モジュラー型(Modulararchitecture)
モジュラーのもともとの意味は標準部品を組み合わせて生産することであるが、テクノロジー・マネジメントの文脈では、標準インターフェースを通じてモジュールを組み合わせて機能を発揮させることのできる製品アーキテクチャを指す。
モジュラーの特徴は、構成技術がそれぞれ独立しており、各技術の機能を組み合わせるだけで全体の機能・性能を予測できることである。
たとえばモジュラー型の代表であるパソコンは、一定品質のCPUやメモリ、記憶媒体、ディスプレイ、OS、アプリケーションなどを調達できれば、あとはそれを組み合わせるだけで完成品を作ることが可能である。特にパソコンは各パーツの完成度が高く、組み立てにもあまりノウハウが必要ないため、企業だけではなく、個人も含め、誰が組み立ててもほぼ性能的に同じものを作ることができる。結果として、パソコンメーカーはアセンブルそのもので差別化を行うことが難しくなっており、厳しい価格競争にさらされている。また、新興国のEMS(電子機器の受託生産メーカー)の存在感が増している。
モジュラー型は、さらに大きく2種類に分けることができる。構成部品が市場で手に入れやすいもの(オープン型)と、構成部品が差別化されており手に入れにくい(クローズ型)ものである。パソコンはオープン型の典型例と言える。
クローズ型の例としては、コンパクトデジタルカメラが挙げられる。デジカメは、レンズ、撮像素子、デジタル画像処理回路、データ記憶素子、筐体といった部品で構成される。その組み合わせにより、実現可能な機能は予測できる一方で、構成部品には企業独特のノウハウがあり、内製化していることから、簡単には手に入れられないものがある。こうしたことから、デジタル一眼レフカメラでは日本企業の強みがいまでも通用している。