夏も終りが近づいてきた。ちょっと仕事が一段落して、ネクタイを外して社内を歩きまわると、思い思いの格好をしたスタッフに会える。Tシャツ、ポロシャツ、ネクタイ無しのワイシャツ、一方ではキチンとしたスーツとネクタイのスタッフもいる。勤務時間もマチマチである。早朝に来る人もいれば、午後から出社の人、更には在宅勤務の人もいる。基本的に、個人の計画性に任せている。
しかし、自由ではあるが全体的な統制はちゃんととれているのである。
6月にイヤーエンドパーティー(YEP)を開催した際の話しをしよう。
今年は、Clubの「Tatoo TOKYO」を借り切って実施した。これが非常に自由で楽しいパーティであった!
僕は、初夏の雰囲気を出そうと思って、黒の麻のパンツと白の麻のスタンドカラーのシャツに着替えて、キメていた。しかし、会場に着くなりゴールドの競泳用の水着の前に水道の蛇口が突出したパンツをはかされて、頭には変んな帽子である。他のスタッフはもっとすごくて、我が社のCFOは幼稚園児の格好(しかも丁寧に黄色い帽子つき)、マーケティング担当ディレクターは馬鹿殿の格好、セールススタッフは下半身の前に白鳥の頭の突起物がついており、羽をヒラヒラさせながらも、何故か上半身は裸であった。。。
注.YEPは、年末に開催される「伝統ある」社内行事の一つである。昨年末は、僕の海外出張の影響で実施できなかったので、今年は年度末の6月に開催することとなった。
創業当初は、我が家を開放して、ファミリーを招いて忘年会のつもりで実施してきた。
95年末のYEPでは、余りにも騒ぎすぎて、僕が住み慣れたアパートを追い出される原因となってしまった・・。それだけ毎回盛り上がる会なのである。(~~;;
8月のスタッフ旅行では、今年は沖縄に行った。グロービスのスタッフ旅行では、特定の日の夜18:00-21:00の間のみ団体行動であって、あとは、基本的には自由である。いつ出発しようが、船で行こうが、飛行機で行こうが、いつ帰ろうが、全て自由である。パーティーの時間以外は、基本的には何をしても構わないのである。 当然、不参加もokである。
僕の信じるポリシーには、「個の集合体が会社を創る」という考え方がある。したがって、会社の枠組みに個人を合わせるのではなく、個人のやりたい事に対応できるように会社を柔軟にする。会社を活性化させるには、個人を活性化する必要がある。そのためには、できるだけ自由にして、個人の自主性を重んじて、楽しく仕事ができる体制を創ることが大切である。
そのためには、個人の内面にあるものを爆発させることが重要なのだ。個人の爆発が生み出すエネルギーが利益に結びつくように組織設計をして、ベクトルを合わせるのがマネジメントの仕事である。当然、そのためには優秀な人材と共有化している理念・価値観と、その結果醸成される組織文化が必要となる。爆発エネルギーの結果、個人の集合体である会社が生み出した利益は、当然個人に最大限還元される。爆発は長くは続かないので、メリハリを付けて"休むときは休み、頑張るときには頑張る"のである。 それがエネルギーの源泉になっていると思う。
HBSの2年次に、『Entrepreneurship、Creativitiy& Organization』という単位で(HBSでは珍しく)楽勝にとれる人気科目があった。何を学ぶかというと、起業の際に必要なクリエイティビティーを活かす環境・組織を創ることによって、如何に成長に結び付けるかを学ぶのである。このコラムでも触れたバージングループのケース(グロービスでも扱っています)とか、スティーブン・スピルバーグのケース、更にはレコード会社などのクリエイティブな会社の創業期のケースを取り上げている。楽勝ということもあって何を学んだかは、良く覚えていないが(~~;;(~~;;、ビデオを良く使ったので、ケースの中のスタッフが皆自由に、明るく、楽しく、前向きに、生き生きと仕事をしている姿だけが強烈に印象に残っている。会社の中にクリエイティビティーを注入するというのは、こういうことなのかな〜と、何となくビジュアル的に感じることができた。グロービスの組織設計にもその思想が引き継がれている。
その『個人を活かす企業』に関して考えている際に、掲題の本がグロービスより発刊されることになった(まさにタイミングが良い)。今まで述べてきた思想をキチンとフレームワークにも落とし込まれていて、初めて思想が科学的に解明された感じがする。とても読み応えのある本なので、今じっくりと読みながら、「ウン、ウン」とうなずいているところである。
(本来ならば、翻訳前から僕が目を通すべきなのであろうが…)
ん!?最後は、宣伝になってしまったのかな?(^_^;