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世界初の二足歩行型量産ロボット『nuvo』の登場!

投稿日:2005/05/09更新日:2019/08/21

そのロボットは、赤い体をしている。高さが40cmほどだが、なぜだかもっと大きく感じる。その赤いロボットを仰向けに寝かせた状態で、起きるように指示を出す。すると、「ピコ〜ン」と音を出して、赤い物体がすぐに反応した。先ずは両手を使って状態を起こし、レスリングのブリッジの状態になり、そのまま両手を前に持ってくることによって二足で立ち上がった。見事なスタンディングである。そして、両手をゆすりながら、交互に前に足を出して歩き始めた。右にも左にも行く。そこにいた外国からのゲストは、瞬く間にそのロボットの虜になってしまった。

これは、4月の中旬に行われた、「投資家総会」の場での出来事である。投資家総会とは、毎年一回、桜の季節に、海外及び国内から投資家を招聘し、僕らのファンドの状況を説明する会合である。株式会社で言えば株主総会のようななものである。株主総会と違うのは、一投資家あたりの最低出資額が5億円と大きいことと、世界から集うことであろうか。今回も、世界各国から投資家が集まってくれた。米国のニューヨーク、欧州のチューリッヒ、ロンドン、アジアからはシンガポール、そしてオーストラリアのシドニーからも来てくれた。人数は限られているが、鋭い質問がバンバン飛んでくる。しかも説明は、全て英語である。その日が僕にとっては、一年間でもっとも緊張する日なのである。

今年は、アジアン・ベンチャー・キャピタル・ジャーナル誌が主催する日本ベンチャー・キャピタル・フォーラムを4月の11-13日実施することもあり、僕らの会合を例年より一週間遅らせて4月14日(木)に実施した。今年の桜は例年より開花が遅かったが、さすがにこの日までは待ってくれなかった。でも、春の陽射しが気持ちよく海外からの投資家を迎えてくれた。

前日の夜にレセプションディナーをして、翌日14日の午前中からグロービスの階段教室で総会が開かれた。僕が、全体のファンドの概要を説明し、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)のチームメンバーが個別の投資先に関して説明していく。海外投資家によると、「GCPのファンドは、1999年から投資開始されたベンチャー・キャピタル・ファンドとしては、世界で最もパフォーマンスが良いものの一つである」とのことだ。その信頼関係がある中で、各投資先に関してのの質疑応答がされていった。

途中、コーヒータイムの休憩を挟み、予定通り12時過ぎに説明が終わった。ランチタイムの後向かったのが、グロービスのファンドの投資先の一つ、ロボットベンチャーを手がけるZMP社であった。例年、投資家の方に、日本のベンチャー企業の現場を知ってもらうために、投資先企業に訪問してもらうことにしている。昨年は、デジタルアニメーションのベンチャー企業であるGDH社であった。その後、GDHは見事東証マザーズに上場を果たしたのは、記憶に新しいところである。

目黒区青葉台にあるビルの前に、黒塗りのアルファードが三台止まり、海外投資家をZMP社のオフィスに案内した。100坪のオフィスには、研究者が徹夜した形跡がみられた。グロービスの創業時代を彷彿させる光景だ。暫くして谷口恒社長が登場した。出でたちは、ジーンズにTシャツである。しかも無精ひげを生やしたままであった。前日に世界初の二足歩行量産型ロボット『nuvo』を発表したばかりなので、超多忙であったため昨晩はオフィスで寝泊りをしたとのことだ。

でも、一つのマイルストーンをクリアしたのか、表情は、終始穏やかであった。投資家の要請にしたがい、挨拶もそこそこにロボットを連れ出したのが冒頭のシーンである。このロボットは『nuvo(ヌーボー)』という。実は、この『nuvo』、相当格好いいのである。あのフェラーリとかポルシェのデザインなどを手がけたインダストリアルデザイナーの奥山清行氏が手がけている、と聞けば納得できる。子供が怪我をしないようにエッジを丸めたシンプルな形になっている。手はドラえもんのようにグーの状態で、目が二つ付いていて、一つがデジカメになっていて、もう一つがライトになっている。携帯電話を使い、家の中の様子を見ることもできるのだ。

後ろ向きに倒れても、前向きに倒れても、立ちあがれるようになっている。リアクションも、愛着の湧くものである。どうやら「モーニング娘。」の振付けなどを担当した夏まゆみさんが、ロボットの限られた自由度で人間らしさを演出しているらしい。人間とのコミュニケーションは3通りでできる。リモコン、携帯電話と実際に語りかけることによる方法だ。「nuvo、前に歩いて」と言ううと、『nuvo』に内臓された音声認識装置が感知して、「ピコ〜ン」と音を出して、親しみが湧く歩き方をするのである。色も赤、黄色、青など多彩である。更には日本の伝統工芸である金沢の蒔絵を施した漆のデザインもある。

谷口氏は、次のように語っている。「『ロボット』と聞くと何故か決まってワクワクします。多分それは、『ロボット』が私たち人間のロマンで手の届かないSFが思い描いた未来の「夢」や「憧れ」を象徴していたからだと思う・・。しかし、手の届かない未来世界の存在だった『ロボット』が近年急速に現実世界のものになり始めたのです」。

『nuvo』は、インターネットでの購入もできるが、60万円程度と高額なのにも関わらず、既に4月の出荷分は売れ切れたらしい。『nuvo』を使って、商品を説明させたり、店頭にマスコット的に置いておく等、様々なニーズがあるようだ。グロービスでも、1Fの受付けに置いておけば、受講生や来客者を暖かく迎えてくれるのでは、と思えてくるので、早速その場で一台、(いや一人かな?)、発注することにした。

今後、『nuvo』はスケジュール管理もしてくれるようになり、秘書の役割も果たすらしい。将来的には受付で、来客の応対ができるようになると面白いかもしれない。夢は膨らんでいくばかりである。子供達にも見せてあげたい気持ちだ。子供の頃から『nuvo』と一緒に生活をしていると、将来は科学者となって、鉄腕アトムのような正義の味方を創ってもらえるかもしれない。なんて、親馬鹿なことを考えさせてくれるほど、夢が膨らむ。

今、その時のことを想像しながら、シンガポールに向かう飛行機の中でニヤニヤしながらこのコラムを書いている。
隣の人に怪しまれないように、静かにパソコンをしまうことにした。

2005年4月25日
飛行機の中で
堀義人

 

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