プランニング学派(Planning school)
経営学者のヘンリー・ミンツバーグは著書『戦略サファリ』の中で、戦略の形成過程に着眼し戦略論を10の学派に類別した。その中の1つであるプランニング学派は、先行するデザイン学派の影響を受けながら発展し、1970年代に非常に強い影響力を持った。その後、同じく規範的(prescriptive)な学派であるポジショニング学派に主流は譲ったものの、いまだに一定の影響を残している。
プランニング学派に属する著名な経営学者に、「アンゾフのマトリックス」で知られるイゴール・アンゾフがいる。1965年に上梓された彼の『企業戦略論』(Corporate Strategy)は戦略論の古典として今も読み継がれている。
プランニング学派の特徴としては、その名の通り、戦略プランニングのプロセスを合理的なものと見なし、そこに比重を置いている点がある。戦略立案のプロセスはいくつかのステップに分解できる。具体的には、目的、予算などである。こうしたプロセスを運営するのは経営企画室をはじめとするスタッフメンバーであり、彼らが強い力を持つことになる。
プランニング学派は、もともと60年代の経営環境の変化の増大に対応して適切なプランニングを行うことを意図していた。しかし、昨今の環境変化は60年代から70年代などとは比べ物にならないほど激しい。それゆえ、プランニング学派の考え方は、経営環境が比較的安定的で、企業のリソース配分や組織コントロールが重要な論点となる場合などに機能しやすいとされる。現代でも、一部の業界や官僚組織などでは、(多少の微調整はされているが)この考え方に基づいて戦略立案がなされている。
プランニング学派の弱点としては、ダイナミックな環境変化に対応しにくい、集団浅慮に陥りやすい、イノベーティブな戦略が生まれにくいことなどが指摘されている。