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世論形成の場としてのツイッター・ブログ(堀義人 起業家の冒言)

投稿日:2010/03/11更新日:2019/08/21

草の根の世論形成が始まっている

先日、僕は、ツイッターに、ぼそっと呟いた。

「ほんの呟きですが、ツイッターを使っている政界・財界トップが、“なう”とか“だう”とか、ドラマの中継とか、自社の宣伝ばかりしているのは、寂しい限りです。更にその人達のフォロー数が万の単位を超えているのも不思議な気がする。その影響力があれば、日本を良くするための発信・提言をお願いしたい」、と。

僕は、以前、コラム「世論形成の場としてのダボス会議」を書いた。ダボス会議は、トップダウンの世論形成の場である。世界を引っ張っていく、国際機関、政治家、中央銀行、金融・財界のトップ、宗教界、学界のトップが集っており、その議論を世界のメディアが報道する。ダボス会議での意見が、その後一年間のアジェンダを設定し、世論を形成していくのである。

一方、ツイッターとブログは、全く違う草の根世論を形成していく場だと思っている。ブログのみではそれほどのパワーを感じなかったが、ツイッターが加わり、僕は大いなる可能性を感じ始めている。

マスメディアが生まれてから今まで、個人が発言しても、メディアで取り上げられない限り、個々人の主張が広く伝わることは無かった。新聞・テレビなどができる前には、本などがその役割を果たしていたが、今は逆に、メディアを通して広まる本の方が圧倒的に多い気がしている。

だが、ITの進化に伴い、マスメディアの力が相対的に弱まり、個人の意見の集合体が世論を形成できるようになってきた。つまり、螺旋階段をぐるっと回って、古代ギリシャ時代の道端の議論で世論を形成したころに、感覚が戻っているのである。その感覚の延長戦上で物凄い多くのバイラル(口コミ)のコミュニケーションが繋がり、世論を形成するパワーになっているのである。

特にツイッターは、リツイート・返信を重ねることによって瞬時に多くの人々に意見を伝えることができる。その結果、フォロワーが多い人の呟き(意見)は、世論形成に深く関わることができるようになる。これは、今までに無かったことである。だからこそ、可能性を感じているのだ。

僕は、「ツイッター7つの仮説」の仮説4として「パーソナルな情報がマスメディアを凌駕する」を書いた。最近では、更に発展させて、「世論形成の主戦場が、ツイッター・ブログなどに移行する」と思っている。かつては、マスコミが問題を大きく報道することによって世論が形成されてきたが、これからは、ツイッターである。ツイッターに更に多くの人々が参加し始めると、ここが主戦場となるのである。

現時点でのデータでは、参加率が3~4%程度とのことだがこれが10%を超え始めると、世論形成の場は、サイバー・スペースに移行すると思う。そうなると、全員が自由に持ちえるこの「武器」を使わないのは勿体無い。特にフォロワーが多いリーダーにとっては、パワフルな武器となる筈だ。だからこそ、「勿体無い」と感じ、冒頭の呟きに繋がったのだ。

基本的には、ツイッターの良さは、緩く自由なところだから、冒頭の「ほんの呟き」は、本来は妥当ではないのであろう。ただ、僕からすると、意見を出さないというのは、投票権を放棄するのと同様、とても勿体無いことなのである。

意見を出すと、反論や批判が来る。でも、その結果、違う世界を知るきっかけを得たり、自分の意見の足りなさを認識したりすることができる。一方では、数多くのツイッターやブログのコメントで暖かい励ましを受けることもある。ツイッターの良さは、今までの掲示板と違い、誹謗中傷が圧倒的に少ないことだ。ここであれば、意見を述べやすいと感じている。

では、本当に、ここが世論形成の場になるのだろうか。それに対する僕の答えは、「必ずなる」である。なぜならば、事実中国ではそうなっているからだ。中国では、メディアの検閲が厳しいので、あまり信用されておらず、知識人は皆インターネットから情報を得ようとする(そこもかなり検閲が厳しいのだが)。僕の友人がぼそっと言うには、「真剣に見たことは無いが、ツイッターやブログのフォロワー・訪問者が100万人ぐらいいて、怖くてうかつに呟けない」と言うのだ。一言の呟きで、多くの人が動くからだ。そうなると当局からのチェックが厳しくなるからだ。

言論の自由がある国、日本でも遠からずネット上で世論が形成されることになる。そのときにどういう世論が形成されるかは、実は良識のあるオピニオン・リーダーの手に委ねられているのである。みのもんたでも、ジャーナリストでもないのだ。そのオピニオン・リーダーとは、このオピニオンを読んでいる「あなた」なのかもしれない。

ただ、一つ残念なのは、政治家から「声」が奪われたことだ。マスコミによる「言葉狩り」によって、揚げ足をとられるからなのか、意見が食い違う議論に参入すると、票を失うからなのか、響いてこない。結果的に「優しい、良い人」然とした政治家が増えるのは、残念なことだ。さらに、財界人も意見を出すことで、自社製品の不買運動などが起こることを恐れるかもしれない。目立つと、様々な標的にもなりやすくなる。

そうなると、本当の意味で声を上げられるのは、草の根の市民のみなのかもしれない。いや、そうではない。おそらく勇気ある政治家やビジネス界(NPOを含む)のリーダーが、多くの草の根ネットワークと連携して、発言してくるかもしれない。そこから新たなオピニオン・リーダーが生まれる可能性がある。「情報の民主化」のプロセスでは、信念を持って意見を言い続ける人が、共感を得ていくのだ。そして、世論を形成し、世の中を変えていくことになると思う。

将来の日本のオピニオン・リーダーは、今ブログを読んでいる「あなた」かもしれない。その「自分だ」という自覚が一人一人に芽生えると、日本は変り始めていくのであろう。

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