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日本の未来へ「100の行動」

投稿日:2016/04/05更新日:2019/04/09

※この記事は日経産業新聞で2016年2月26日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

「日本の将来は明るいのだろうか」。数年前にこう自問したことがある。そのときは残念ながら明るいとは思えなかった。僕が参加しているダボス会議では、日本の存在感は低下し続けていた。日本には閉塞感が漂い、国民は漠然とした不安を抱いていた。「何とかして日本を良くしたい。ただ、どうすればよいかが分からない」との思いだけが強くなり、焦っていた。

「政治家でない僕に何ができるのだろうか」。そう自問しながら、ひたすら意識したのが、明るいビジョンを描くことだった。

「ビジョンこそが組織で最も重要だ」。僕は起業家として、経営大学院をゼロから創業し、ベンチャーキャピタルとして有望企業に投資する中で、そのように会得してきた。

明るい未来を描けないと、企業は方向感覚を見失う。構成員はうろたえ、閉塞感が漂い、力を結集できない。国も同様だ。「自分の頭の中で描けないものは、現実の社会では実現しない」のだ。

僕は政治家でも官僚でもないが、国の将来を憂える1人の日本人として、多くの仲間と議論し日本のビジョンを描こうと考えた。僕が「100の行動」プロジェクトを始めたのは、このような危機感と決意に突き動かされてのことだ。

なぜ「100」なのか。ベンチャー企業の場合には、5つの適切な行動があれば、良くなる。大企業であれば10程度の行動だろう。国家の場合にはおそらく100は必要だと考えた。

なぜ「行動」なのか。「提言」では弱いからだ。より強い「行動」という言葉を採用することにした。どれだけ高邁(こうまい)なことを語っても、行動しなければ意味がない。提言するよりも、行動することの方がはるかに難しいのは言うまでもない。

プロジェクトが始まったのは、東日本大震災から間もない2011年7月だった。超党派の政治家や官僚、学者の方々と幾多の議論を重ねた。役割分担が明確になるよう「経済産業省編」「外務省編」など省庁単位でまとめ、ウェブで発信し続けた。

ビジョンを描くときに一番重要なことは、やるべき行動が目に浮かび、多くの人々にそれを実現したいと思ってもらうことだ。当然、難しいことも多い。政策における財源などのボトルネックや、既得権益者や圧力団体の抵抗、さらにはタブーや反感への考慮も欠かせない。

多くの仲間と議論を重ね、仲間とともに書きつづってきた。そして、「内閣府」や「世界の中の日本編」を経て、100番目を書き上げたのは15年7月だった。開始から実に4年もの歳月が過ぎていた。途中で1年以上のブランクもあった。だが、何とか「100の行動」を書き終えることができた。

「100の行動」をウェブで完成させた後、休む間もなく、書籍として発刊することにした。見開きで2ページに1つの行動を書き、ポイントを左上に、図表を右下に描き、読みやすく分かりやすい内容にすべく努力した。そして、16年2月22日に出版にこぎ着けることができた。構想が始まってから5年の月日が経ていた。

だが感慨に浸る暇もなく、「100の行動」をひっさげて全国でイベントを開く予定だ。そこで、多くの人と意見交換するのが楽しみだ。

ビジョンが共有されると未来に対して楽観的になれる。仲間と力を合わせて行動していく気持ちが生まれる。行動の一つ一つが完了したら、チェックボックス一つ一つに印をつけていこうと思う。全てにチェックが入った日には、「明るい未来」が実現していることだろう。

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