世界同時不況 1 

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昨今の世界全面株安には、恐怖感すら覚えてきた。

国際金融市場自体に、自己修復機能が無くなってしまったのかと思えるような、不自然な動きだ。日本は、長銀問題や与野党のゴタゴタで身動きがとれないので、ちょっと長引きそうだ。

実は、今年2月に香港に出張したときに、「世界同時不況のシナリオ」が頭の中に浮かび上がってきて、とても震え上がった記憶がある。そのシナリオとは以下である。

1)一つ目のシナリオ:インドネシアに暴動が起こる。
2)二つ目のシナリオ;中国経済が不況に陥る。
3)三つ目のシナリオ;米国株価が暴落して、そして世界同時不況へ。

今年の2月から、中国で朱首相が就任したり、米国経済も引き続き(みかけ上)堅調であったので、そのシナリオのことを忘れていましたが、最近になってどうもこの3つのシナリオとも起こりそうな気配がしてきた(既にインドネシアは暴動がおき、混乱状態だ)。

香港はもはや底が見えない不況のまった中で、中国の経済は下げ止まる気配がなく、洪水によってかなりヤバイ状態である。このシナリオに入っていないのが、ロシアや中南米の動きである。昨今の状況をみると、ロシアの経済は壊滅状況であり、中南米はアジアの轍を踏みそうだ。そうなるとロシアがドイツを巻き込み、東欧から西欧経済に感染して、最後は西回りで米国を直撃する可能性もある。また、日本の状況、アジアの底無しの経済状況を考えると、アジアから東回りでの影響更には、中南米から米国を襲う可能性も相当ある。欧米の経済が不景気に入ると、完全に世界同時不況だ(恐慌にちかくなるかもしれない)。米欧のみが頼みだが、昨今の欧米株式市場の動きをみると、遂に来るべきものが来って感じだ。

何よりも僕を驚かせたのは、米国の貯蓄率の低さだ。日経新聞によるとたった1%で、日経ビジネスによると0.2%だ。米国では、個人が株式に相当コミットしているので、米国の株式市場が下落すると、個人消費が冷え込み、米国経済を支える要因が吹っ飛び、企業収益を直撃して、株価が下がる悪循環に陥る可能性大だ。

もしも、米国の株価が下がり、米国の経済が下降すると、欧州も巻き込み、もはや世界経済の下支えを失ってしまい、世界同時不況になる。そうなると、今年末から来年・再来年の世紀末に経済・社会の混乱が起こる。想像するに恐い状況である。(~~;;(^^;;

そして、恐いのが、その悪循環に入った後に、それを断ち切る強い経済圏が世界に見当たらないことある。本来一番早く不景気になった、アジア・日本に期待すべきであろうが、どうも回復するどころか底割れしそうである。今回の世界同時不況は、悪化したら、相当長引くと思われる。

ちなみに、今年の6月に米国でハーバードビジネススクールの年次大同窓会に参加したとき、「サイクル」という言葉を良く耳にした。教授陣は、皆出席者に、「景気にはサイクルがあるということを忘れないように」と、当たり前の警鐘を鳴らしてたのを良く覚えている。ちょうど日本のバブルの全盛期に、皆がこのまま行くと信じてたのと同じ状況が今アメリカで起こっており、米国民は、「上がったものは、下がる」という当然のサイクルを忘れてしまっているようだ。

僕は、根本的には楽観主義なのだが、今回ばかりは、冷静に考えても、世界同時不況になる可能性が相当高いのではと思っている。ビジネスリーダーの立場では、最悪の可能性を常に想定しながら、準備することが必要である。これからは、非常に難しい舵取りが必要な時期が続く事になるであろう。

でも、これらの激動の時代には、未曾有のチャンスを生み出す可能性もある。その点については、機会を見つけて発信したいと思っている。しかし、僕らの考えが杞憂であり、世界同時不況などが、起こらないことを切に祈らずにはいられない。

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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