NAL(New Asian Leaders)会議始まる-香港出張報告 

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「夏の間は週休5日で過ごす」、と毎年夏前に宣言をするのだが、例年いろいろと予定が入っている。今年の夏は、特に忙しい。

先ずは、8月第一週に楽しかった沖縄への社員旅行。(コラム:「社員旅行が楽しい(?)」参照)。第二週に軽井沢に移動し、僕が講師を務めるアントレプレネウリアル・リーダーシップ(ENL)コースの3泊4日の夏合宿を実施し、「経営道場」も行った(コラム:「学びの場と人間の成長」参照)。最後のクラスの午後に、軽井沢の山小屋で過去のENLの受講生も含め招待し、BBQパーティを開催した。第三週には、ベンチャーキャピタル部門のパートナーであるアラン・パトリコフ氏が来日した。(コラム:「伝説のベンチャーキャピタリスト」参照)そして、第4週の今、香港に出張に来ているのだ。

なぜ香港に来ているかというと、先日コラムでも紹介したダボス会議の「アジアの新しいリーダー」(New Asian Leaders=NAL)の組織を創るためだ(コラム:「ダボス会議の「新しいアジアのリーダー」研修合宿に参加して」/「韓国大統領との面談」参照)

ソウルでの会合の後、NALの執行機関(Exectuive Board)を作ることとなり、主要メンバー5人が各地域より招聘された。NALの骨格をつくることになったのだ。最初の主要メンバーは、中華圏代表1名、東南アジア代表1名、南アジア代表1名、そして韓国、日本の代表各1名の計5人である。この5人にダボス会議を主催するWEF(World Economic Forum)よりディレクターが1名参加し、計6名で今後のアジアのニューリーダーの組織をどう運営するかを決める。そのため急遽、ミーティングが開催されることになり、今、香港に来ている。

8月17日(日)に香港入りし、早速メンバーとディナーを一緒にした。挨拶もそこそこに、NALをどうすべきかの議論が始まった。議論は、多岐にわたっている。アジアの定義(どこまでがアジアなのか)から始まり、参加メンバーの条件をどうするのか、ほかのダボス会議の組織との関係はどうか、執行機関の組成はどうするのか、などである。中華料理を食べながら激論が交わされる。広東料理で有名なレストランに来ているが、美味しいエビ料理を味わっている暇も無い。

そして、翌朝から正式に議論が行われることになる。
さて、ここでどのような人が選ばれたかを簡単に紹介する。

東南アジアの代表はインド系マレーシア人である。18才の時にパートナーとともに会社を立ち上げた叩き上げの起業家である。現在、35才。叩き上げ起業家特有の個性であるが、いい意味でも悪い意味でも、常に議論を支配する傾向がある。

中華圏代表は、香港出身で、米国で教育を受けた中国系アメリカ人である。現在、インテルで一部門のCTO(最高技術責任者)を勤めるが、6割以上を中国で過ごしている。40才弱。今回は、書記として議論をまとめる役割となった。

インド代表は、インド系財閥の2世である。インド・英国・米国で教育を受けた好青年という雰囲気。ベジタリアンなので、中華料理の夜の会議には欠席していた。現在37才。インド人の特性であるが、ロジックをとても大切にするし、ミッションステートメントの時には、英文法などに細かく指摘する。良く発言もする。

韓国代表は、アロエや健康食品を業とする会社のファミリービジネスの社長である。高校からずっと米国で教育を受けていて、大学院博士課程まで進んでいる。英語も堪能。今回は議長役として、普段は発言を多くはしないが、最後に意見を調整する役回りを演じている。

WEF事務局からのディレクターは、ドイツ系スイス人。
そして、日本代表として、僕が僭越ながら選ばれた。WEF代表を除いた組成は、起業家2名、ファミリービジネス2名、そしてプロフェッショナル1名である。

今回のミーティングが重要なのは、これで全ての骨格が固まるからである。つまり、ミッションステートメント、会の目的・活動、開催頻度、会員選定の方法、ボードの選定と役割そして任期など。殆どの代表者は、英語が堪能である(というよりも殆どの人が母国語なのであたりまえである)。YEOを組成してきたときと同じであるが、やはり各国で強い個性が出る。当然、議論には積極的に参画しないと存在意義が問われる。

この個性豊かな集団の中で、どうポジショニングをするかは、結構考えさせられた。常に、議論を支配したがるインド系マレーシア人、常に発言したがるインド人。筋を通した意見を持つ米国系中国人、パワーと権限をもったWEF事務局のスイス人。そして、議長役の韓国人の中で、である。しかし、皆本当に良く喋る。控えめであることの美徳や、間をとり空気を楽しむ感覚などはありえない。ものすごく積極的である。

僕は、今回、質問を投げかけながら、議論が違う方向に行きそうな時にアイディアを出して、議論をまとめる役割を必然的に担うことになった。不思議なもので、違う個性が揃うと、相対的に見て自らが強い分野の役割を、必然的に演じることになるのである。

決まったことは守秘義務の関係で書けないが、非常に有意義なディスカッションであった。一日でほぼ骨子が固まった。会社の会議でもこれだけ建設的にまとまることは珍しい。やはり、違う個性が集まると、逆に補完し合うのだろうか。米国系中国人が最後にサマリーをまとめて、閉会となった。さすがに疲れた。

次の再開は、10月の東アジア経済サミットの直前に開催されるリトリートである。東アジア経済サミットでは、NALが正式に発足したとアナウンスされる予定である。その後は、中国サミット、そしてダボスの年次総会である。これら重要な会合に僕ら、ニューアジアンリーダー(NAL)が参加することになる。

これから面白いことが起こりそうな予感がしている。NALのボードの任期は約2年間。
ちょっと頑張ってみようかと思っている。
ただ、残念ながらこのコラムをオープンにできるのは、多少時間を待ってからのことになりそうである。正式に全てがアナウンスされてからバックデートして、コラムとしてアップすることとする。NALやダボス会議に関しては、興味を持っている方も多いと思うので、適宜時間を見つけてコラムに書くことにする。


香港のホテルにて

 

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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