ネットワーク外部性(Network externality)
SNSや電子メール、電話などのサービスにおいて、他の参加者が増えれば増えるほど、個々の参加者の利便性が増す現象。言い換えれば、参加者数そのものが価値を生む現象を指す。ネットワーク効果とも呼ばれる。米国の電話会社ベル・テレフォン社長のセオドア・ヴェイルらによって提唱されたとされる。
サービス提供者から見ると、コストは参加者数Nに比例するが、便益は参加者数Nの二乗に比例するなどと表現されることもある。参加者そのものは、自分がそのネットワークの便益を上げるためにそこに参加しているという意識があるわけではないが、結果としてそこに参加することでネットワークの価値は上がっていく。
経営戦略では、デファクト・スタンダードやファースト・ムーバーズ・アドバンテージをとることの重要性や、システム・ロックイン戦略の有効性を説明したり、最大規模のプラットフォームを構築することの意義などを説明したりするときに使われる。
ネットワーク外部性には正のフィードバックと負のフィードバックがあるが、経営で特に重視されるのは正のフィードバックである。これは、参加者が増す→利便性が上がる→ますます参加者が増える→ますます利便性が上がる……というループを指す。この効果は参加者が少ないうちでも効くが、特にクリティカルマスと呼ばれる臨界点を超えると潜在ユーザーにもその効果が見えやすくなることなどから、劇的に効果が表れる。
ネットワーク外部性は電話などのリアルのサービスでも効くが、比較的安価にサービス基盤を提供しやすくスピード勝負となりやすいネットビジネスにおいて特に重視されている。たとえばLINEは初期に500円のアマゾンギフト券を10万人に配るというプロモーションを行うことでダウンロード数を増やし、先発のアプリを一気に追い抜いた。クリティカルマスを早期に超えるためのその他の施策としては、知人を誘った場合にインセンティブを与えるなどがある。
なお、どのようなネットワークでもこの効果が同様に働くというわけではなく、クリティカルマスに達する以前であってもそもそもそのサービスに一定の価値があることが必要となる。たとえばユーチューブは初期の段階から、その視聴や検索のしやすさ、動画のアップの容易さなどでユーザーに大きな便益を提供していた。