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礼儀作法と躾の子供囲碁合宿〜4)全人格教育の場

投稿日:2009/08/26更新日:2019/08/21

この合宿の囲碁は厳しかったが、それ以外のアクティビティは盛りだくさんで、楽しいのである。

ここで簡単な合宿のスケジュールを説明したいと思う。

一日目は、到着後ランチを済ませた後に、外の広場で40分程度ボール遊び。13時40分から18時まで囲碁の研修。18時から夕食と入浴を済ませ、夜20時から21時まで研修。21時から星空観察である(ただし小学校低学年は毎晩21時に部屋に戻るよう指示される)。

二日目は、朝6時30分に起床、朝7時にロビー集合である。そして30分から一時間の山歩きである。朝8時に朝食。朝9時から12時が囲碁研修。12時から13時が昼食および休憩。13時から18時が囲碁研修。18時から20時が、バーベキューと入浴である。夜は20時から22時までが囲碁研修である。この日は、何と9時間も、びっちりと囲碁を打ち続けるのである。

三日目も基本的に同じスケジュールであるが、夕方16時から18時までフィールドアスレチックと広場で球技である。そして、入浴し、夕食を済ませた後19時30分から21時前まで囲碁の研修を行い、花火を楽しむのである。

四日目は、散歩、朝食の後、9時半まで部屋の片付けと荷物をまとめた後、朝10時から表彰式や講話があり、最後に連碁をするのである。そして、昼食後に帰路につくのである。

スケジュールを見てもわかるとおり、広場でのボール遊びはあるし、山歩きや散歩、フィールドアスレチック、バーベキュー(BBQ)、さらには、花火など、子供が楽しめるものも盛りだくさんなのである。

僕も全てのスケジュールに参加したが、合間合間のアクティビティでは、かなりリフレッシュすることができた。特にフィールドアスレチックでは、着ている服がびしょ濡れになるまで運動することができた。朝の散歩も気持ちが良かったし、みんなで肉を焼きながら食べるバーベキューも楽しかった。

藤田塾(その後今分喜行氏が独立して京都囲碁道場を開設)では、囲碁ばかりでなく、外で遊ぶことが奨励されていた。毎週土曜日の囲碁のレッスンでも、合間に鴨川に行って、大勢でドッジボールなどをするらしいのである。そして、その後に再度教室に戻って囲碁を打つのだという。そして、礼儀作法の躾である。ある意味では、全人格的な教育を目指しているとも言えるであろう。次元は違うが、「創造と変革の志士」育成を目指すグロービスの経営大学院にも通じる考え方でもある。

最後の室長の講話では、次の点を強調していた。「勝った分だけ同じ数の負けがある。負けた人が悔しがるのだから、勝ったからと言って、人前では喜んではいけない」、と。最後に作文用紙を配られて、キチンと書くように念を押された。グロービスで言う「振り返りセッション」みたいなものである。

藤田塾(*同前出)全員に見送られて、一足早く帰路についた。岐阜の山の緑がとても綺麗であった。心地よさを残す疲労困憊、という感じであった。

翌日、全員で感想文を書くことにした。それぞれ書かれた子供たちの感想文からいくつか印象に残った言葉をこっそりと引用させてもらうことにした。

次男は、「一番楽しかったのは研修です。囲碁を打つのが好きな僕は、一番長くやった研修が好きでした」と書かれていて、フィールドアスレチック、散歩、そして外でやったキャッチボール、キックベースやハンドベースのことが楽しく書かれていた。

三男は、「僕は、絶対来年も行きたいです。来年はさらに棋力を上げる」と書いてあった。

四男の感想文は、「いっぱい負けた」というタイトルであった。「勝った数の十倍負けた。でも頑張った。合宿の前に、『囲碁で負けても気持ちでは負けないようにしよう』とママと約束をしていたから。でも、やっぱり悔しい。もっと頑張って、来年はたくさん勝ちたい」。と全部ひらがなで書いてあった。

僕も感想文を書くことを要求されていたが、あらかじめ了解をもらってこのコラムを書くことで勘弁してもらうことにしている。ただ、一言で書くとしたら、「来年はもっと強くなって、合宿に参加したい」である。そして、もう一言書くとしたら、

「突然の東京からの参加者を温かく向かい入れてくれた藤田塾(*同前出)の皆様に感謝をしたい。来年は、中学受験を終えた長男と囲碁を始める予定の五男をつれて、合計5人の子供と大人一名でできたら参加したいと思う。全員の棋力を更に上げて、万全の体制で、臨みたいと思う」、である。

気が付いたら、今年の夏休みも終わろうとしていた。子供たちの夏休みの宿題の追い込みの時期である。僕も、夏の間に囲碁、水泳そして選挙応援と、仕事以外のコラムを書き続けてきた。「この人はキチンと仕事をしているのだろうか?」と周りから疑われる前に、そろそろ仕事に関するコラムを次に執筆しようかと思う。

2009年8月23日
自宅にて執筆
堀義人

(*)藤田塾を主に運営していた今分喜行さんが、2014年7月に藤田塾を辞められて、「京都囲碁道場」を設立されました。藤田塾は、未だに京都本部にて継続運営されている由ですが、運営の主要メンバーや教え子達の多くが京都囲碁道場に移籍されています。

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