企業倫理(Businessethics)
企業活動上で最重要かつ守るべき基準となる考え方。しばしばコンプライアンス(法令遵守)と同一視されることもあるが、むしろコンプライアンスとは切り分けて、法令で明確に定義できる領域でなく、コンプライアンスだけではカバーできないものを企業倫理の領域とする考え方もある。
企業倫理がビジネスやビジネス教育で重視されるようになってきた背景として、株主偏重による利益増大のプレッシャーや、企業の経営層が莫大な報酬を得るようになり、その立場に執着しようとする動きから、自社の会計を粉飾する事件が発生するようになっていったことがある。特に、米国でエンロンが2001年に、ワールドコムが2002年に、不正会計の露呈により破たんしたことはビジネス界に大きな影響を与えた。また、これらの企業や監査法人の経営層に米国の名門ビジネススクールでMBAを取得した人々が多かったことが、ビジネススクールにおける倫理教育を見直すべきであるという運動へとつながっていったのである。
これは当然リーダーシップの分野にも影響を与え、倫理観や精神性に軸を置くリーダーシップ理論が注目を浴びるようになっていった。リーダーは何をすべきなのかという「行動」もさることながら、リーダーとはどうあるべきなのかという「あるべき姿」にその視点が移っていったのである。その典型が、サーバント・リーダーシップやオーセンティック・リーダーシップといった考え方である。