<菅総理のスピーチ>
菅さんのスピーチが始まる。最前列に陣取る。隣は、川口順子元外務大臣、竹中平蔵元経済財政・金融担当大臣、福山哲郎内閣官房副長官、長谷川閑史・経済同友会次期代表、小島順彦三菱商事取締役会長(今回の共同議長)、田坂広志氏他。クラウス・シュワブ氏からの紹介の後、スピーチが始まった。
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菅さんは冒頭にエジプト情勢にコメントをし、自らの市民運動家としての経歴を披露。内向きを開国へ、「絆(Bonds)」を形成する。その二つ、開国と絆、を中心に話をする。(スピーチライターは、田坂広志さん。日本らしい、わかりやすい内容だ)。
最前列の要人が、ヘッドフォンを付け始める。英語の通訳が気になるようだ。竹中さんもキョロキョロし始めた。聴衆の反応が気になるようだ。
日本の外交を論じた後、開国を語り始める。(Opening up Japanのスライドが、会場に掲示される)。「第三の開国」を語る。TPPを協議始める。6月に結論を出す。EUともEPAをやる。日本食の良さをアピール。日本の農業量は、世界の第4位。
落ち着いていて、いいスピーチだと思う。原稿も読んでいない。言葉に力が入っている。スライドを有効に活用している。“Innovation”のスライドが表示される。EVやLEDなどの日本の技術をアピール。植物を使った代替エネルギーにも言及。
「最小不幸社会」に言及。”Least Unhappiness” のスライド。そして、“Work a place to be. Work a role to play” のスライド。そして、「絆」のスライド。螺旋階段に言及。田坂さんの持論が、ダボスの場で披露されている。”Human Society” のスライド。
ノーベル賞に言及。クロスカップリングは、ちょっとわかりにくいのでは……。最後に一礼。竹中さんの評価は、「良かった。菅さんらしさが良く出ていた」。
シュワブの質問に対しても、落ち着いて答えているが、メモをいじるのは、ちょっと……。途中でメモを置いた。よかった。ダボスではやはり、市民活動家としての「らしさ」を出すのが良いのであろう。
開国に必要なことは、頭の中、そして精神的な開国だ、と言及。
最後は、シュワブ氏から、パーソナルな質問として、「久しぶりの親が政治家でない総理大臣と聞いている。前の仕事は、弁理士であった。弁理士の仕事と、政治家の仕事の共通点は何か?」
菅さんの満面な笑みが出た。弁理士としてみるのは、「新奇性」と「革新性」だ。その視点で政治を司っていきたいと締めくくり、セッションを終えた。
隣で、辛口の竹中さんが、拍手しながら、「良かった、良かった」と言っていた。菅さんのスピーチは、良かったと僕も思う。良かった理由を分析すると、(1)姿勢が良かった(まっすぐ向いており)、(2)思想があった、(3)適度なアピールがあり、(4)人間性が良く出ていた。
<そして、その後の日本セッションに移行>
菅さんの冒頭の挨拶。「日本人は、もっと自信を持つべきだ。世界のリーダーに会うと、『日本を目指して頑張ってきたんだ』と言われる。国内だけの議論では、日本を再構築する議論は、生まれてこない。ダボス会議での議論を日本の再進撃のエネルギーにして欲しい」。そして、拍手の中、退席した。
2011年2月2日
三番町の自宅にて
堀義人