人生のバランス〜次男の入学式の日に考えたこと 

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本日、次男の小学校の入学式があった。

前日の雨で、桜が少し散ってしまったのが残念ではあるが、美しく晴れ渡った青空のもと、白い校舎に薄ピンクの桜が映えて、とても美しかった。

僕にとっては、2回目の小学校の入学式である。式次第にも慣れてきて、保護者として参列する緊張感は、薄らいできていた。我が家は、5人兄弟であるから、あと3回も同じことをするのである。5回目の小学校の入学式では、感動すらしないのかもしれないと思うと、五男にはちょっと申し訳ない気がしていた。

そうなのだ。5人も子供がいると、全てが5倍かかるのである。同じ小学校に行けば、運動会などのイベントは一回で済むのだが、こういう入学式・卒業式・七五三などの儀式は、5回行うことになるのだ。

子供が多いとそれだけ、年中行事にかかる時間も自ずと増えてくる。

一方、普段の休みの日も忙しい。遊び盛りの男の子5人を満足させなければならないのだ。しかも上は8歳から下は6ヶ月まで、年齢層も広いので、遊び方はバラバラである。休みの日まで、妻に5人の男の子を預けておくのは、あまりにもかわいそうだ。

よって、休みの日は仕事の用事をなるべく入れず、ファミリーとの時間をなるべくとれるように調整をすることになる。学長をやっていると、土日に学校がある。一方、ベンチャーキャピタル事業では、 投資先企業が休日に取締役会を開催することもある。休みの日に仕事をしないでいられるかどうかは、5人の父親にとっては、重要事項なのである。

そして、いざ休みの日になると、家族に全力投球である。仕事を激務と言うが、僕にとっては休みの方が疲れるのである。

公園に連れて行き、キャッチボールやサッカーをしたり、テニスラケットを持参して打ち合ったりしている。プールにも頻繁に連れて行く。我が家の子供達は、皆スポーツが大好きな ので、体を動かしっぱなしになる。

冬になるとスキーに連れて行くのだが、これも一苦労である。長男・次男は、8歳と6歳なので、勝手に滑ってくれるようになった。だが、4歳の三男は、まだマンツーマンでの指導が必要になる。2歳の四男は、ソリと雪だるまごっこだ。6ヶ月になる五男は、母親に抱っこ。どう考えても父母の二人だけでは、人手が足りないのである。だからこそ、忙しいのだ。

長男・次男と一緒に滑って、それから三男を指導して、そして四男と一緒にソリ遊びをして、ゴンドラに乗せてあげたりする。妻にも滑ってもらうために、更に五男の面倒を見たりする。そうするとその間、四男がふてくされたり、三男が「一緒に滑ろう」、と駄々をこねたりしててくるのだ。五男が泣き出したりすると、もうこっちが泣きたい気分になってくる。学長やベンチャーキャピタルの代表パートナーなどという格好よさそうな肩書きは関係無い。ただそこにいるのは、子供の世話に手一杯のダメパパなのである。

休みの日だけ家族と対峙する父親よりも、平日や休日も関係無く働く母親の方が大変である。朝起きて、子供達の服を準備して、朝ご飯の用意をする。母乳をあげて、オムツ交換。掃除、洗濯、皿洗い、昼食の用意、夜ご飯の用意。その間に送り迎えがある。そしてお風呂に入れて、寝巻きに着替えさせて、寝かしつける。これを毎日切り盛りし続けなければならないのである。

今は、乳飲み子がいるから、恐らく人生の中で最も忙しい時なのであろう。せめて歩けるようになってくれたら楽になる。「年をとったら、『あの頃が一番忙しかったね』、と話しているんだろうね」、と冗談っぽく語り合ったことがあった。

そして、先週日曜日に事件が起こった。何と、妻が倒れたのである。

日曜日の夜11時に、呼吸困難に陥り、緊急に病院に向かった。過労である。病院に着き、ベッドに横たわり、点滴を受けることとなった。僕は、5人の子供達が待つ自宅と病院を行き来しながら、「もっとファミリーにコミットしなければならないのでは」、と自問自答していた。「そりゃ、5人もいるんだから、しっかりと面倒を見ないといけないよな」、という結論に達していた。幸い大事には至らず、僕は翌月曜日の朝会議から、遅れずに出席することができた。

『仕事は、最重要なので、その時間をしっかりと確保しておくが、ファミリーのプライオリティを上げなければならない』。当然と言えば当然だが、他にも個人としてやらなければならないこと、やりたいことはいっぱいある。

毎日、ファイナンシャルタイムズに目を通すのも日課の一つだ。水泳のジャパン・マスターズに参戦するためにも、週に2回はプールに行きたい。毎週水曜夜の囲碁サロンは、欠かせない趣味の一つだ。当然、美味しいワインは飲みたいし、クラシックのコンサートも行きたい。絵画の展覧会にも行きたい し、読書や旅行もしたい。友達と一緒に、たまには六本木でハメを外したい。当然、今書いているように、コラムも定期的に書きたい。寝る時間は確保しなければならないし、ボーっとする時間も欲しい。

さてさて、どうやってこれらのことを1日24時間の中でやり尽くすかが、課題となる。仕事の面では、先週大学院も開学したばかりであるし、グロービスのベンチャーキャピタルは、3号ファンド組成に向けての資金集めの真っ最中でもある。毎晩のように海外投資家との電話会議が入っている。今週末は、パートナー仲間との会議で、休日もつぶれてしまう。来週は、名古屋と東京で、僕が 「企業家リーダーシップ」のクラスを教える日である。

個人としての堀義人、パパとしての堀義人、そして学長兼代表パートナーとしての堀義人をどうやってバランスをとるかが課題となる。
そのあたりの人生のバランスについて書いた本が、拙著「人生の座標軸」(講談社)である。

本にまとめるのは簡単だが、実践するのは難しい。ま、当面、仕事以外では、一生懸命にパパ業に専念しならなければならないのであろう。
今は、そういう時期なのだとも思う。

隣の部屋では、5人の子供達が重なりあって静かに寝ていることであろう。
僕もその横のベッドに滑り込むこととする。


2006年4月6日
三番町の自宅にて
堀義人

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