2016年1月8日に堀義人がピックアップしたニュースです。
日本とアメリカ、どちらでスタートアップをはじめるべきか?(Scrum Ventures)
[堀コメント]20年前にソフトバンクの孫さんに、まさにこの質問をしてみました。孫さんは、ソフトバンクを始める前、バークレー留学時代に先ずは自動翻訳機の発明をして、その発明をシャープに1億円で売却をし、その資金を元に米国でゲーム関係のベンチャーを作っていました。その後しばらくして会社を売却して日本の鳥栖に戻り、1年強のビジネス構想を思案したうえで、日本でソフトバンクを作りました。だから興味があり、孫さんに「日本と米国で立ち上げるのはどっちがよいと思いますか?」と聞いてみたのです。
孫さんの答えは、「アメリカで事業やってみてわかったことは、リーダーシップを発揮して組織を運営するのが難しいと言うことだ。忠誠心は低いし、自分勝手ですぐにやめてしまう。強い組織は作りにくい。日本は会社に対する忠誠心が強いし、心が響き合って、組織一丸となって進めていく力がある。僕は、事業を興すならば、日本で始めることにした。そして世界へと拡大する方が早いと思った」だった。
「なるほど」と思いました。
ちなみに、僕は、ソフトバンクのケースを1994年と95年に2回執筆し、個人的にインタビューを2回実施しています。その前から孫さんと親交があるので、もう20年以上のお付き合いです。原発に関する「とことん議論」を実施したからか、「堀は孫さん嫌いだ」と指摘されます。ですが、僕は孫さんを嫌いでも、反ソフトバンクでもないです。経営者として、孫さんは日本最高の能力を有されていると思います。
ちなみにそれらのケースは以下2冊に書かれています。残念ながら、双方とも絶版となっていますが。
「ケースで学ぶ起業戦略」(日経BP社)
「ベンチャー経営革命」(同上)
僕はハーバードで体系的にベンチャーを学んできたけれど、日本のベンチャーの環境は知らなかった。だから、どうなっているのだろうかと疑問に思い、20 社近くのベンチャー企業を調べてケースを書き、共通するフレームワークを導き出して書籍化したのです。
ちなみに、これらのリサーチが、グロービスのベンチャー系科目の理論的支柱になっていて、グロービスの投資先企業の経営支援に活かされています。
さて、皆さんはどう思われますか?
※この記事は、NewsPicksの堀義人のコメントを再編集したものです。