技術ポートフォリオ・マネジメント(TechnologyPortfolioManagement)
技術経営において、技術のポートフォリオを組むことで、リスク・リターンの最適化を図る手法。
製造業においては、PPMのような汎用的な事業・製品ポートフォリオのみで企業経営を判断することは危険である。各製品、事業が技術を通じて密接に関連しており、一つの事業を止めることが、他の事業に著しくマイナスの影響を与えることがあるからである。また、市場成長率やシェアを軸にとったポートフォリオ分析では、技術のポテンシャルが未知数のステージにおいて有望な技術への投資を躊躇させてしまうという事情も挙げられる。
技術ポートフォリオ・マネジメントでは、PPMほど敷衍したフレームワークは存在しないが、短中長期的な経営判断に応用するための一定の手法は存在する。たとえば、その技術がどの程度自社にとって「重要か」、そして他社技術に対して「強いか」という視点で評価する方法である。
こうした分析は、自社技術の健全性を評価するだけでなく、投資判断のガイドラインとしても活用することが可能である。
強くて重要な技術は、引き続き投資を行い、競争優位性を築くと同時に、より幅広い事業への展開を検討する。強くて重要でないものは、投資を抑えつつ、他社へのライセンスなど収穫化を狙う。弱いが重要なものは、自社で大きく投資をして強いものへと育て上げるか、M&Aやライセンシングなどを通じた強化を図る。弱くて重要でないものについては、投資を止めるか、他社への譲渡なども検討する。
他にも、長期的技術投資、中期的技術投資、短期的技術投資のバランスを適切にとるなど、技術ポートフィリオ・マネジメントの応用範囲は広い。