インテグラル型(Integralarchitecture)
パーツ、部品と完成品の機能が1対1には対応していないアーキテクチャ。構成技術が複雑に絡み合っているため、各技術の機能を単に組み合わせても全体の機能・性能は予測できない。モジュラー同様、オープン型とクローズ型が存在し、クローズ型からオープン型にシフトすることで、参入障壁は下がる。
インテグラルにおけるクローズ型で最も典型的な例は自動車である。自動車は、たとえば、乗り心地という機能を発揮させるために、エンジンだけでなく、ハンドル、サスペンション、タイヤといった要素を複雑に調整しながら統合している。また、燃費という機能を発揮するためには、上記部品を同じように調整することが求められる。それゆえ、あちらを立てればこちらが立たずといった難しい「擦り合わせ」が必要となり、最終的に決定された組み合わせは、他社が容易に真似ることができないものになる。
自動車と同様に複雑な擦り合わせが求められるのが複写機である。擦り合せ型開発が、日本企業の最も得意とする領域であり、この2つの業界で日本企業がリーディングポジションを築いていることは偶然ではない。
とは言え、これらの領域でも、クローズ型からオープン型への流れの中で、競争力に変化が起こる可能性は大いにある。自動車でいえば、電気自動車の登場は、引き続き複雑な擦り合わせ要素は残るとはいえ、最大の擦り合わせコンポーネントであるエンジンが電池とモーターに置き換えられることを意味しているからだ。