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ヨルダン訪問記(おまけ)

投稿日:2004/05/31更新日:2019/08/26

5月17日夜9時過ぎに、アブダビ空港に到着した。

アブダビ空港のビジネスラウンジで知り合った人に、どうやってホテルに行くのかを聞いてみると、偶然にも、同じホテルに泊まるということでお誘いを受けた。

遠慮無く甘えさせていただき車に便乗させてもらった。
僕は、旅行中にこういった‘便乗パターン’になることが多い。後述するが、アブダビからドバイ、休憩用のホテル、ディナーそして空港までの全行程の車も全て便乗させてもらった。たまたま今回の出張の3日前に弊社を訪問してくれたバイアウトファームのトップが、同じ日にアブダビを訪問していることが判って同乗させてもらったのだ。

このような奇遇や出会いというのが旅の醍醐味の1つでもあると思う。それに、知らない土地で、1人タクシーに乗って、空港からホテルに向かうよりも、同乗者と会話を楽しみながら移動する方が数段有意義だ。

車中、彼に色々と話を聞いた。バーレーン出身のバンカーで、ロンドンでは投資銀行に10年ほど勤め、現在はバーレーンに拠点があるプライベートエクイティの会社に勤めているとのこと。

聞けば聞くほど、今までいかに中東に関しての知識が足りなかったかを、痛感させられた。

湾岸諸国は主に、UAE、サウジアラビア、バーレーン、オマーン、クウェート、カタールの6カ国を指す。その6カ国で、GCC(Gulf Cooperative Committee)を構成し、予定では、2007年に共通通貨を導入、2010年には共通通貨のみを流通させるようにするらしい(堀注:「知らなかった。。(^^;;」)。

湾岸諸国で、投資家が多くいるのは、リヤド、アブダビ、クウェート、そしてドーハの4都市である。中東では、王室などの個人と投資機関など、ごく少数の人々や機関に資金が偏在しているのだ。基本的には、石油によって得た収入を海外に投資して運用しており、特に、クウェートとアブダビは、欧米から投資プロフェッショナルを招いてかなり専門的に投資をしている、とのことである。

ホテル到着後、シャワーを浴びて、ふらりと1Fにあるナイトクラブに顔を出した。
シャンパンを1杯だけ飲んで部屋にもどり、気持ちを新たに明日のミーティングに備えることにした。

翌朝、午前9時半から投資家とのミーティングを持った。既に何度か会った事のある投資家なので、今回はプレゼンよりも、投資状況のアップデートをした。彼は、僕が本当にアブダビまで来たことをとても喜んでくれた。僕も、アラブに興味があったので、色々と質問させてもらった。その場でランチにも誘われたので、一旦ホテルに戻った。
午後2時からのランチまで時間があったので、水着に着替え、ビーチに向かった。

これが初めてのペルシャ湾での一泳ぎだ。ビーチサイドからは、コンテナ・クレーンが見えるなど、景観は決して良くはないが、水は意外にも綺麗だった。今回の出張は、紅海、死海、ペルシャ湾の3つ(2つ?)の海で泳いだことになるが、アブダビのビーチの水温が一番暖かかったような気がする。

午後2時から、バイアウトファームの一行と共に昼食をご馳走になった。日本側4名、アブダビからは3名の投資家の方々がホテルまで出向いてくれた。アブダビがあるアラブ首長国連邦(UAE)のオフィスアワーは、朝9時から昼は午後2時まで。

午後2時から夕方5時までは、シェスタと呼ばれる昼休みがあり、その後、夕方5時から夜8時過ぎまで働くとのことだ。

午後4時にランチが終わり、車でドバイまで移動した。約1時間強の行程だ。車窓から見える景色は、ヨルダンのものとは全く違っていた。両側に豪邸が立ち並び、平地で、山も丘も無い。灰茶色の台地も無く、丘に密集する白い土づくりの家も無い。道路には緑が豊富に植えられており、とても綺麗に整備されていて、取分け緑の多さと豪邸の数々には驚かされれる。

僕はふと「ヨルダンでは石油が出ないのだ」、というヨルダン国王のお言葉を思い出した。
ここにヨルダンとUAEとの格差を見てとることができる。ヨルダンの1人当りのGDPは1000ドルを少し超えたぐらいである。一方のUAEは、その20倍の2万ドルである。
UAEでは、パレスチナ問題やイラク問題に関する逼迫感も伝わってこない。基本的に豊である。

ドバイまでの車中で、聞き慣れないBGMがかかっていたので、運転手に話しかけてみると、彼はエチオピアから来たという。「アベベの国だよ」。アブダビに来てからの短い間に出会った人々に対してどこから来ているかを尋ねてみた。

投資家がオフィスを構えるビルの受付には、インド人がいた。フライトアテンダントは、フィリピン人と東欧系白人。ホテルのフロントは、ウクライナ人、ロシア人。
ホテルのベルボーイは、インドネシア人。そう言えば、アブダビで会った投資家には、フランス人とカナダ人がいた。友達の起業家は、2人ともパキスタンから来ている。ここUAEには、ヨルダンからも多くの人々が働きに来ているという。非常に国際色豊かな都市なのだ。
聞くところによるとアブダビもドバイも90%以上が国外から来ていて、いわゆるアラブ人は10%未満であるとのことだ。その後も会う人会う人に国籍を聞いて回った。

車はドバイの西側にあるジャメイナ地区に入っていった。この地域は、都心から十数キロ離れているが、クレーンが立ち並び、ビルの建設工事が急ピッチで進んでいた。これだけまとまったビルの建設工事現場を見るのは、1997年の上海以来で、もの凄い勢いで成長を遂げているのがわかる。一昨日に、ドバイの皇太子の話を聞いたばかりなので、生きたケーススタディを見ているようでとても興味深い(※参照コラム:ヨルダン訪問記その3)。リッツカールトン・ホテルにて、3時間ほど休憩した。ここでは接客係がルーマニア人と南アフリカ人、ベルボーイは、スリランカ人と、バリ人、バングラディッシュ人だ。エジプト人もいた。接客係の南アフリカ人女性に聞いてみたら、ホテルには30カ国もの国籍の人が働いているという。僕はルーマニア人の接客のもと、ビジネスセンターで、パソコンを開き日本とメールのやりとりをした。

夜になってドバイの都心に向かうことにした。ドバイといえば必ず写真に出てくる、ヨットの帆に似たデザインの高層ホテル『バージュ・アル・アラブ(アラビアンタワー)』に向かった。ペルシャ湾の中にセールが立っているようである。
中に入ると、アラブ的な色彩とデザイン感覚に溢れてており、赤、緑、蒼、黄色そして金色など数多くの色を使ってゴージャスである。ただ、シンプルな美を求める人には、受けはよくないであろう。近くで中国人らしき観光客が記念写真をとっていた。

夕食はホテル最上階にあるレストランで取った。ランチが遅かったので夜9時30分からのスタートだ。同行の皆さんも計10日間の行程を終え、あとは帰るだけなので、シャンパンで乾杯し盛り上がった。日本行きのフライトは、早朝2時半出発だ。時間があったので、空港に向かう途中でナイトクラブに立ち寄ってみた。そこで会った人々も国際色豊かだった。

どこから来たのか聞いてみると、ロシア、トルコ、ルーマニア、中国、ウクライナ、モルドバ、ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、アゼ ルバイジャンなど旧ソ連領の諸国から来ている人もいた。生まれて初めて話しをする国の人も数多くいた。

ドバイでの滞在時間は、たった8時間ほどだが、1997年に来た時とはまるで様変わりしていることが一目でわかった。これだけインターナショナルな都市は他に見たことが無い。

ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港は国際的な都市だと言われるが、基本的には地元の人が大部分を占める。一方、ドバイは、殆どが地元の人ではなく、英語で言えばExpatriate、日本語で言えば(表現が正しいかどうかはわからないが)、「出稼ぎ労働者」である。ここでは、どの国の人間も歓迎なのだ。

そして、何もかもが自由になっている。ヒト、カネ、モノ、情報、が自由に流通するようになっており、またそれらの出入りを自由にしている。税金も一切かからない。

従い、周辺諸国から大量の人が吸い寄せられるように集まり、ドバイは、それらのエネルギーを吸い上げながら急速に発展している都市となっているのだ。そしてあの皇太子が統治しておられる都市だ。
これからも更なる発展を遂げるに違いない。

今回の出張を通して、アラブ世界が好きになってきた。今まで、グロービスのファンドの投資家は、欧米が中心だったが、これからは中東とのお付き合いも開始したい。
定期的に中東に向けて旅立ち、継続的に会いつづけたいと思う。

ドバイ発午前2:30、関西空港行きのエミレーツ航空に乗った。僕の列のフライトアテンダントは、カナダ人の男性とブラジル人の女性だ。エミレーツ航空は、ハードウェアは最高、食事も美味しいが、残念な事に急激な拡大にサービスレベルが追いついていない様子だ。

関西空港に到着したら国内線で羽田に移動する予定だ。帰宅予定時刻は本日の夜9時ごろである。
今日は5月19日、長男の7歳の誕生日だ。誕生日ケーキを前にハッピーバースデーをする時間には、何とかギリギリ間に合いそうだ。日本を出てから既に10日。
髭もかなり伸びている。この髭を見て、子供達はどんな反応をするか、楽しみだ。
気持ちは、既に日本に向かっていた。

2004年05月19日
ドバイから関空に向かう機内にて

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