【グロービス経営大学院学長 堀義人より】
先週ダボス会議に参加してきました。僕にとり、10回目のダボス会議となりましたが、今回ほど衝撃を受けたことは無かったです。英国EU離脱、トランプ大統領誕生に伴い、70年間かけて構築してきた世界秩序がガタガタと音を立てて崩れていくのを実感しました。英国リーダーが嘆き、欧州リーダーが迷走し、米国リーダーは表面上は根拠がない希望的観測を述べていましたが、プライベートな場では現状をとても憂いていました。そして、中国の習近平氏は綺麗ごとばかりでした。これからは、世界の諸問題はほとんど解決されずに、自国主義的、保護主義的な政策が各国で行われるでしょう。日本は経済的にも、政治的にも自立して強くなる必要性を強く感じました。「世界の中で、日本のみが希望だね」と言われるべく、今年も「日本を良くするべく」大いに議論し、行動していきたいと強く思いました。現地から発信した4本のコラムをまとめました。
1. Brexitやトランプ氏への不安蔓延、「対話」の重要性と「日本」の役割を痛感
今年のテーマは、「Responsive and Responsible Leadership」です。英国のEU離脱や米国トランプ大統領の誕生など想定外の事態が起こるVUCA(Volatile, Uncertain, Complex, Ambiguous)時代において、世界のリーダーたちはどのような議論を行うのでしょうか。
2. 「第二次世界大戦後に築きあげてきた世界秩序が崩壊し始めている」
全4記事中、最も読まれた記事です。ジョー・バイデン前米国副大統領の「第二次世界大戦が終わってから欧州・米国が二度と戦争を起こさないために作ってきた自由貿易、安全保障体制、EU統合等の努力が、今逆戻りし始めている。何が何でもこの流れを止めなければならない」というスピーチが印象的でした。
3. 世界を牽引するリーダーの不在を痛感
目玉は、英国のテリーザ・メイ首相のスピーチです。その後のヨーロッパの未来を考えるセッションにも参加して堀が感じたのは、「世界を正しい方向に力強く導くリーダー」が不在であることでした。
4. ダボスで聞くトランプ就任演説、暗雲が世界を覆い始める
ダボス会議の最終日に、ドナルド・トランプ氏の米国大統領就任式が行われました。選挙キャンペーン中とほとんど変わらない演説内容を視て、保護主義的、孤立主義的、内向きの政策が世界にどのような悪影響を及ぼすのか心配になった方も多いことでしょう。日本はこれから強い意志で自立し、強くなる必要がありそうです。