうしても目標が見えにくい。最後のカーブを曲がり、ラストスパートをかけた。そして、陸に上がり、リレーの引き継ぎ地点まで階段を駆け上がった。自転車(バイク)を担当する大谷さんの足に、チップが入ったアンクルバンドが装着されたのを確認し、僕の挑戦が終わった。

暫くの間は、息を整えるのに精いっぱいだった。聞くところによる、リレー部門出場のKIBOW10チームのうち1位でスイムを通過したらしい。ちょっとガッツポーズで写真におさまった。

KIBOWチームのスイムが全て終わるのを確認して、ウェットスーツを脱ぎ、KIBOWのTシャツ、帽子をかぶり、短パンに着替えた。そして、今度は、チームメイトの応援だ。

海から陸に会場を移動した。芝生の公園の上では、テントが張られ、ラジオの生放送がされているのか、スピーカーから大音響で実況中継が流れていた。中継の解説は、ロンドンオリンピックの代表選手だ。彼の思いが、スピーカーを通して流れてきた。「震災の後に自分に何ができるかを自問自答した。そして、僕には、トライアスロンを通して、多くの人に元気を与えるしかないと気付き、この大会に来た」、と言っていた。

実況中継の後には、ライブでの歌の応援だ。会場には、地元のボランティアのおばさん達が、お水とバナナを用意してくれて、選手たち配ってくれていた。「この方々も大変な思いをされてきたのだろう」、と思うと、涙が出そうになった。この大会にかける皆の思いが、ヒシヒシと伝わってくる。

レースは、バイクからランに移っていた。バイクのコースの一部は、津波の影響で陥没していたので、道路を迂回していた。ランは、津波で流された集落を走るコースだ。山の上には船が置き去りにされ、平地には区画のみが残る住宅街だ。僕らのチームのアンカーは、地元多賀城高校陸上部の二年生だ。田口さんの発案で、地元の高校生とコラボレーションして走ることになった。今回多賀城高校から7名の陸上部員が、チームの一員として走ってくれた。

高校生たちが戻ってきて、ゴールイン。感動的なシーンだ。僕らKIBOWチームは、5、6、7位であった。素晴らしい健闘だ。その後、トップ3チームのアンカーを務めた選手たちと写真を撮った。皆、KIBOWの帽子を被りながらの必死の走りだった。世代を超えた、地域を越えた交流だ。

僕が、宮城県七ヶ浜でトライアスロンに出ている最中に、東京では子供たち(3男、4男、5男)が、東京都囲碁の小学校の団体戦に参戦していた。気になってついつい電話してしまう。我が子が通う小学校は、4年連続で東京都大会に優勝している。今年も戦力的には、他を圧倒して優勝できる筈だ。

皆で集合写真を撮り、トライアスロン会場を離れ、ホテルに戻った。ウェットスーツを水洗いし、チェックアウトの準備をする。スタッフがホテルに集い、KIBOW七ヶ浜の準備が始まった。KIBOWは、午後3時スタートの予定だ。僕は、その間、トライアスロンの打ち上げが行われている焼肉屋に、チームの一員として加わることになった。

もうそろそろKIBOW七ヶ浜が始まる時間となった。ワクワクする。だが、問題点が一つあった。トライアスロンの打ち上げで、既に生ビールをジョッキで4杯も飲み干していたことだ。ま、KIBOWの目的は、意識を共有し、ネットワークを創る「場」を提供することだ。だから、多少ノリが良い方が、勢いがある元気な「場」になりそうだ、と勝手に自らを納得させて、ホロ酔い気分で、KIBOWの会場に入った。

KIBOW七ヶ浜がスタートした。僕が、冒頭にKIBOWの沿革、そして今回のトライアスロン参戦の経緯を説明し、田口キャプテンにバトンタッチして、乾杯の音頭で勢いづいた。多賀城高校の陸上部の選手に、KIBOWからシューズと図書券を贈呈した。「文武両道で頑張って欲しい」と伝え、高校生の代表にお渡しした。多くのリーダーが、東北から飛び立って欲しいのだ。

このKIBOW七ヶ浜に参加しているのは、西濃運輸の田口さんに加え、丸井の青井社長、ロート製薬の山田会長、青山フラワーマーケットの井上さん、品川女子学院の漆校長等、各界を代表する方だ。皆、被災地の支援に熱心だ。その思いが、嫌味なく伝わってくる。

KIBOW七ヶ浜には、宮城以外に山形、岩手、福島からも参加者がいた。さらに遠くは、米国、中国・北京、スウェーデン、英国からも参加していた。とても国際色が豊かである。年齢も、高校生から50代まで幅広い。グロービス仙台校の学生も数多く参加してくれた。グループディスカッションをしてから、シャッフルして新たなメンバーと再度ディスカッションをした。

そうこうするうちに、KIBOW七ヶ浜が終わり、三々五々で解散となった。とても熱い場であった。

東京から報告があり、九段小の東京都大会5連覇達成を知った。嬉しい知らせだ。父子ともに、本日は戦っているのだ。次は、全国大会だ。是非悲願の2回目の全国制覇を達成し欲しい。

一方、僕は、来年のこの大会への参戦を密かに誓っていた。この七ヶ浜大会は、是非とも毎年の恒例にしたいのだ。この地域の復興とともに歩みたいのだ。七ヶ浜の復興の定点観測にもなるし、僕らの成長の定点観測にもなるからだ。KIBOWとして参加し、来年はさらに多くのチームメンバーとともに参加したい。

さて、翌日から僕は、2週間後に迫ったジャパン・マスターズに向けた練習に戻ることになる。僕の専門種目は、200M個人メドレーだ。最近はロングの練習ばかりで、バタフライ、バック(背泳ぎ)、ブレスト(平泳ぎ)を殆ど練習してない。ジャパン・マスターズでは、メダルを目指したいところだ。

ジャパン・マスターズはプールで泳ぐから、今回の七ヶ浜での体験と比較すると、かなり楽なはずである。透明度が高く、波も無いし、コースロープもある。だが、マスターズでも、今回同様、祈りながら泳ぎたいと思う。そして、生きていることに感謝しながら、ゴールを目指して一掻き、一掻き、しっかりと前へ前へと進んでいきたい。


2012年7月3日
自宅にて執筆
堀義人

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